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七話 夜襲

「すぅ……すぅ……」


真っ暗な森の中、気にもたれ掛かる二人の寝息が微かに響き渡る。

月も上がりきり、月の光が二人をくっきりと照らす。

その光景はとても絵になるものではあるのだが、(ゴブリン)達からすれば狙って下さいといっているようにしか見えない格好の獲物(えさ)であった。

一匹、また一匹と周りを取り囲むように増えていき、その数は推定五十匹。ちらほらではあるが、明らかに他のゴブリン達よりも身体の大きな個体が見てうかがえる。


「ググッ!グギャギャ!」


とうとう、痺れを切らした一匹が茂みから飛び出し、二人の命を狙いにいく。

だが、その行為は自身の寿命を縮めるだけの行為に終わるのだった。

まるで狙って来ることを予想していたかのようにクロイは目をつぶった状態で、腰から抜き出した短剣をゴブリンの脳天へと一直線に投げたのだ。

もちろん、狙い通りに短剣はゴブリンの頭へと突き刺さり、一瞬にしてゴブリンの命を奪う。


「……面倒だな」


クロイが目を開いて最初に呟いた言葉はそれだった。

感覚的にだが、周りに大量のゴブリンに取り囲まれたことも、その中にゴブリンよりも身体のデカイ個体が何匹かいることを理解していた。


「グオォォォォ!」


突如響き渡る叫び声。声の主は身体のデカイ個体である。

その叫び声を合図に全てのゴブリン達が一斉に動き出す。

クロイもその合図と同時に瞬時にティノンを左脇で抱え、投擲した短剣を回収し、いつ襲ってきても対処できるように短剣を構える。


「「「グギャギャギャギャ!」」」


最初に襲いかかってきたのは三匹のゴブリンであったが、全ての攻撃を紙一重で躱すと同時に次々に首を落としていく。

しかし、更に五匹のゴブリンが背後から襲ってくる。

が、クロイはそのことを確認すると即座に体勢を低くしながら短剣を大きく振るう。

そうすることにより、ゴブリン達の足は深くはないが、それほど浅くない傷がつけられ、五匹はその痛みに一瞬怯んでしまう。

その隙にクロイは五匹のゴブリンの首を落としていく。

それからはゴブリン達の首を黙々と落とし続け、もはやその一連の行動が作業であるかのように思えてきた。


「「「グオォォォォ!」」」


突然、クロイに肉迫する三つの影が迫る。

咄嗟にクロイはその場から離れ、同時に相手の一匹の着地地点を予測して短剣を振るう。


「グガァァァ!」


狙い通りに、短剣は一匹の腕の関節部分へと滑り込むようにして刺し込まれ、雑に引き抜くことで周りの肉を抉っていた。

これで一体の腕は使い物にならなくはなったのはいいが、こちらはティノンを抱えているせいで右腕しか使えない。

今の状態では、明らかにその三匹と相手をするのは厳しいであろう。

三匹の姿は簡単にいってしまえばまゴブリンを二回り大きくしたもので、ゴブリンの体つきはみすぼらしいものに対し、その三匹の体つきはかなりガッシリしている。

それに、さっきクロイに肉迫したときだが、明らかにゴブリン達よりも動きが早く無駄がなかったのだ。

一つ一つ特徴を確認していけば、この三匹はゴブリンなんかよりもレベルが違う。


「うぅ?なんか騒がしくない?」


さっきまで何事もなく寝ていたティノンであったが、流石にこのような状況では嫌でも目が覚めるだろう。


「……って、なんでホブゴブリンが三匹もいるのさ!」

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