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転生を希望します!【番外編】  作者: 黛ちまた
リクエストもしくは献上品
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Christmas

クリスマスイブの二人を書いてみました。

短くてすみません。本編の合間に書いたので。


日頃の感謝を込めて。


雪が散らつく。

通りで寒い訳ですよ。

吐いた息が白い。

思わず両手を重ね合わせる。


「寒い?」


後ろから抱き締めてきた人物は、その大きな手で私の手を包み込んだ。じわりと温かさに包まれるのと同時に、耳に触れた唇の温かさに思わず身を竦めてしまった。


「正面から抱き付きたいです」


そう言うと、抱きしめていた腕が緩められる。

振り返り、胸に顔を埋め、抱き付いて背中に手を回す。


「おかえりなさい、ルシアン」


「ただいま戻りました」


「今日はもう帰って来れないのかと思っていました」


新年早々に発布される法令に関する準備で、帰宅が日付変更線を超える事がしばしばだった。

それなのに翌朝には通常通りの時間に城に向かうんだから、意味が分からん。

ブラック過ぎる。

うちのルシアンが過労死するから止めて欲しい。


「ミチルが足りなくて死にそうだった私を見かねて、早めに帰してくれました」


……皆の事、脅してないよね?


「会いたかった。寝ている姿は見てましたが、声も聞けない、触れる事も出来なくて、八つ当たりに誰か始末して、何もかも駄目にしようかと思ったぐらいです」


私に会えないだけで人を殺めるとか、相変わらず不穏な事をサラッと言いやがりますね。

そしてそれが冗談に聞こえないのがまた怖い所ダヨネ…。


ルシアンの両手が私の頰を包む。

久しぶりに見るルシアンは、ヨレヨレに……なってない。

なってないよ……。

いや、ヨレヨレになってないのは良い事なんだけどさ、一ヶ月近く36協定も真っ青な勤務時間だったからね、さぞかしボロボロになってるだろうと思っていた訳ですよ。

それなのに、どういうことなの。


「ミチル」


私を見つめる目に、あ、これ、あかん奴、と瞬間的に思った。

ギアがトップまで入ってるって言うか?


おでこ、まぶた、鼻、頰、あちこちにキスが降ってくる。


「ミチル」


声が甘い!


ううううううっ!

みぞおちのあたりがぎゅぅってする!


「どうしたの?」


「なんだか、久しぶりのルシアンで、緊張します」


久々に起きてる時に会ったけど、返す返すもイケメンだったわ。

きっとヨレヨレになっても、謎の色気がバンバン出て、私はその色気だけでヤラレるに違いないよ。


「可愛い事を」


指が頰を撫でる。

反対の頰にキスが落ちて来た。


さすがにもう、前のような反応をするって事はないけども、ドキドキはする。


「ルシアン……あちらでは今日はクリスマスなのです」


「クリスマス?」


「12月25日がクリスマスと呼ばれる日で、その前日の夜はクリスマス・イヴと呼ばれています。本来の意味とは違う内容が私のいた国には広まっていました」


「どんな内容なの?」


「恋人同士が過ごす日になっていました」


ルシアンの目が柔らかく細められる。


「それなら、間に合いましたね」


「えぇ」


羽のような柔らかいキスが降って来た。


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