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再び浜松へ
二人の犠牲者と一人の自殺未遂にまで発展した今回の事件で、佐久間にはどうしても、腑に落ちない部分がある。
始めの犠牲者である田中和恵は、近藤美樹の何を強請る計画だったのか?
「山さん、近藤美樹は、田中和恵に強請られることが嫌で、三条春名に相談したのは間違いないと思うんだ?」
「警察に相談すれば解決するかもしれないのにしなかった。殺しにまで発展するなんて一体どんな重要な秘密を田中和恵は握っていたのか知りたいですな」
留置所で、三条春名に聞いても三条春名は、何も語ろうとしなかった。
ただ、近藤美樹がこの世にもういないことを悟ると一言だけ、口にした。
「・・・・もう、死にたい」
近藤美樹が、死してもなお、彼女の秘密を守ろうとしている。
「警部、三条春名と近藤美樹は一体どんな関係だったんでしょうか?」
「そこが、今回のヤマの核となるのかもしれないね」
「風岡刑事もまた、三条春名と近藤美樹の仲に嫉妬し、行動を起こした」
「もう一度、浜松へ行って真相を確かめてみたいね。行こう、山さん」