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五話 ゴブリン無双

「グギャギャギャギャ!」


周りの茂みから、クロイ達を取り囲むようにゴブリン達が出てきた。

数はざっと見軽く二十匹はいるだろうか。


「うっ、に、臭いが……」


さっきは三匹だけであったし、なおかつティノンはゴブリンに近づいてなかったから大丈夫だったが、今や大量のゴブリンが周りを囲んでいるのだ。臭いは臭さを増し、ティノンの心は涙目だ。


「な、なんでクロイは平気なのさ……」

「鼻じゃなく口で呼吸しているからな。お前もそうしてみたらどうだ?」

「妖精は器官とか関係なしに全身から臭いを吸収するから意味無いんだよ……」

「そうか。それは残念だったな」


周りを囲まれているというのに、二人は動じずにこんなたわいもない会話を繰り広げている。

その様子を見て腹を立てたのか、ゴブリン達は一斉にクロイに襲いかかる。

数というものは恐ろしいものだ。力の差がかなり開いてでもない限り、少数の者達が勝つにはかなり厳しいものがある。

現時点で敵の数は二十匹以上。対してこちらはクロイとティノンの二人。ティノンは知の大精霊とかいっていたため、戦闘には向いていないとなると、実質クロイ一人での戦闘だ。

一人対二十匹以上。数だけみれば勝算なんて見当たらなさそうではあるが、所詮は数だ(・・・・・)


「グギ……」

「ガッ……」

「ギギ……」


次々と力尽きていくゴブリン達。

さっき見せたクロイの戦い方は、相手をジワジワと痛みつけて殺していく方法であったが、今の戦い方は全て一撃で仕留めるという、明らかに違うものであった。

ある時はゴブリンの背後に回り込み、心臓を一突きに。ある時はゴブリンの攻撃を紙一重で避けると同時に短剣を振りかぶり、相手の首を落とす。またある時は体術を応用してゴブリンを投げ、別のゴブリンにぶつけることによって無力化し、その隙に心臓や首を狙うことで命を奪っていく。

気づけば五分とかからずに二十匹以上もいたゴブリン達は死骸と成り果てていた。


「それじゃあ先に進むか」

「いや、もっと他になんかないの?疲れたとかめんどくさかったとか楽勝だったとか」

「じゃあそれ全部で」

「はぁ……。キミって、とことん目的しか見ないタイプ?」

「さぁな」


結局、何事も無かっかのように歩を進めるクロイ。さっきもそうだが、終わったことには関心が薄れやすいようだ。

それにしても、ゴブリンとはいえ、五分ほどではあるが二十匹以上と戦ったのだ。それなりに疲労が溜まるであろうが、クロイにそんな様子は一切見られない。

出会って短い時間しかたってないが、クロイのことを見れば見るほど、以前はどういう立場であったのか、どんな過去を歩んできたのかがわからなくなっていく。

知識としては、本を持っている貴族くらいの地位を持っている者の可能性があるが、さっきのえげつない殺し方からしてはスラム街に住まう人々のようなやり方でもあるし、今の手際の良い殺し方からしてどこかの達人の弟子でもありそうだ。

そんなことをティノンは考えてはみるが、考えるが無駄とすぐに判断してクロイの後ろについていくのであった。

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