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プロローグ

人間たちはいつだって監視されてた。

ある時は人間でごった返してる都会で…ある時は欲望が渦巻くどこかの紛争地帯で…またある時はのんびりのどかなどこかの学校で……。

人間たちはいつもどこかで監視されている。

しかし、監視されているからと言って奴らは人間たちになにかするわけじゃない。

奴らはただ見てるだけ。世界を…この星の生き物たちを…人間の生き様をただ……見てるだけ。

しかし、奴らの存在に気づく人間はそうはいない。

なぜ、奴らは人間を監視するのか…それは誰にもわからない。

でもこれだけは言える。

今、この小説を読んでいる君の端末にも奴らは潜んでいる。

そして、君を…正確には君の生き様を監視している。

その名は……



「デジタルくじら…」

そう俺は口にしていた。

今、携帯の中に写る文章という名の文字の羅列で表された物語に心奪われている自分はこの世界とは別の世界にいた。まるで自分の心が文字の羅列に飲み込まれてしまったように…瞬きせずにのめりこんいた。

「おいっ、シュン。先生来たぞ、携帯しまえ」

今の俺の世界はこの文字の羅列である。この文字の羅列の中に一つの世界がある。どこまでも続くこの羅列。

一昔前にはこんなこと考えられなかった。まさか、携帯端末で本が読めるようになるなんて。おかげでつまらない講義中もこうやって別の世界に飛ぶことができる。

「おいっ、シュン。やばいって、早くしまえって」

「はい没収」

ひょいと俺の視界から文字の羅列が消えた。

瞬間的に元の世界に引き戻され、あちゃ~っと渋い顔を作る友人の顔が見える。

そして俺の現実は講義中ということと講師の手に握られた携帯端末で世界を行き来する方法を絶たれたことを理解する。

終わったら取りに来なさいと言いながら講師は俺から別の世界行きのチケットを奪い去っていった。

「だから言ったじゃないか、先生来てるぞって…」

友人があきれ顔で言ってくる。そんなことよりも俺にはあの世界の続きが気になって仕方がない。

友人を適当にあしらって世界の続きを頭の中で描く。

今、あの端末にもデジタルくじらはいるんだろうか。もしかしたら今、講師の手の中でこの講義を観察しているかもしれない。

そうだとしたらデジタルくじらは何を思うのだろうか。

俺のいるこの場所に一体いくつのデジタルくじらがいるのだろうか。

世界のどこかを見ているデジタルくじらは一体何なのか…。

………俺は下を向いていた顔を持ち上げた。俺にはこの世界が霞がかったように淡い色合いで見えている。

何かが物足りない。この世界に何か…何か違うものがほしい。

別にスリリングなバトルとかそういうものはいらない。友達の死亡フラグとかそういうのもいらない。とにかく俺が今まで経験したことのないような…痛みを感じないようなことが起こってほしい。

ふぅ…とため息をつくと友人が自業自得。とため息の意味をはき違えて語り掛けてきた。

別にこの世界が嫌いなわけじゃない。

友人もいいやつだし、大学生活も楽しい。でも…物足りない。

「今日はおしまい。さっき携帯いじってたやつ持ってっていいぞ」

そう講師は言って俺のほうを見た。

辺りからクスクスと笑い声が聞こえて無性に恥ずかしくなった。耳が熱い。体が火照る。

とっとと携帯端末をとって帰ろうと思い教卓の上を見ると置かれた携帯端末が淡い光を放っていることに気づく。

SNSのメッセージが届いているらしい。

俺と同じように暇なやつが何かしら送信したのだろうか…。知り合いだとしたら恐らく冷やかしだろう。

しかし、今は見ない。それは単に今この抗議室からさっさととんずらしたいからであってめんどくさい訳じゃない。

さっきも言ったように友人はいいやつだ。だからふざけた遊びにも付き合うし、俺の考えてることも理解してくれる。

その代わり俺も付き合う。

だから、このあといつも通り一緒に飯を食べる。他にも何人かいるけどこいつほど話の合うやつはいない。

「シュンも馬鹿だよな~」

うるさいと椅子を引きながら短く返す。

お互いに今日の昼はカップラーメン。それが昼になる理由は何より安いから。大学生にとって贅沢は敵である。

「なぁ、このあとどうする?」

「講義だろ」

俺は学食を頼むやつらを羨ましそうに眺めながら答える。

たしかこのあと、3間も4間も講義の筈だ。

「シュンよ、今日の3間、4間は休講ですぜ」

「まじか……」

結果、俺らは暇である。カップラーメンを食って帰って寝て終わりである。

「カラオケ? ボーリング?」

「お金ない」

「だよな~」

はぁ~…と二人そろってため息をつく。そしていい加減飽きてきたカップラーメンの麺をずるずる啜る。そういえばとポケットに入っている携帯端末のSNSのメッセージを思い出す。

端末を取り出し、側面にある小さいボタンを押し込み画面を点灯させる。

「うわっ」

俺は声がした方に視線を向ける。そこには学生が使用できるようにと壁際に置かれたパソコンをいじる学生の姿があった。隣に座ってパソコンをいじっていた学生もその叫んだ学生がいじっているパソコンの画面をのぞき込む。

「お前…どこに入ってるんだよ」

と声を張り上げた学生に声をかける。声を張り上げた学生は非常に慌てた様子でどうしようどうしようとうろたえるばかりで俺の場所からは何が起きたのかわからない。

「最近多いよな~」

「何が?」

友人がウイルスだよウイルス、とけだるそうに話す。

「最近どんなセキュリティを使っても必ずと言ってもいいほど侵入されるんだってよ、今世界中で話題だぜ? 時代はソフトウェア関係の仕事かねぇ…。」

そういうと友人はガタッと立ち上がる。

「俺、ゴミ捨ててくる」

「ん~、これもついでにお願い」

「ちゃっかりしてんな~、いいよ。でも百円な」

「高っ!」

わははっと笑いながら友人はゴミをもって歩いて行った。

さて…と俺は携帯の画面に映る緑色のラインに目を落とす。


《"招待状"》


見事に文字化けしている。SNSで文字化けしてるとこなんて初めて見た。

とりあえずで親指でタップした…………。





「おまたせ~…ってあれ?」

目の前にシュンの姿はない。あるのはいつもの黒いリュックサックと床に落ちたスマホのみ。

「いったいどこに行きやがった…」

スマホを拾い上げると"招待状"と浮き上がるメッセージ。

「なんだそりゃ…」

ぽいっとスマホを黒いリュックサックに放り込んで背負う。仕方がない、とシュンのことを探しに行く。

リュックの中でジジッとスマホがファンを回す音を立てた。

初めましてだよね?

うん、きっとそうに違いない。俺のことを知ってる人なんていないと思う。……別のサイトで知ってる人はいるかもしれないけど。

まぁ、ほんとのことを言うとかな~り前からこのなろうさんにはお世話になっていたのだけど諸事情ありまして暫く離れておりました。

あぁ、自己紹介、自己紹介。別のサイトではポケ○ンの二次創作をしております。自己紹介の欄にバナーを貼っておりますので興味をお持ちになりましたらどうぞそちらのほうにも来ていただけると幸いです。

さて、「ステイル」と申します。正式には「捨てられたイルカ」と言うのですけど。

更新は遅め。現在学生。デスクトップが部屋にあるともっとスムーズに打てるのだけど貧乏には夢のまた夢。

そんなステイルを宜しくお願いします。

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