盆栽で無双しよう その2
「それじゃあ何から考えます?」
「そうだな…異世界ものだからまずは世界観からにしよう…」
創太とフミ華はリビングのテーブルに向かい合って座り、白紙の紙を何枚か拡げた
「盆栽で俺TUEEEをするんだろ…盆栽は植物だから…自然があふれた世界を仮として」
「世界は自然あふれた世界っと…」
フミ華は『世界観:自然あふれた世界 (仮)』と白紙の紙に書き込んでいく
「なら次は敵…盆栽の技術を生かすなら相手は植物か……いや違うな」
「違うといいますと?」
「盆栽はわびさびを突き詰める文化だと思っている。なら危害を与えるようなものじゃ駄目だ」
「じゃあどうするんですか?」
「…………よし、主人公は戦わない」
「え!?じゃあどうやって俺TUEEEを!?」
「強さを見せつけるのは必ずしも敵だけとは限らないからな」
創太はそう言うと、目の前にある紙に手を伸ばし、書き込み始めた
「盆栽のテクニックは味方に活用してもらう。よって主人公の味方は植物だ」
「なるほど、味方が尊敬するタイプの俺TUEEですね!」
「盆栽の技術で植物が強くなるって設定で行こうと思う。だから戦闘は植物が代理で戦うことにする」
「サポートに特化した主人公っと」
フミ華はそう言って、先ほどの紙に『主人公はサポート特化 (ヒモ)』と書き込んだ
「ヒモってそれ酷くない?」
「え、だってサポートして戦闘は全部味方に丸投げなんですよね?」
「そこまで言ってないじゃん!?サポートしてちゃんと戦闘にも参加するよ!」
創太はヒモの部分にでっかくバツ印を付けた
「じゃあ次は盆栽のテクを生かせる味方でも考えます?」
「そうだな」
創太は紙にでっかく『味方』と書き、下に大きく丸を書き、
「味方は樹の精霊ドリアードで、ついでにヒロインにする」
丸の中にドリアードと書き加えた
「樹がヒロイン…擬人化したものがヒロインですね」
フミ華は世界観の下に『樹が擬人化した世界』と書き加え、創太にこう尋ねてきた。
「では擬人化の度合はどれぐらいにしますか?」
擬人化の度合とは、擬人化の素になったものの要素がどれぐらい残ってるかの度合だ
今回のように樹で例えるなら、
10%くらいなら頭に葉っぱや木の枝が生えてる、
50%くらいなら手や足が樹になっている、
90%くらいならただの樹に人の顔がある、
といった感じである
擬人要素が少ないと『これ素の要素なくね?』と批判を食らい、
高ければ『見た目が無理』と客離れを起こしてしまう
擬人化は流行ってはいるが、扱うには難しい題材でもある
「頭に葉っぱや花が咲いてる程度でいいよ」
「わかりました、10%くらいですね」
樹の下に『10%程』と書き加える
「次は何を決めますか?」
「そうだなぁ…」
創太とフミ華は白紙の紙に次々と書き込んでいく
二人が書き込んだ設定を素に、創太がストーリーを考えパソコンに打ち込む
二人でストーリーのチェックを行い、それを小説家志望に提供する
二人は出会って2年ほどになるが、ずっとそうやって素材を作ってきたのであった