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洞窟の秘密 〜佐久間警部の飛躍〜  作者: 佐久間元三
対峙
11/13

確保

 佐久間警部の指揮のもと、三条春名の身柄確保、新宿陸奥会の新藤身柄確保、そして、浜松署の風岡刑事の身柄確保を行い幕を閉じた。


 警視庁捜査本部から、静岡県警察本部経由で浜松署に連絡が入り、風岡刑事の身柄確保を行う間際、風岡刑事は、拳銃自殺を図るところであった。


 まず、三条春名と繋がりがあり、逮捕された新宿陸奥会の若頭新藤が自白したことから、芋づる式に、事件の全貌が見えてきた。


「人間関係が、ドロドロですな」


 山川が、険しい表情をした。


 一人の殺人事件が、複雑に絡み合い、第二の犠牲者を出した所で、歯止めを掛けたのである。


 田中大介が、若き日に起こした過ちが、妻の田中和恵に近藤美樹への妬みを持たせ、数年後に田中和恵が、東京に赴き近藤美樹を強請ろうと計画。


 ここから、事件が始まった。


 それを事前に知った近藤美樹が、三条春名に相談し、三条春名が、新宿陸奥会新藤に田中和恵の殺害を依頼。


 新藤は、田中和恵の、情報をチンピラの楠木に流し、始末を指示したのだった。


 山川刑事が、重要参考人として、確保依頼された風岡刑事について、三条春名とどう繋がっていたか、わからなかったが捜査が進むに連れ、同様に全貌がわかった。


「山さん、風岡刑事なことだが」


「警部、わかったんですか?」


「ああ。やっと繋がりが判明したよ。風岡刑事は、三条春名と大学時代、実は付き合っていたらしい」


「三条春名は、田中和恵の夫、田中大介と付き合っていたのでは?」


「おかしな人間関係だが、田中大介は、三条春名、近藤美樹、田中和恵と三股で交際。三条春名もまた、田中大介と風岡友春の二股交際をしていたようだ」


「あり得ません」


「話はまだ、続くんだ。私の予想通り、三条春名は近藤美樹のことも愛していた。大学時代から、その事に気付いていた風岡は三条春名と近藤美樹の仲に嫉妬していた。田中和恵が成田駅手前の安食駅で殺されたことを知った風岡は、捜査の手が間も無く静岡県の田中大介まで及ぶことを予想した。捜査一課から、捜査協力要請が来たら自分が対応するように、根回ししておいたんだ」


「捜査状況を把握する為にですね」


「そうだ。田中大介の口から三条春名の名前が出た段階で、すぐに我々が熊本に行くことを予想し、三条春名に知らせた。また、熊本警察の若宮刑事にも知らせた」


「若宮刑事もグルなんでしょうか?」


「いや、若宮刑事は何も関係ないよ。元々、風岡は、近藤美樹の存在を、疎ましく感じており、三条春名に連絡を入れた後に、捜査の手が三条に及ぶ前に近藤美樹の口を封じたんだ」


「話を整理したいんですが」


「勿論さ。田中和恵を殺したのは、楠木。殺人教唆は、近藤美樹→三条春名→新宿陸奥会新藤→楠木の流れだ。近藤美樹については、風岡のみ」


「三条春名は、風岡に依頼をしていない?」


「三条春名は、近藤美樹を愛していた。風岡が勝手に、三条春名を助けたく殺したはずだ。それが三条春名に、後に逆恨みされようとね。しかし、三条春名は賢い女だ。熊本に我々が来たことを、すぐに風岡に連絡したはずだ。自分が依頼をしなくても風岡は自分の為に、対応してくれると予想してね」


「自分への感情をも利用した訳ですな」


「その通りだ。新宿陸奥会の若頭や風岡と時々ホテルで密会したのは、この時の為にコントロールする為だったかもしれない」


「とんだ、食わせ者ですね」


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