表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生を希望します!【番外編】  作者: 黛ちまた
アルト家 家訓!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/127

オーリーの妃

ニヒト(銀さん)視点です。

 陛下に皇太子殿下がラルナダルト領に無事到着なされた旨を報告すると、ゆったりと頷かれた。


「ようやく動いたのね。

あの方にしては随分と動きが悪かったこと」


 咽喉の渇きを紅茶にて潤されると、息を吐く。

 陛下にはカーライルでの動き、ラルナダルトでの動き、知り得る全てをご報告申し上げていた。

 皇太子殿下がミチル様の元に向かわれる事を陛下はお望みだった。

 しかし、皇太子殿下はなかなか行動を起こさなかった。

 ひとえにご自身の行動がミチル様に影響を及ぼす事を懸念されての事だったが、アルト公が焚き付けて下さったお陰で、陛下のお望み通りに動いている。


「……臆病にもなられましょう。己が全てを賭して守ろうとしたミチル様が命をお捨てになるような行動をなさり、ご自身が生き返るなど、あの方にはさぞかしお辛い記憶となられたでしょうからな」


 オットー家の隠された名──ヤツフサを継承し、ミチル様の代わりをいざとなったら務めようとまでなさった。

 兄であるシミオン殿がオットー家を継いだが、彼はその名を知らなかったと言う。

 長男の死に関わったアルト公の思惑通りに動きたくなかった当時のオットー公が、幼かったゼファス様にだけ伝えたのかも知れん。


「そうね。そう言った意味で言えば、私も怖いわ。あの子を失う事が。

子は己で育てる事が叶わなかった。代わりに育てたミチルは私にとっては孫であり、子でもあるもの」


 頷く。

 イルレアナ様がお育てになられたからこそ、ミチル様はアレクサンドリア家の人間でありながら、真っ当である。

 調べさせたアレクサンドリア家の者達は俗が過ぎた。それが嫌でイルレアナ様の伴侶であるソルレ様は出奔していたのだから。


「私達が知り得ていない情報がアルト公にあるようですからね、それを止める為にもゼファスには動いてもらわねばなりません」


「アルト公は何をなさろうとしているのか、陛下は予想されておられるのですかな?」


 そうね、とおっしゃると、扇子を広げる。

 説明をなさる際、この方は扇子を手元でお広げになる。


「これまでの公の行動の傾向からして、筋道を正しくなさる事に拘りがあるように見受けられるのよ」


 筋道。


「ですが、全てに干渉なさる方でもないと記憶しておりますが」


 陛下が頷く。


「えぇ、そうよ。

あの方は筋道から逸れたものを直すのがお好きだけれど、その際には様々な要素を詰め込むのよ」


「その要素に心当たりがおありなのですな?」


 オーリー、と陛下が呟く。


「アスラン王の妃に、皇国の皇族を求めて来ているのよ」


「随分と調子に乗っておりますな。

ですが、王はそのような人物ではなかったように記憶しておりますが……」


 周囲の者達も、それ程強欲ではなかったように思う。

 先日オーリーの者達がこちらに来ていた時も、傲るような素振りは見受けられなかった。


「元よりもらえると思っていないでしょう。そこではないのよ、彼らの狙いは」


 扇子が一つずつ閉じられていく。


「皇国と繋がりを太くしなければならない事情が、発生しているのではないかしらね」


 恥や欲でなく、皇国と繋がりを?


「あの子がもたらした奇跡は、オーリーとイリダの大陸を覆った……」


 もしやと言う考えが頭に浮かぶ。


「まさか……そのような事が……?」


「調べて欲しいのよ、ニヒト。かの大陸に行って調べて来るのです」


 パチリ、と音をさせて扇子が閉じられる。


「双方の大陸に、魔素が存在するかどうかを」




──慈悲深き女神の慈愛は、御身が作り賜うた民に惜しみなく向けられる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ