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根暗先輩はお気に入り  作者: 西京 李多呂
6/9

6:告白

「えっ……」


 や、やってしまった……!ほらもうどん引きしてるじゃないか。そりゃそうだよ交友関係の広そうなこの子がたまたまちょっと興味を持っただけの先輩にこんな勘違いされていたなんて大層気持ち悪いだろうに。

 違うんだよ……ちょっと妄想こじらせておかしなことを口走ってしまっただけだって言わなきゃ……。


「あのごめん……今のはほんとに違くて」

 しかし返ってきたのは予想だにしない答えで。

「ええ……なんか今更ってかんじですねえ、結構アタックしてたほうなんですけど」

「え、えええ??」

「好きですよ~、そうですね、チューしたいくらいには」

「んん?? 篠宮さんはあれなのかな? 女の子が好きな人……?」

 人間、困惑が頂点に達すると意外と冷静になれるものである。自分が蒔いた種(百合の種ってか。やかましいわ。)が花まで咲かせてしまったようなので若干話を逸らした。

「うーん、ちょっと前までは色んな男の子と遊んでたんですけどいまいち楽しくなかったんでそうかもしれないですね~、あっでもちょっかい出したくなるのは先輩だけですなあ……


まあ、好きになった人がたまたま女の子だったってだけですよね。」


 な、なんて楽観的なんだろう。っていうかもしかして私今、人生で初めて告白されてるのか……?

 告白って言ったらもっとこう、下駄箱に手紙とか、屋上に呼び出されるとかそういうルールがあるんだとでも思っていたよ。少女趣味だと馬鹿にした奴は許さん。ちぎれろ。


 そんなわけで私は教室の隅でなんとも軽い告白を受けているわけだがどうしたものか。付き合う……っていっても女の子同士でどうやって? ……なんてこと私が一番詳しいだろうが。ここはリードした方がいいのかなやっぱり。年上だし。


「じゃあ……さ、つ、付き合い、ますか……」

 いやいやいや!?付き合いますかじゃあないだろう!なにを言っているんだ私!なに普通に(ほだ)されてるんだ私!これでも私はノンケなはずで……。

「ええ!? いいんですか! では放課後はホテルにでも行きますか~!」

 この子も何言ってるんだろう……。まだそこまで覚悟できてないってば。

「さ、さすがにそれは……。ね、ねえ」

「なんですか~?」

「そ、その……えっち……なことは私が卒業してからじゃだめ……かな」

 すると篠宮さんは顔を赤くして、

「可愛すぎでしょ……もちろん、任せてください! 改めて、これからよろしくお願いしまーす!」

「だから可愛くないって……よ、よろしくね」


 百合豚、幸村弥生。まさか本当に女の子とお付き合いすることになろうとは。

 でも、中々良い気持ちである。

 実に満足そうな足取りで自分の教室へ戻っていく彼女の後ろ姿を見ると、胸が少しきゅんとしてしまったのだ。




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