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アプリで殺してみただけなのに  作者: 一宮 沙耶


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1話 高校教師

面白いアプリがあるという噂を聞いた。

嫌いなやつをゲームの中で殺せるというストレス発散ゲーム。

興味があり、すぐインストールをする。


App Storeを見たけど、出てこない。

噂で聞いたとおり、指定されたメールアドレスにメールを送ってみる。

そうすると、ダウンロードサイトが送られてきた。


そこからダウンロードができ、無料アプリと書かれている。

ログインの画面で、私の氏名、顔写真を入力してユーザ登録をしたら開始。

どうすれば殺せるのかは分からないけど、使っていれば分かるはず。


画面とかダークな感じでセンスがいい。

嫌なやつを、このサイトで殺せそうな雰囲気が漂っている。

殺したい人の名前と暮らすエリアを入力すると顔写真が出て選択する。


どうして大量の人のデータがアプリに登録されているのかは分からない。

それとも、私が知らないだけで、ほとんどの人が使っているのかもしれない。

使う段階で、氏名や顔写真を登録するから。


いずれにしても、使う人にとっては、それだけの簡単な操作画面。

本当に殺したりしないんだろうけど、私の心の中だけで消せればいい。

それだけで、日頃のストレス解消になる。


私は、日頃から嫌で、いなくなって欲しいと思っている人がいた。

私の担任の男性教員。

その担任は、いつも、いやらしい目で私を見てくる。


この前、その目線の先には、私のバストがあった。

何を想像しているのかしら。本当に、気持ちが悪い。

私の身体に、汚らしいものがまとわりつく感じ。


女性なら、誰でも生理的に受け付けないぐらいの気持ち悪い存在。

この前も、その目線は、私のバストから下に降りていく。

どんなパンツをはいているのかと想像しているに違いない。


腰に手をまわすと、この女子生徒は喜ぶと考えているに違いない。

そう思う担任の手が私に触れる姿を想像したら吐きそうになった。


私が幼稚園児で、公園で遊んでいた時の記憶が蘇る。

母親が目を離した隙に、知らないおじさんに連れていかれた。

そのおじさんがカメラを手に持ち、私の服を脱がせていたらしい。


幸いに、警察が私を見つけ、写真を撮られることなく終わる。

私は何が起きているか分からなかった。

でも、恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。


それからしばらくは、着替える度に思い出し、吐き気がしていた。

おじさんがそんなことをしたのは自分のせいだと自分を責めていた。

そして、小学校に入っても、その気持ちは消えない。


むしろ、大人の男性への恐怖、自責の念は日に日に増幅していく。

だから、私は、おじさんがいる環境にはいたくないと両親に伝える。

これを受けて、両親は私を中学から女子校に入れた。


担任は、そのおじさんと外見が似ていて、見るだけで吐き気がする。

何か、体が汚されそうで、同じ空気を吸っているだけでも苦しい。

この学校に入ってから、本当に嫌な存在だった。


しかも、この担任の見た目は、男性としての魅力がゼロ。

カエルのような顔をして、髪の毛も薄くてハゲている。

体もぶくぶく太り、足も短い。

まるで化け物のようで、見ているだけでも吐きそうになる。


こんな奴が女子校の教員をしているのは違和感がある。

女子生徒から好かれず、男女問題を起こさないと思われたのかしら。

だから採用されたのだということなのかもしれない。


まずは、真っ先に、この担任でアプリを試したかった。

アプリで担任の顔を選択すると、スマホ画面に黒い煙の穴がでてくる。

その途端、スマホに吸い込まれてしまった。


真っ暗な空間に入ったと思ったら、気づくと周りは知らない所。

私は、真っ暗な夜道で、街灯の下に立っていた。


今時のVRは、こんなにすごいのかしら。

ゴーグルとか何もつけていないのに。

あまりにリアルで、まるでここにいるとしか感じられない。


その時は、不思議と違和感がなかった。

今どきのアプリはすごいなという感覚だけで。

もしかしたらドラッグかもとも思ったけど、そんな記憶もない。


真っ暗な夜道で、街灯の下に私は立っている。

どこか知らない道で、東京の郊外にあるような住宅地。


電柱に書かれた住所表示は三鷹市とある。

そう、担当が住んでいる所だった。


三鷹市なんて来たことがないのに、私は今、三鷹市にいる。

違和感まんさいなのに、それほど驚きはない。


ポケットに手をいれると、そこにはナイフが入っていた。

これがアプリが用意した武器ということなのだと思う。


商店街の道に、シャッターが閉まったお店がずっと続く。

辺りはペットボトルが転がる音だけで、静寂が包み込む。

時計を見ると、針は夜の11時を指していた。


道路はそれほど広くない。

車がなんとかすれ違うことができるぐらいの幅。


道路沿いに木々とかはない。

いくつかのお店の前には鉢植えの花がある。

そろそろ梅の盆栽とかのお花が咲きそう。


アスファルトの道の両脇に歩道がある。

歩道の脇には2階建てのお店しか見えない。

道沿いにある電灯が道を照らし、そんなに暗くはない。


この時間なら、誰かが道を歩いているはずなのに、誰もいない。

コンビニもあるけど、人気は感じられない。

コンビニの中を見ても、店員の気配はない。


ただ、人がいないだけで、見える光景はすごくリアル。

VRのメガネとかつけていないのに、どうなっているのかしら。

最新の技術に感激していた。


そんなことに感心していると、担任が酔っ払って歩いてくる。

何か獲物でも見つけたようににやけた顔の担任。

酔っ払っているせいか、いつもよりもあからさまに私のバストを見る。


「おい、工藤か? こんな時間、夜道を歩いていたら危ないだろう。僕が家まで着いていってあげよう。」

「自分で帰れるのでいいです。」

「遠慮するな。」


担任の姿も本当にリアル。どこから見ても、学校で見る姿と変わらない。

しかも、吐く息からお酒の臭いにおいまでする。

いえ、歯周病なのか、耐えられないぐらい臭い息。


担任は、私を頭から足まで、よだれを出しながら見ている。

そして、私の肩に手を回してきた。

本当に気持ちが悪い。私は、無意識に、担任を両手で押していた。


「何をするんだ。お前のことを思って言ってるんだぞ。」


そんなはずはない。

ただ、女性の体に興味があるだけだと分かっている。

担任はそんな下劣なやつ。


担任は、ふらつきながら、再度、私の肩に手を置いた。

酔っ払って私の体に触れる担任が、本当に気持ちが悪い。

思わず、ポケットからナイフを取り出し、担任のお腹を下から刺していた。


ナイフの刃を上向けにしてお腹を刺し、上に上げる。

そして、そのまま、ぐるっとナイフを回し、右に切り裂いた。

担任は、激痛のあまり目玉が飛び出そうな表情になる。

お腹を抑えて仰向けに道路に倒れた。


助けてと私に手を伸ばしてくる。

どうしよう。担任は犯人が私だと分かっている。

生き延びれば、私に刺されたと言うに違いない。


担任は、口から血を吐き、何が起きたのか理解できない様子。

手足は痙攣を起こし、お腹から大量の血が流れ出す。

血が溢れる口から、私の名前が聞こえた気がした。


担任は、私の足をつかむ。そんな手をあわてて振り払った。

私の足には、手の形で血がべったりとついている。


ここまでリアルだと、現実じゃないって言い切れないかも。

これは幻想ではなく現実なのかもしれない。

それなら、殺すしかない。


私は、心臓をめがけて、ナイフを再び振り落とした。

血しぶきがあがり、私の顔、シャツも血だらけになっている。

こんなカエルのような担任の血なんて、本当に気持ち悪い。

早く、体を洗わないと。


でも、痙攣して死にそうな担任をみて、急に怖くなった。

私は、ナイフを投げ捨て、ひたすら走って逃げる。

もう、ここまですれば生きていないはず。


もしかしたら、監視カメラに殺人現場が映っているかもしれない。

でも、これはアプリの中でのことのはず。

現実であるはずがない。


でも、私は人を殺してしまったのかもしれない。どうしよう。

私は、走りながら、幻想と現実のはざまで困惑する。


それからの記憶がない。

目が覚めたら、自分の部屋のベッドで寝ていた。

あの記憶は、なんだったのだろう。


あまりに生々しい記憶。

体に浴びた血を洗った記憶はなく、血の痕跡は全くない。

だから、あれはアプリの中の出来事。

本当に人を殺したわけじゃない。


ただ、本当にリアルだった。現実だったのかしら。

周りは見たことがない風景だったし、誰一人として歩いていなかった。

だから仮に現実だったとしても、犯人が私だと特定できないはず。


翌朝、学校にいくと、学校は大騒ぎになっていた。

担任がナイフで刺されて殺されたとクラスメートが話す。

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