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洞窟の秘密 〜佐久間警部の飛躍〜  作者: 佐久間元三
浜松へ
5/13

田中和恵と美樹の関係

 佐久間たちはJR新幹線で東京駅から浜松駅へ向かった。


 東京駅から浜松駅までは、ひかり号岡山行を選べば一時間二十八分。


 こだま号大阪行なら一時間五十四分だ。


 佐久間たちは、こだま号大阪行で浜松駅に

向かうことにした。


 現地に着くまで、少し事件を整理したかったからだ。


 二人は、駅弁を食べながら、話をした。


「山さん、浜松からひかり号を選べば、往復で約三時間だ。関東でも、例えば柏から横浜まで常磐線や京浜東北線を使って往復する時間とさほど変わらない。今では、浜松から東京に行くのは、旅行には当たらんのかもしれないね」


「はい。関東に住むサラリーマンなら、通勤往復三時間なんて、ざらに居ます。何故、被害者は家族に嘘をついてまで、一泊したんでしょうか?」


「始めは、本当にすぐ帰るつもりで朝早く出たのかもしれないね。でも、何かの事情で友人に会えなかった。東京で会うつもりが翌日に成田山で会う事になった。一度、浜松に帰郷することも考えたが、たまには羽目を外したくなり、一夜限りの思い出を作りたくなった」


「家族に一泊するのに、連絡を全く入れないのは気になります」


「家族に、特に夫には知られたくない事情が田中和恵にはあったのかもしれない。田中和恵は美樹という友人に会いに行き、金を取ろうと企んだかもしれない。何か弱みを掴んでいたのかもしれない。金を取れるから楠木に対しても気前がよく小遣いを与えた。普通の主婦感覚ではあり得ないからね」


「しかし、一夜限りの思い出が、楠木によって、永遠の思い出となってしまった」


「鍵を握っているのは、美樹かもしれない。何としても、田中和恵の夫に事情を聞き出すんだ」


 JR新幹線こだま号は、定刻通り浜松駅に到着した。



 浜松駅では、事前連絡をし、捜査協力を依頼した静岡県警察浜松署の風岡刑事が出迎えてくれた。


「東京からお疲れ様です」


「警視庁捜査一課、佐久間です。こちらは、同僚の山川刑事です」


「山川です。お世話になります」


「一度、署の方へ向かいますか?それとも被害者宅へ直行しますか?」


「被害者宅へお願いします」


 佐久間は、そう告げると、風岡はパトカーを被害者宅へ走らせた。


「何か情報があれば伺いたいのですが」


「今日は、被害者である田中和恵の葬儀が行われていると思います」


「それでは、時間が被ると迷惑が掛かるかもしれないので、田中和恵が勤務していたスーパーに回ってください」


 浜松駅から、田中和恵が勤務していたスーパーまで、車で45分程の行程だ。


「住みやすそうな街ですな」


 山川が、車窓からの景色を見ながら、口を開いた。


「ええ。浜松市は日本でも類を見ない程、住みやすいと思いますよ」


「というと?」


「ここには、自然環境が全て揃っています。豊かな山々、美しい天竜川。浜名湖。東京程ではないが、都会でもあり、正に都会と田舎がバランスよく整備されていると思います。何と言っても、富士山が近く、お茶も美味しい。観光地としても優秀です」


 佐久間が、興味津々と尋ねた。


「そんなに、観光地が多いのですか?」


「はい。浜松インターや三ケ日インターで下車すれば、浜名湖や舘山寺があります。アサリ採りも規制がない取り放題が可能な所が沢山あります。浜松駅からは遠州灘に行くことが可能です。中田島砂丘も楽しめます。天竜川を登っていくと、イカダの急流下りが楽しめます。鰻も名所だらけですし。さらに登っていくと、船明ダムや佐久間ダムがあります。細江町も魅力的ですし、引佐町には竜ヶ岩洞という有名な鍾乳洞があるんですよ」


「確かに、観光地としては優秀だ」


「警部、一度訪ねてみたいもんですな」


「そろそろ、スーパーに到着します」


 田中和恵が勤務しているスーパーに到着した。


 明るい普通のスーパーだ。


 店長は、田中和恵の葬儀に出ているとのことだったので副店長に話を聞いた。


「本当にビックリしています。気さくな良いパートさんでした」


「周囲の人とは、どうですか?トラブルや気になる点とかありましたか?」


 副店長は、しばらく考えて答えた。


「先週、勤務時間中に、誰かと携帯で話をしているのを見ました。それから、時々、何か思い出しては物思いにふけてましたよ」


「やはり、先週何か、やり取りをしたみたいですな?」


 山川の目が光る。


「そうだね。それが田中和恵と美樹のやり取りかどうか、わかれば良いんだが」


 スーパーを出た佐久間たちは、田中和恵の

自宅へ向かうことにした。


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