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アプリで殺してみただけなのに  作者: 一宮 沙耶


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3/8

3話 女子高

毎日のように私をいじめてくる澪というクラスメートがいる。

いつも、自分はお金持ちで可愛いと自慢する。

私のことは、貧しく、ブスだとバカにしてくる。


全く事実無根で、美人な私が目障りなのだと思う。

この前、お昼に私の机にわざとぶつかってきた。

そのせいで私のお弁当が落ちてしまう。


「あれ、ブタの餌が落ちちゃった。ブタなんだから、落ちたものを、手を使わずに口で食べなさいよ。まあ、本当にブタの餌のように汚いわね。」


そう言いながら大笑いをする。ひどいやつ。

そもそも、そんなに可愛いわけじゃない。

スタイルだって、胸は板みたい。


足もぶっといし、目も少し離れていてブサイク。

声もキンキン声で、品がない。

人格のなさが漂っている。


なんか渋谷にしょっちゅう行っているらしい。

アクセサリーのセンスはなくて品性のなさが滲み出る。

薄汚れたぬいぐるみがカバンに並ぶ。

汚いぬいぐるみは気持ち悪くて、触れたくない。


成績も中の下ぐらいで、いつもトップクラスの私には到底及ばない。

心は真っ黒で、優しさなんて一欠片もない。

声も濁声で、可愛らしさは感じられない。


どこに良い所があるのか分からない。

そんな澪は、私のことを見下さないで欲しい。

澪に彼氏がいたら、それって奉仕活動に違いない。


どうも、澪の親が学校に多額の寄付をしているらしい。

だから、先生も、澪のいじめを見ても見ぬふり。

世の中って、金、金、金って腐ってる。


澪には取り巻きがいて、私が騒いでも誰も相手にしない。

おそらく、お金で思い通りに動かしているに違いない。

取り巻きは、澪と仲良くなってから金遣いが荒くなった。


そんな取り巻きが澪と一緒に私をいじめる。

私にぶつかってきて文句をいうと、その取り巻きが私を取り囲む。

学校は正論を言いながら、間違ったことが横行してる。


澪の取り巻きは、澪はとてもいい人だと言う。

澪が言ってもいないことを、周りに吹聴するのはやめろと言う。

逆に、私が澪を悪者にしていると。


どうして、そんなに私のことを虐めるのだろう。

私が、性格のいい人を悪者にするはずがない。

みんなだって、澪が私を虐めているのを見ているでしょう。


それでも、空想で人を貶めるのは良くないと言う。

みんなで澪を守り、私を攻撃する。

もう疲れた。私がなんと言っても、みんなで澪を守るのだから。


澪の家は裕福らしいけど、品性がない成り上がり。

人を騙して、お金を吸い上げているだけだと思う。

私は、明治時代は華族だったと親から聞いている。

あんな、品性のない女性から蔑まれる家系ではない。


そんな人に見下されるのは不愉快。

それなのに、力と金で私をバカにする。

この世に生きていてはいけない人なのだと思う。


誰もが、いじめに気づかないように通り過ぎる。

そんな中で、他人を頼っても何もいいことはないと学んだ。

私は、こんな女性に屈服しない。


だからか、澪による私への嫌がらせはエスカレートしていった。

私のスカートがハサミで切られていることもあった。

体育の時間が終わってクラスに戻ったときに気付く。


廊下では、あからさまに私の悪口を言って、ガムを私に吐き捨てる。

澪がいなくなればと思ったのは、一回や二回ではない。

だから、次は、澪をアプリで殺すことに決めた。


こんな女性、生きてる価値ない。

このアプリで、現実の世界からも、澪を排除できるかもしれない。

そうすれば、もう一歩、社会に貢献することもできる。

私は、澪の顔をアプリで選択していた。


今回も黒い空間に吸い込まれる。

気づくと、電車が通る線路の上の歩道橋の上にいた。

歩道橋の下では、京浜東北線の電車が数分おきに通り過ぎる。


遠くに高層ビル群が見えるけど、この辺りは物寂しい住宅地。

先に見える高層ビルの様子からは、ここは品川の近くかもしれない。

電車が通り過ぎるたびに、歩道橋は轟音に包まれ揺れる。


電車が通り過ぎると、風圧を感じて怖い。

それでも電車の中を覗くと、仕事帰りのおじさん、おばさんばかり。

疲れた人たちは、歩道橋なんて見ることはないし、関心もないはず。


この歩道橋は、あまり使われていないのか、人は通らない。

また、この辺は住宅ばかりで、ビルとかマンションはない。

だから、マンションのベランダから見られているということもなさそう。


そんなとき、前回と同じように、澪が現れた。


「あら、翠じゃない。いつ見ても、貧乏くさいというか、目障りな女ね。学校の外でも出会うなんて気分が悪くなる。早く私の視界から消えなさいよ。」

「前から、ずっと思ってたけど、あんたは、どれだけ偉いのよ。人として、どうかと思うわ。」

「くだらない女がしゃべるんじゃないわよ。ブタはブタらしく、下を向いて落ちてるものでも食べていなさい。」


私は、あまりの屈辱に、澪の頬を叩き、髪の毛をひっぱる。

澪も、私の髪の毛をひっぱり、取っ組み合いになった。

髪の毛を引っ張りながら近くで見ると、澪は、清らかとはほど遠い顔。


にきびだらけ。その顔を、錆びた手すりにこすりつける。

擦り傷に血が滲んでいる。

目は釣り上がり、口は開いて歯ぎしりをして、興奮した馬みたい。


もう人じゃなくて、けだものだから当然のこと。

そんなけだものは死ねばいい。そういう運命。

でも、澪も力いっぱい抵抗してくる。爪が私の顔をかすった。


血はでてないけど、なんてことをしてくれるのかしら。

髪の毛をひっぱりながら、手すりに顔を何回も叩きつけてやった。

もう、顔の至る所が切り傷で血が滲む。


澪の唇や目には血がでている。

鼻は歪み、鼻の骨も折れているのかもしれない。

そのぐらいやらないと日ごろのお返しにならない。


お腹も膝で蹴りつける。

何か口から吐き出し、ブラウスが汚れる。

本当に下品で、気持ち悪い。


早く、こんなやつはいなくなってしまえばいい。

そして、澪を強く突き飛ばす。

その時、澪は足を取られたように見えた。


澪は、歩道橋の手すりから体を乗り出し、元の体勢に戻れない。

バランスを崩して落ちていった。

そんなことはないと思っていたのか、驚いた表情で落ちていく。


私に手を伸ばし、助けてと言うように。

助けるのであれば、こんなことはしない。

これまでの、あなたのひどい仕打ちを悔やむがいい。


運悪く、そこに来た電車に轢かれる。

体から手足がもがれ、まさにブタのような格好で宙に浮く。

そして、頭から落ちていく時にまた轢かれてクビがちぎれた。


ちぎれたクビが前に飛ばされ、その上を電車が通る。

レールの上で顔はつぶれ、原型をとどめてない。

手足の一部は、不気味に線路に転がる。


日頃から人としての行動できないようなけだものの当然の末路。

人として生きていける存在では、そもそもない。


このような姿になったのは、元の姿に戻っただけ。

人として間違って生まれてきただけだから。

むしろ、電車に飛び散った血とかを清掃する方々に謝りなさい。


バラバラになった体を回収するなんて気持ち悪いでしょう。

あなたのせいで、そんな作業を強いられる人がでてしまった。

電車も止まり、帰宅する人たちにも迷惑をかけている。


生きてるだけでも迷惑なのに、死ぬときにも迷惑をかけている。

本当に害虫というか、生まれてきたのが間違いだったんだと思う。

血が飛び散った電車の車体を見た直後だった。

私は、前回と同じようにベッドで目が覚める。


ずっと家で寝ていたことになっているんだと思う。

これで、この世の中は少しは良くなった。


あんな女性に騙される男性もいなくなったんだから。

男性からも感謝されてもいい。


澪の顔を見るたびに、苛ついていた時間がなくなる。

そんなことを考えていると、ホッとした気分になれた。


いえ、それ以上に快感という感覚かしら。

このアプリ、本当に使える。

翌日、学校に行くと、みんなの話題になっている。

澪が自殺したと、先生からも告げられた。


澪は、歩道橋から飛び降り、電車に轢かれたと。

ただ、自殺の理由がわからず、また警察が動いているらしい。

先生は、黙とうを捧げると言ったけど、私は笑いがこみ上げてきた。


先生は、そんな私をみて、不敬な態度だと怒っているようだった。

でも、いじめを見て見ぬふりをした先生から言われる筋合いはない。

しかも、自殺したのは自業自得でしょう。


先生が、それ以上、何も言えずに下を向いていたのは当然だと思う。

澪の取り巻き達も、私に話しかけることはなかった。

次は自分かもと怯えていたのかもしれない。


自殺したことになっているのだから、怯えることはない。

ただ、これから、私にちょっかいを出したらアプリで殺すかも。

だからおとなしくしていなさい。


いずれにしても、これで、私を貶める澪は消えた。

澪を一生、見ることなく過ごせるんだと心が躍る。

その晩は、微笑みながら、ぐっすりと眠ることができる。

これも、このアプリのおかげ。


私は、このアプリに心が惹かれ、次のターゲットを考えていた。

最近、口うるさい両親のことを。

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