表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アプリで殺してみただけなのに  作者: 一宮 沙耶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/8

4話 両親

最近、両親が私のことをやることなすこと文句を言ってくる。

本当に邪魔。いつまで私を支配するつもりなの?

私だって、もう一人で考え、行動できる。


お父さんは、特に幼稚園の時の事件がトラウマになっているみたい。

一人にすれば犯されてしまうと思ってか、常に私を拘束する。

この前は、私のカバンにGPSをつけて監視していることも分かった。


それなのに、そんなことはしていないなんて言い訳をしている。

私も1人の人間としてプライバシーもある。


お母さんも、私が買ってきた洋服を派手だと勝手に捨ててしまう。

こんな洋服だと、男性は誘っていると勘違いするからと。

もう枯れている自分と一緒にしないでよ。若い私に嫉妬しているの?


周りのクラスメートはみんなおしゃれな服を着ているのに。

私だけ、いつも地味で田舎くさい服でいろということなの。

ひどい。もう耐えられない。

私だって、年頃の女性で、おしゃれもしたい。


自分で考え、判断し、好きなように生きたい。

女性だとか、大人じゃないからって、ダメだ、ダメだという。

もう、自由にさせて欲しい。


私のためだというけど、そうなら私がしたいようにして欲しい。

本音は、私を支配したいだけに違いない。

親だと言う権威をいつまでも持っていたいのかもしれない。


一人っ子だからか、私に期待を押し付けるのもやめて欲しい。

一つの型に当てはめ、自由を奪わないでもらいたい。

今どき、生き方は多様なんだから。


お父さんは、会社から電話がくると謝ってばかり。

本当にみっともない。

そんな人から、こうあるべきだなんてこと聞きたくない。


次は両親をターゲットにすることに決めた。

このアプリを使えば、私が殺したことにならない。

そうすれば、この家は私に相続される。

生命保険をかけているらしいから、当面は生きていけそう。


お金があれば大学に入って、卒業して働けば生きていける。

アプリで両親の顔を選択する。

そうすると、いつものように黒い空間に吸い込まれた。


気がつくと電車のホームに立っていて、両親がこちらに歩いてくる。

どこの駅なのかの表示はないけど、電車は井の頭線のよう。

特急が止まらない小さな駅で、ホームの両脇を電車が通る。


こんな明るいホームなのに、私たち家族以外に誰もいない。

でも、電車はひっきりなしに来る。


今も急行電車が、すごいスピードで前を通り過ぎる。

その急行電車の車内には誰もいなくて、殺風景な雰囲気。

向かいで停車した電車を見ても、乗ったり、降りたりする人も全くいない。


ただ、電車の中は、煌々と明るい蛍光灯が照らされている。

これまでの殺人現場とはかけ離れていた。

いきなり、お父さんとお母さんが、私に声をかけてくる。


「翠、お前、なんで、こんな時間まで外で遊んでるんだ。だいたい、まだ未成年の女なんだから、夜10時になっても家に帰ってこないなんて、おかしいだろう。」

「そうよ。節操というものを考えなさい。」

「あなた達だって、外にいるじゃない。」

「お父さんとお母さんは大人だし、仲良く一緒に飲んでたんだ。夫婦円満でいいだろう。お前は、まだ子供なんだからダメだと言ってるんだ。」


また、私のことを子供だからって拘束してくる。

だいたい、節操って死語じゃないのかしら。

今どき、毎日、夜10時に家に帰る女子高生なんていない。

昭和じゃあるまいし。


しかも、お酒に酔って、ベタベタしている親なんて見たくなかった。

2人は酔っ払っているのか、だいぶふらついている。

息も酒くさい。


お父さんも、お母さんも、おしゃれとは正反対の洋服を着ている。

家にお金がないからって、そんな服、恥ずかしいでしょう。

会社勤めでうだつが上がらないお父さんの子供なんて恥ずかしい。

そんなにお父さんの給料は少ないのかと。


そんなお母さんが、お父さんにキスをしようと顔を近づけた。

お母さんとお父さんの口が唾液の紐で繋がる。

娘の前で、いくら酔っていても節度というものはあるでしょう。

本当に気持ち悪い。私は、許せなくなって、2人を強く押した。


そんなことをされるとは微塵も思っていなかったみたい。

酔っ払っていたからか、そのままホームから落ちていく。

口を大きく開けて、手を私に差し出したまま。

そこに電車が来て、轢かれてしまった。


轢かれる瞬間は、コマ送りのように見える。

お父さんは、なんでお前がと驚いたように私を見つめていた。

その直後に、電車に飛ばされていく。


お母さんは、スカートの中が丸見えで、頭から落ちていく。

その直後に、電車に轢かれ、体がバラバラに飛び散っていく。

急停車した先頭車両の前で、頭だけが正気を失い転がっている。


私は、いつものように寝ていて、警察からの電話で目が覚めた。

両親が酔っ払ってホームから落ち、電車に轢かれたと伝えられる。

警察は、あまりに私の周りで事故が起きるから、少し疑っているみたい。


でも、少なくとも今回は私の犯罪だとは言えない。

事故からそれ程時間が経っていないのに、事故現場から遠い家にいたから。

その他の事件も、家にいたという証言を覆すほどの証拠もでてこなかった。


だから、それ以上、何か言われることもなかった。

女子高生1人で、成人男性を含む人達を殺害することはできない。

また、両親の事故も、周りに大勢人がいるなかで証言が多数あったから。


アプリの世界ではホームに誰もいなかった。

でも、現実世界では、多くの人が周りにいた。

しかも、私は見られていない。


どのような仕組みでそうなるのかは分からない。

でも、時間と状況はアプリで私が見たものと同じ。


酔っ払って足がふらつき、2人でホームから落ちて行ったという。

殺人とは見えなかったという声が多かった。

保険会社は自殺とは言えず、不幸な事故として保険金を支払ってくれる。


私は、湿気が広がる警察の慰霊室に通される。

そこには、腕や足の一部がない両親の遺体が横たわっていた。

お父さんの頭はなかったけど、お母さんの頭は本人だと伝えた。


警察は不幸な事故だったと下を向きながら私に伝える。

私は、ただ、呆然と佇む演技をしていた。

心の中では笑いながら。


うるさい両親がいなくなり、お金は使いきれないぐらい手元に入る。

これって、ラッキーと言う以外の何物でもない。


これまで育ててくれたことには感謝している。

でも、これまでの生活で、その恩はすでに返している。

私を拘束するからこうなるの。私が悪いわけではない。


親戚と言う人が保険金目当てで群がってくる。

でも、1円も渡さないと強く言った。

これまで何もしてくれずに、会ったこともない人にはと。


ケチだといって去っていったけど、ケチなんて言われる筋合いはない。

そしたら、それ以上、誰からも連絡がこなくなった。

やっぱり、心情に流されずに、冷静な対応が良かった。


私は、これから生きていかなければならないからお金は必要。

半年ぐらいしたころだった。

クラスメートの3人が休み時間に話している会話が耳に入ってくる。


「ねえ、ねえ、殺人ゲームアプリって知ってる。話題になっているよね。」

「聞いたことある。ゲームで罪を負わずに人を殺せるってやつでしょう。」

「なんか、アプリという感じじゃなくて、この世じゃない世界に吸い込まれて、そこで人を殺すらしいよ。」

「そうそう。あり得ないよね。でも、結構、いろいろなところで話題になってるらしい。実際に、人を殺したっていう人もいるみたいよ。」

「でもさ、規約で、5人目を殺すと一番大切なものを失うって書いてあるんだって。」

「5人って、気前がいいじゃん。普通は1人殺せばというんじゃない。」

「でも、一番大切なものって何かしら。命とか?」

「噂だと、子供とか、お金とか、地位とか奪われたらしいよ。」

「怖い。」

「まあ、噂だし。本気にしてるんじゃないわよ。都市伝説よね。」


規約があったんだ。あと1人で5人目になる。

無料アプリとは確認したけど、それ以上は読んでいなかった。

まあ、私には大切なものなんてないし、まあ別にいい。

その時は、そんな風に軽く考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ