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運転手さん、怪談話でもしませんか?  作者: いんゆめの人断ち
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運命…邂逅

運転手は少し驚いた顔で言った


「え?怪談話ですかぁ、まあ嫌いではないです」


すると男は少し懐かしむような口調で語り始めた


「これは、ある内田という少年の話です。

少年はとても優しい心の持ち主でした。

当時小学5年生だった少年はクラスでは皆に慕われ人気者でした。

ですが少年の両親はとても仲が悪く、家に両親がいる時はいつも空気が張り詰めていました。

まだ幼い少年にとってその環境は大きなストレスになり、少年は毎日毎日すぐにでもこの場所から逃げ出したいという衝動に駆られていました。

そんな時少年にある出来事が起こりました。

狭いアパート暮らしだった少年の隣の部屋にまだ4歳位の子供を連れた20代後半の男が引っ越して来ました。

ここから少年の運命は変化していきます。」


男は一旦話を止め運転手に疑問を投げかける。


「そういえば、このバス全然バス停に止まらないんですね」


運転手は何気なく答える


「ああ、この時間にバスを使う人なんか殆どいませんよ」


運転手は苦笑し急かすように言った


「それより、さっきの話の続きを教えてくれよ。

この時間に話す人なんか居ないし、なんかその話昔を思い出すような気がするんだ。」


男は嬉しそうに話し始めた


「わかりましたよ」

「少年の隣の部屋に引っ越してきた男は武田という名前でした。

武田は少年の家庭の事情をすぐに理解し、少年が下校した後自分の部屋に招き入れたりしていました。

少年も積極的に武田の部屋に行くようになりました。

少年はいつも部屋に入って武田から好きなイチゴ味の飴を貰い食べながら、話をしたり武田の4歳の娘と遊んだりしていました。

そんな楽しい日々が続いていたとき少年は武田にあることを尋ねました。


『どうしてお兄さんは僕にこんなに優しくしてくれるの?』


武田は少し悲しそうな顔で言いました。


『実はここに引っ越した理由は妻との喧嘩なんだ。

仕事の事で大喧嘩してしまって離婚したんだ。

本当にあの時は仕事先にも妻にもそしてこの子にも取り返しの付かないことをしたと思っている。』

『残念ながら君の両親を和解させることは僕にはできない。』


男は俯いたまま言った。だが男はすぐに少年のほうを向いて言った


『でも、君の楽しい思い出を増やす事は出来ると思ったからだ。』

『せっかく引っ越したのにまた同じような事が起こるのは嫌だからね。』


『そうだ、良いものを見せてあげよう』


そういうと武田は一つのビデオを取り出し、少年と一緒に見始めた。

そこにはテーマパークで遊ぶ武田と娘とおそらく武田の妻と思われる人物が満面の笑みで映っていた。

少年にとってその光景は今までの人生で見てきたどんなものよりも輝いて見えた。

そして少年はこんなことが出来たらなあと強く願った。」


よかったらコメントや感想をお願いします。これでちょうど半分くらいです。

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