盆栽で無双しよう その4
「そういえば先生、主人公の見た目はどんな感じですか?」
フミ華がペンをくるくる回しながら尋ねてきた
「そんなのもう決まってるでしょ」
創太とフミ華は互いに見つめあいながら
「黒色のちょい長めの髪型でぇ~」
「ユニブラックみたいな服ぅ~」
「わかってんじゃんフミ華ちゃん」
「今の先生みたいな感じですね」
「うっせぇ」
ユニブラックは世界的に展開している安さが売りの衣服メーカーである
「それに俺の服はしまヴィレッジ!!ユニブラックじゃないの!!」
しまヴィレッジは全国的に展開している安さが売りの衣服メーカーである
「あ、でも主人公はおじいちゃんから若者になるんですよね」
「そうだね」
「転生モノって大体死んだときの服を着ているのがほとんどですよね」
「ん…」
フミ華が言いたいのはおそらくこうだ
『定年過ぎたおじいちゃんがユニブラックの服を着るだろうか』と
「じゃあ服だけ変えるか」
「盆栽してるおじいちゃんの服ですか…和服とか?」
「いや、ジャージでいいでしょもう」
「先生考えるの面倒くさくなってません?」
「いやだって和服のことよく知らないし…」
あまり知らないことに手を出すのは出来る限り止めたほうが良いと創太は考えている
下手にボロを出すと何処からともかくその筋に詳しい警察が動き出して面倒なことになるからだ
ただ、盆栽のことを微塵も知らないのに盆栽の小説考えてる時点で滅茶苦茶ボロが出る気がしたが、気づかなかったことにした
「和服って言っても色々あるしなぁ、『和服って知ってるか?』って突っ込まれるのも面倒だし、どんな種類があるのかも正直よく知らないし」
「ではジャージ(仮)で」
主人公のイメージは大体固まった。次は
「ヒロインですね」
「今回は何人にするか…」
『ハーレムもの』という依頼なので、ヒロインは多くなければならない
だがハーレムものだからと言って多ければ多いほど良いとも言えない
数が少なければ『ハーレムものなのに人数が少ない』と言われ、
数が多ければ後々必ずと言っていいほど影が薄くなるヒロインが表れてしまう
まあそこは作者の力量次第だと思うが、今回は置いといて
「………仮で5人くらいにしとこうかな」
「5人(仮)っと…内訳はどうします?」
「まずドリアードは確定してるから…」
主人公は盆栽の力を樹のヒロインに生かす
そして主人公の代わりに戦闘を行う、という設定にしている
「戦闘を代替わりしてくれるのなら、複数はドリアードのヒロインが必要ですね」
「なら3人くらいをドリアードに割り当てよう」
とりあえず3人は決まった。あと2人
「んー…主人公が来る前に、ヒロインの面倒を見ていた人とか、かな?」
「樹の面倒を見てくれる人…エルフとかですかね」
「よし、エルフで行こう」
あと1人
「敵側から寝返ったヒロインも欲しいな」
「と、言いますと?」
「敵が味方になるって燃えるじゃん?」
「ド定番の流れですが…いいですね!!」
「敵は人間の予定だから、最後は人間のヒロイン。うん、これでいいかな」
仮ではあるが、ヒロインも何とか決めることが出来た
「ん…もうこんな時間か」
ふと時計を見ると17時近くまでなっている
フミ華はお昼過ぎごろに来たので、それからずっと作業をしていたわけだ
「今日はこのくらいにしておこうか」
「分かりました!じゃあまた明日ですね!」
「もう少しすれば形になってくると思うから…」
「その後はよろしくお願いしますね、先生!!」
「………うん」
素材の設定が決まる。その後はストーリーの大まかな流れを考える作業だ。だが、
「………苦手なんだよね、ストーリー」
創太はストーリーを考えるのが苦手だった
苦手だったからこそ、彼は『プレゼンター』の仕事をすることになったのであった
次の投稿は3/25に行う予定です。