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洞窟の秘密 〜佐久間警部の飛躍〜  作者: 佐久間元三
竜ヶ岩洞
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竜ヶ岩洞

 佐久間と山川は、JR新幹線で再び浜松駅に

向かった。


 田中大介を訪ねた時、大介は墓参りをしていた。


「全ては、私が発端なんです」


「何があったのか、お話願いますか?」


「浜松市から、北西に向かうと引佐町があります。引佐町には、竜ヶ岩洞という洞窟があります。そこに行けば、多分分かると思います」


 佐久間と山川は、直ちに引佐町の竜ヶ岩洞に向かった。


 竜ヶ岩洞は、静岡県北西部では、有名な鍾乳洞であり、観光客も多い。


 竜ヶ岩洞の脇には、地元の人間しか知らない鍾乳洞が幾つもあり、タイムカプセルを隠すカップルも多い情報を土産屋の旦那から聞いた。


「これじゃないですか?」


 山川は目を細めて、あるカップルのタイムカプセルを見つけ、軍手で丁寧に土を払った。


『・・・三条&近藤・・・』


 二人は恋人だった。


 カプセルの中は幸せそうに、キスをしたり、抱き合ったりしている写真やビデオの

カセットテープが入っていた。


「・・・・・・・・」


「これは、二人の大切な思い出だ。これ以上は、踏み込んではいけない」


「そうですな。もう踏み込まないでおきましょう」


「おそらく、いや、間違いないね。田中和恵は、とある機会に、この場所でタイムカプセルを偶然見つけたのだ。そして、長年、近藤美樹に対して恨みを募らせ、これをネタに、うんと困らせようと考えた。田中和恵には、近藤美樹への殺意はなかったのだろうと思うよ。悪意はあったがね」


「しかし、それが全て負の連鎖の始まりだった」


「その通り。田中和恵、三条春名、近藤美樹が、田中大介を中心に複雑に友情や恋愛感情に振り回された結果さ」


「しかし、私は、やはり許せません。事の本人が、のうのうと生き延びた」


「そうでもないさ。田中和恵の夫大介はこれから、嫌でも、二人の供養をしながら生きて行くだろう」


「教育者としても、懺悔の日々でしょうな」


「大学時代に出会ってから、もう二十年。今後は、その何倍の月日を苦しみ、懺悔して過ごすのだろうか?」


(近藤美樹よ。約束通り、仇は討てたかは

わからんが、お前さん達の尊い、思い出は

守ったつもりだ。安らかに眠っていいんだ)


 佐久間警部は、空を見上げた。


「山さん、空が高い。夏も終わりだ」


 こうして悲しい事件は完結したのである。


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