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ノベルマテリア・メーカーズ  作者: そらごめ
2/7

素材を作ってください

都内某所。


幾つか立っているマンションの一棟。その一室


そこでは一人の男がパソコンを睨みながらキーボードを打っていた


「んー…やっぱここで殺したほうがいいか?いや、死ぬタイミングはまだ後の方が…」


何やら物騒なことを呟きながら作業を続けていると、



ガチャリッ ドタドタドタッ



玄関のドアが開く音が聞こえたと思ったら、すぐに騒々しい足音が近づいてきた


「もう来たのか…」


男がつぶやくとほぼ同時に


「先生っ!!ストーリーの素材進んでますか!?」


金髪のポニーテールの女(巨乳)がスーパーの袋片手に、部屋に入り込んできた




「ほうほう、ここでサブヒロインを殺すかどうか迷っていると」


「そうなんだよなー…ここで死ねば感動すると思うんだけど、『はいはい死ねば感動すると思ってんだろ』って読者に思われそうでなー…」


そうつぶやく男の目の前には、テーブルに広げられたキャラクター相関図が拡げられていた

先ほど男がつぶやいたのは、ある物語の展開をどうするか?と迷っているときに発したものだった


「何か今殺すより、もっと後で殺したほうがいい気がするんだよね」

「でも先生的にはここで仲間の死者を出したいと」


スーパーで買ってきたものなのか、あんパンをもぐもぐしながら女は


「じゃあ代わりにこいつ殺しましょう。サブヒロインは生きてもらいましょう」

「フミ華ちゃん、それメインヒロイン。殺しちゃダメ」

「いいんじゃないですか別に?後で魔法で生き返れば」

「フミ華ちゃん、これ科学が発展した未来の地球の話。ファンタジーじゃないの」

「んー、いいアイデアだと思ったんですけどねぇ」



あんパンもぐもぐ女…『縁樹えんじゅ フミふみか』 はある出版社の編集者をやっている。男の担当でもあり、男にとある仕事を持ってくる仲介人でもある


「あ!!先生私閃きました!!科学が発展してるならクローン技術で蘇ることが出来るのでは!?」

「何でメインヒロインを殺すことに執着してるのかなこの子は!?」


先ほどからフミ華に突っ込みを入れている男…髪色は黒でメガネを掛けている男の名は『種元たねもと 創太そうた

小説を書いている小説家…ではない



「そうだ先生!私、先生に言わないといけないことが2つありました!!」


これまたスーパーで買ってきたと思われるペットボトルのお茶を飲みほした後、フミ華は思い出したかのように話しかけてきた


「何?」

「先生が考えた素材のアニメ『ワールドストライク』、昨日放送されましたけど見ました!?」

「いや、見てない」

「えー、何でですか?先生が考えた素材がアニメになったのって初めてなんですよ?」

「いやだって…アニメになった奴は俺が考えたわけじゃないし」


創太はそういうと、再びパソコンを睨みつける作業に戻った


「迫力ありましたよ第1話!主人公が居る地球に突然隕石がぶつかって消滅するシーン!」

「そして地球の全人口が異世界に転生するという怒涛の展開!!」

「うん知ってる。それの素材考えたのオレだし」

「いやー、来週が楽しみですねぇ。どころで先生が考えた素材だと、最後どうなるんでしたっけ?」

「最後?主人公と異世界のヒロインだけが生き残って、元凶の神様倒して、それで二人が神様になって一緒に新しい世界を作ろうってオチだけど」

「素材を貰った小説家さん、そのオチ通りに作品を進めるんですかね」

「どうだろうね。素材をどうするかは本人に任せてるから」


創太は打つ作業を止め、フミ華を見た


「それでフミ華ちゃん。もう一つの話って、なに?」

「あ、そうでした!」


フミ華はいそいそと持ってきていたバックの中からメモを取り出し、こう言った




「素材提供の依頼です。オーダーは『異世界転生ものでハーレム』とのことです」




「…またぁ?」


げんなりした顔で創太はフミ華に言った。体中からもう勘弁してくれと言わんばかりのオーラが漂っている


「もう何本も考えたよ異世界転生。過食気味なんですけど。あとハーレムもお腹いっぱいなんですけど」

「そう言われても、そういうオーダーですし…」


ちょっと困った顔でフミ華は答えた


「はぁ…それで?条件はそれだけ?」

「あ!すみません、もう一つだけ条件が」

「何」

「作家さんが盆栽の知識に詳しいとのことで、盆栽無双で俺TUEEE出来る展開でお願いします。だそうです!」

「出来るかそんなもん!?!?!?」


創太の叫びがマンションの一室に響いた




種元 創太。

小説家になりたい作家のオーダーに沿って、キャラ付・世界観の設定・ストーリー展開の『素材マテリア』を提供する、

出版業界からは『プレゼンター』と呼ばれている仕事をやっている

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