ヤンデレ公爵令嬢はヤンデレ王子と相愛です
テアトロ王国の王太子、ギルバート。
武のチェスナット公爵家、その令嬢、レベッカ。
二人の婚約は両家の利害が一致した故のこと、即ち政略結婚だった。
しかし、二人は互いのことが大好きだった。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
静かな室内に、ひたすらクッキーを齧る音が響いていた。
何故かと言えば、部屋の主が傷心しているからだった。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
時折、かちゃり、ティーカップを持ち上げる音が混じる。
部屋の主が静かに紅茶を飲み、そしてまた、
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
かれこれ三十分、この奇行は続けられていた。
赤みがかった暗い黄褐色を基調とした室内には、部屋の主、チェスナット公爵令嬢レベッカがソファに佇むのみ。他には誰もいない。レベッカが人払いをしたからだ。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
サクリ。もぐもぐ。ゴクン。
音が止んだ。
レベッカはカップの中身が空になったことに気づき、ティーポットを持ち上げた。だがそれも空で、ティーカップに水滴をいくつか落とすばかりである。
悲しみに明け暮れるレベッカには、新しく紅茶を淹れることすらも億劫で、ふらふらとベッドに近づいた。シーツの海に飛び込むと、枕をぎゅっと抱きしめて、
「ギルバート様が、お茶会来なかったぁ……!」
泣いた。二つの焦げ茶の瞳が熱っぽく潤む。
レベッカが傷心していたのは、溺愛していた婚約者、ギルバートに初めてお茶会の約束を反故にされたからであった。
それも、断りの手紙もなしに。
「ギルバート様との婚約は、確かに政略によるものだけどっ!でもあの人は確かに私の婚約者で、だから、今までいっぱい尽くしてきたのに!月光を集めて溶かしたみたいな綺麗な金色の髪も、深くて蒼くて青い美しい碧眼も、長い睫毛も綺麗な爪も私より少し低い背を気にしているところも全部好き!出会った時から変わったところも変わっていないところも貴方の無意識の癖も全部全部愛してるよ!ギルバート様すらも気づいていないような部分まで貴方の隅々が私は大好き、すごく好き!好き!好きなの!ギルバート様のこと大好きだから、出会ったときからその想いはただただ膨らむだけだから、だから貴方には、ギルバート様には望むものを全部全部あげたくて!ギルバート様のためなら何だって捧げられるしなんだってできる、ギルバート様が私のことを嫌いでも貴方に全てを捧げて死ねるなら本望だよ!お茶会に来なかったのは私のこと嫌いだから?けどギルバート様に愛されなくても、私はいっぱいいっぱいあげるよ!?ギルバート様の欲しいもの、全部全部!今日はこの前好きって言ってた百合の花だって用意したし、ギルバート様の大好きなケーキも紅茶も、部屋だってギルバート様の好みを探って模様替えしたし、私自身もギルバート様が好みそうな髪型、服装、メイクとアクセサリー、全部全部ギルバート様のために用意したよ?ギルバート様が望むなら身も心も地位も名誉もお金も家も、地縁血縁に至るまで、私に関わるものの全てを捧げるよ?ギルバート様、足りない?私は貴方のこといっぱい愛してるのに、こんなに貢いでてあなたにいっぱい差し出してて、なのに足りないの?でもいいよ私はそれでもいいよ、だってあなたが好きだから!私の好きを貴方の一部に、そしてゆくゆくは私ごと、この愛を喰らい尽くして?愛したい、ギルバートさま貴方を愛したいの、愛したいなぁそれだけで十分だから、それだけで私は幸せで満たされていて、ねぇいっぱいいっぱい大好きだよ?ああ会いたい、会いたいなぁ、だって会えたらもっと愛せるでしょ?会いたい、会いたいよそれでもっともっと愛したい、会いたい愛したい、もっともっと愛してほしいの?いいよ大好き、好き好き好き好き好き好き!」
レベッカは足をばたばたさせて愛を叫んだ。貴族令嬢としてはあるまじき行いである。
レベッカはひとしきり暴れた後、ごろんと寝返りを打った。
自慢の長い伽羅の髪が、ベッドの上に広がる。薄い桃色の唇から、甘く儚い吐息が漏れた。
「はぁ、何でお茶会に来なかったんだろう、連絡もないし……愛想を尽かされたわけではないだろうけど……うん、だってこんなにギルバート様に貢いでるんだもの、私がギルバート様に捨てられるわけないよね?」
レベッカはギルバートに同量の愛を貰いたいわけではない、ただ溢れんばかりの愛をギルバートに渡されたら、ただそれだけでいいのである。
だが、ギルバートに捨てられたら、遠ざけられたらその愛を渡すことすらできない、故に側にいたいのだ。
「ああ、会いたいなぁ、あなたの側にいたい。ギルバート様、今どこにいるの?私を捨てないで?望むもの全部あげるから、ね?私以上の女なんてそうそういないよ?」
そこまで行ってから、レベッカははっとして体を起こした。
待て。待て待て待て。待て。
そんな訳ない。早まるな。
しかしレベッカの脳内で、姦しいほどの警鐘が鳴っている。
「私以上の、女……?私よりもいい女なんて勿論いない、いないはず……だって私は完璧な淑女で、ギルバート様のことを守ることができて、それに身分だって国内の女性の中では王妃様の次に高い……」
否。
「違う」
今この国には一人だけ、奇跡の御業である魔法を使うことができる人物、
「聖女様が、いる」
そう、その可能性。王族の次に貴い身分の聖女。あの女に寝取られたのなら。
「へぇ、そう……ふ、ふふふ。あははっ、あはははははは!そう、あの雌豚が!?ついに本性を現したのね!?ええ、ええ、あり得ない話じゃないわね、だって他の貴族たちがこのわたくし、チェスナット公爵の一の令嬢たるレベッカに牙をむくだなんてないもの、絶対にない!あははっ、いつかこんな日が来るのではないかと思っていたのよ、だってあの淫乱聖女よ!?いつもいつもギルバート様に色っぽい目で媚を売って!いつもいつもわたくしに妬まし気な目で喧嘩を売って!あいつならやりかねないわ!あの害虫なら!」
レベッカはベッドを飛び降りると、繊細なレースがふんだんに使われたドレスを脱いだ。
ドレスの後ろは紐で結ばれていて、本来ならば側仕えに手伝ってもらわなければならない。しかし最早彼女らを呼ぶ時間すらも惜しく、レベッカは生地を破いて放り投げた。
クローゼットを開け、動きやすい服を取り出す。いつも剣の稽古などの際に使う服だ。
コルセットなども外しつつ、レベッカは頭を回転させる。
「ギルバート様だって公務が忙しくて茶会に来られないならば手紙の一つや二つ寄越してくれるはず、なら聖女が何らかの事件を起こしたとみるべきね。その事件にギルバート様が巻き込まれた……事件の内容は他所には洩らせないようなものかしら?だったら辻褄が合いそうね。聖女とは無関係なところでギルバート様が事件に巻き込まれた可能性もゼロではないけれど、ギルバート様にはわたくしが素手で相手を制圧するやり方を教えているもの、盗賊の二十人程度なら軽く蹴散らせるし……ならばやはり聖女が怪しいわね」
着替え終わったレベッカは一応の結論を出すと、剣を佩いた。頼もしい重みを腰に感じつつ、レベッカは部屋の窓を開ける。
玄関から出るとなると時間がかかるに決まっている、最短ルートをとるなら窓しかなかった。
余談だが、レベッカの部屋は屋敷の二階である。
「まずは王宮へ」
レベッカは不敵に笑うと、窓から勢いよく飛び降りた。
♡♡♡
血の匂いがした。
ひやり、冷たい地面に転がされていたギルバートは薄ら目を開ける。
暗かった。地面に藁が散らばっていた。粗末な小屋の中のようだった。
窓はなく、ただ扉の隙間から細く光が差し込んでいた。
辺りは獣と血と糞尿の匂いがした。豚か鶏の解体小屋だろうか、どちらにせよ、一国の王太子を放置していて良い場所ではない。
ギルバートは起き上がろうとして、しかしバランスを崩して倒れた。
「え」
両手が縄で縛られていた。足も同じようで、縄のチクチクとした感触が痛い。
少し動かしてみれば、どうやらかなりきつめに結んであるようでびくともしない。
「っ……」
頭がずきりと痛む。そういえば、何故ここにいるのだろうか。午前中に公務を終えて、午後からはレベッカとの週に一度の茶会のために出掛けるはずだった。いや、その前に確か聖女と昼餐を共にする約束があったはず……
ばん、
という音がした。見れば扉が開かれており、二人の大きなごろつきが入ってきた。
「なんだよ、依頼主からここまで運んでおくって聞いたときは確かに嫌な予感がしたが、まじであいつこんなとこに放置していったのかよ」
「可哀そうになぁ、たしかどっかのお偉いさんの息子だろ?」
国王の息子です、つまり王子です。ギルバートは心の内で叫んだ。
ともかく、何故か哀れまれているということは分かった。
会話の内容から、ギルバートをここまで連れてきたのは別の人物なのだろうか。
「な、なんだ君たちは。どこなんだ、ここは」
少し声が震えた。それでも目は逸らすまいと、姿勢を正してまっすぐにごろつきたちと向き合う。
「うーん、どう話すべきかな……俺たちはお前の身柄を預かってほしいと頼まれたんだ」
「頼まれた?」
「そう、お前は人質で、金が支払われればお前は家に戻れる」
「……僕に傷をつければ身代金が満額支払われる可能性は低い?」
「そう、だから人質は丁重に扱う」
ギルバートは辺りを見回した。やはり、獣と血と糞尿の匂いがする粗末な小屋だった。
ギルバートが言わんとすることが分かったのか、ごろつきは、
「あーわりぃ、俺たちは人質の身を預かるよう頼まれただけで、攫ってきたのは別のやつなんだ。そいつがお前をここに放置していっただけだからな?お前に乱暴してもむしろ困るのは俺たちだからな?」
と言った。ごろつきが巨体を丸めて申し訳なさそうにしているのが何だか滑稽だった。
ごろつきはナイフを取り出すとギルバートの足の縄を切り始めた。
「……良いのか?」
「さっきも言っただろう、お前を手荒に扱ったところで俺たちにとってはマイナスなんだ。依頼主が望む以上の身代金を貰えなければ、困るのは俺たちだからな」
とりあえず、この冷たく臭い粗末な小屋で何日も過ごさなければいけないわけではないらしい。
ギルバートはほっと息を吐いた。
「よしっ、切れたぞ。ほら、手の方も貸してみろ」
「ああ」
「にしても災難だなぁ、お前。とりあえず、ここらで手に入る中でも質のいい毛布は用意したが……何か他に欲しいものはあるか?」
「……どのくらいで家に帰れるんだ」
「それは分からないな。まああんまり期待はしない方がいいぞ。家族や友人にもしばらく会えないだろうな」
そう言われて、ギルバートの脳裏によぎったのは。
『ギルバート様!』
レベッカ。
ひゅっ、と喉が鳴った。体がぐらりと揺れて、藁の散らばった地面に崩れ落ちた。
「っ!?おい、大丈夫か!?」
ごろつきの声すら、少し遠くに聞こえて。呼吸が上手くできなくて。そしてその中でギルバートが思ったのは、
会えない?レベッカに会えない?ああレベッカ、どうして、なんで、なんでなんでなんで会えない?会いたいのに、レベッカがいないと何もできないのに、レベッカ、レベッカレベッカレベッカ、側にいてくれるだけでいいんだ、一週間に一度だけの茶会でも、それでも君に会えるならそれでよかったんだ、君のどんな宝石よりも美しいその伽羅色の髪が、アーモンドみたいな形の焦げ茶の目が愛おしくて、君は地味だと言うけれどそんなことない、伽羅色の髪はなによりも甘くて優しいじゃないか正直誰にも見せたくないくらいなんだよ、君はいつも取り繕った表情で僕と接しているけれどその焦げ茶の瞳に乗った感情はすごく鮮やかで、君を含めて僕以外気が付いていないのが本当は嬉しいんだよ、だって僕だけの特別じゃないか、僕が独り占めしてるってことじゃないか、そんなのってすごくすごく喜ばしいことじゃないか、君さえいればいいんだそう君さえいれば、君さえいれば良かったんだ、なのに会えない?こんなにレベッカに会いたいのに?ああ会いたい、会いたい会いたい会いたい、君がいなければ僕は何もできないのに、離れたくない、ずっと僕の側にいてくれるだけでいい守りたいなんて望まないから、君には何も請うたり強制したりしないから、ただ隣にいてほしいんだ僕は、だって君を守るだなんて傲慢なことを望める立場じゃないから、だからお願いだから優しく寄り添って、いや寄り添ってくれなくてもいいただ僕の側から離れないでほしい、あの白磁のような白い肌が、砂糖よりも甘い甘い甘い伽羅の髪が、鮮彩に感情を映す焦げ茶の瞳が、薄く柔らかい桃色の唇が、優しくて強くて凛とした一輪の花のような君が、ある種の芸術品のように優美な君が、側にいてほしい、隣にいてほしいそれだけでいいのに!なのに、なのになんで?攫われて身代金を要求された王太子なんて最悪じゃないか、君は幻滅するかな?婚約解消もされるかもしれない、ああ、いやだ、いやだいやだいやだ、だってそんなの君が他の男に取られるってことじゃないか、君が他の男に身体を暴かれて貞操を奪われて、いやだいやだいやだいやだいやだいやだ、僕は君なしじゃ生きていけないのに失いたくないのにそれなのにもうこのまま会えないかもしれない?少しの間会えないだけでもこんなにこんなにこんなに苦しいのに?ずっと会えない?会えない?会えない?ああ、ああ失いたくない、失いたくない失いたくない失いたくない失いたくない失いたくない失いたくない!
ギルバートが思ったのは、ただただレベッカへの恋慕で。だから。
ごん、
という音が小さな小屋に響いた。ギルバートがごろつきに頭突きをかましたのだ。
「っ……てめっ……!」
「っ、ははっ、悪いね、僕は君たちがどうなろうと知ったことではないんだ。僕はただレベッカさえいればよくて。だからさ」
ギルバートは手首を縛っていた縄を振りほどいた。
ごろつきが切れ目を入れていたために、あっさりと千切れた。
「愛しい婚約者のために、死んでくれるかな」
♡♡♡
レベッカは愛馬を駆けさせて王宮へとたどり着いた。
チェスナット公爵家の子息子女に与えられるブレスレットを門番に見せると、困惑しつつも門を開けてもらうことができた。
確かに公爵家の令嬢が一人で、それもこんな服装で馬を走らせてやってきたら驚くだろうな、とぼんやりと思いつつレベッカは城内を走った。
何人もの文官や騎士が驚いたようにレベッカを見るが、構っていられなかった。
「ギルバート様!」
レベッカがギルバートの部屋の扉をノックもせずに蹴破ると、中にいた騎士や側仕えが驚いたようにレベッカを見た。
「ち、チェスナット公爵令嬢!?」
レベッカは厳しい顔で部屋にいる者たちを見回した。
その中にギルバートの姿はない。
「突然の無礼を承知でお聞きします。どうしてギルバート様がいらっしゃらないのかしら?」
「ひ、非常識だ!先触れもなしにやってきて、殿下の部屋に押し入るなどと!と、扉だって壊れているではないか!」
「あら?」
頑固そうな騎士の言葉にレベッカが背後を見れば、ちょうど蹴り開けた部分に大きな穴が開いていた。
やってしまったかしら、と思いながらレベッカは振り返ってその騎士を睨む。
「非常識も何も……今現在、非常事態であるというのに、何を悠長に先触れなどしている暇があると思うのですか?」
「なっ!?何故、なぜ非常事態であると知っているっ!?」
「馬鹿っ!」
頑固そうな騎士が他の騎士に怒られた。どうやら鎌かけだと思ったらしい。
「鎌をかけたのではありませんよ」
「えっ」
ならば何故、という騎士にレベッカは口元だけの笑みを浮かべた。
「なぜって、決まっているではありませんか。誠実で優しくて愛しい愛しいギルバート様が、お茶会を欠席されたからですよ。そんなの非常事態に決まっているではありませんか」
それに、とレベッカは言葉を続ける。
「誠実なあの方に限って無断でお茶会を休むなどあり得ません。それに、わたくしたちの縁は恋愛で結ばれたものではありません。一週間に一度の茶会は義務付けられたものです。それを破れば何かあった時に不利になるのはどちらか、少し頭を使えばわかること。ならば、何らかの事件に巻き込まれていると考えるのが順当でしょう?」
内輪でもみ消したかったのならば断りの手紙を偽造すべきでしたね、罰は免れなかったでしょうけれど、と笑うレベッカに騎士たちは震え上がった。
その笑みは口元だけで、焦げ茶の双眸は雪風巻のように冷たく怒りが吹き荒れていた。
「聖女様が絡んでいるのでしょう?」
「んなっ!?」
何故それを、と言いかけた側仕えが慌てて口を塞ぐがもう遅い。
へえ、と口元だけの笑みを深めるレベッカに、部屋にいる面々はひやり冷たい汗を流していた。
「詳しい話を聞かせてくださる?」
「……それは」
「それともあなたは、わたくしのギルバート様を虚仮にしたいのかしら」
レベッカは腰の剣に手をかけ、抜きかけて見せた。
「レベッカ様!」
その時、壊れた扉を押し開けて、一人の騎士が飛び込んできた。
押し開けたというよりもぶつかって開けたというような感じで、扉の損壊はますますひどくなった。
「アラン?」
「はっ」
ようやく話が通じそうな人物が来たわね、と溜息を吐くレベッカに、騎士のアランが首を垂れる。
「申し訳ございません、レベッカ様。ギルバート殿下が攫われたのは私の不徳の致すところです!このアラン、どんな処罰でも受け入れる所存でございます」
「今はいいわ」
「しかし、この命を持って償ってでも……!」
「いいわ、と言ったはずなのだけれど」
冷たい目がアランに向けられた。
「その耳は飾りかしら」
「……申し訳ございません」
「自分の為すべきことも分からない愚か者はいらないのよ、アラン。いつから王太子に仕える者たちがこのような痴人の集まりになったの?」
アランはもっと賢い人だとレベッカは思っていた。
他の人々も、アランほどではないにせよ、優秀な人材がそろっているはずだった。あの優秀な王太子に侍るのだから、当然に。
レベッカの内心に、しんしんと、怒りと焦りが積もっていく。
撓雪。木や枝をたわませるほどに降り積もった雪。
今、レベッカの内心はそれに近かった。怒りがゆっくりと降り積もり、今にも枝が折れて手のつけられない事態になりそうな。
「アラン、説明を」
「……本日、殿下はお茶会の前に聖女マリアとの昼餐会が予定されていました。そこで私は殿下に用事を言いつけられて外していたのですが、戻ってくると殿下と聖女マリアが人払いをして話していると聞きました」
「人払いを?」
「はい。怪しく思い、扉をノックしてみたのですが返事がなく、無礼を承知で部屋に入ったところ誰もいませんでした」
「……成程」
「窓が開いていたのでそこから出て行ったものと思われます」
「ギルバート様はマリアに攫われたのね?」
「はい、そこは確定ではないかと」
やはりか、と思う。
先程までの口ぶりからして、マリアが既に黒であることはレベッカも気が付いていた。
「ギルバート様の居場所は分からない?」
「いえ、それはまだ……しかし、聖女マリアの居場所は既に把握しております。殿下と一緒にいるわけではないようなので、現在見張りをつけて泳がせているところです」
「そう、遅くはないわね」
しかし早いとも言い難い。
ギルバートが今どこにいるのか、どんな状態なのか。レベッカは不安で仕方がなかった。
「あの容姿と魔力ですから。見つけるのは容易いです」
成程、それはそうだろう。
彼女は伊達に聖女と呼ばれているわけではない、見る者をはっとさせる美貌、無意識に人を引き付ける魔力。それらを兼ね備える奇跡のような存在だ。
「マリアがギルバート様と合流するとも限らないわ。悠長にしている暇などないでしょうね。アラン」
「はい、案内いたします」
♡♡♡
ものの数分でごろつき二人を伸したギルバートは、意識を集中させて周囲に人がいないか、気配を探った。
はっ、とギルバートは扉を見やった。
誰かがいる。
ギルバートは慎重に扉に近づくと、素早く片足を持ち上げて、
「はあっ!」
蹴破った。
レベッカに教わった会心の蹴りは見事に決まり、扉向こうの人物は悲鳴を上げながら倒れこんだ。
「きゃあっ!」
同時、強い風の衝撃。ギルバートが小屋の奥に吹き飛ばされる。
「げほっ、げほっ……だ、誰だっ!?」
「しーっ。静かに、ですよぉ」
「え……」
ギルバートの唇にほっそりとした白い指があてられる。
見れば、暗い室内に差し込む日光を反射するのは伽羅色の髪――
「レベッカ……?」
「は?」
恐ろしく低い声が聞こえた。思わず、ひっと喉が鳴る。
違った。伽羅色の髪などではなかった。
その髪の色は、あの美しい伽羅色と比べるとあまりに作り物っぽく見えてしまう桃色。
「ま、りあ……?」
「……」
聖女マリアだった。
どうして。そう思うと同時、合点がいった。
レベッカの指はあんなに細くはない。鍛えられた、強い女性の指だ。
先程吹いた突風は、恐らくマリアの風魔法だろう。
この国で魔法を使うことができるのは聖女だけだ。
ごろつきが言っていた依頼主というのはマリアのことではないか。
ごろつきは捨て駒で、だから身代金云々という嘘の話を伝えられていたのではないか。
聖女はごろつきに暴行を加えられているギルバートを助け出し悲劇のヒーローになる予定だったのだろうが、ごろつきはギルバートを丁重に扱うわ、ギルバートがごろつきを倒すわでこの展開は予想外だったのではないか。
そして何より、ギルバートがこんなところにいるのは、
「僕を攫ったのはお前か、マリア」
そうだ、ギルバートはマリアとの昼餐会で食後の紅茶を飲んでいるときに、二人きりで話がしたいと言われたのだ。
この国の存続に関することだから、と言われててっきり神からの啓示でも受けたのかと思っていたのだが。
「騙したのか」
「騙す、って……馬鹿みたいな質問ねぇ」
「馬鹿?」
「騙したのはあんたの方でしょ、くそ王子」
先程よりも強い突風が吹いた。マリアの魔法だった。
ギルバートは小屋の端に置いてあった木箱にしたたかに頭を打ち付け、地面に倒れこんだ。
「っく、ぅ……」
ギルバートの視界が明滅する。早く逃げなければ、そう思うのに体が言うことを聞かない。
靄がかかったような視界の中で、マリアがギルバートに近づいてくるのが分かった。
「私ね、あなたが好きだったの」
え、
と思うと同時、ギルバートに馬乗りになったマリアに強く頬を打たれた。
そんな細い腕のどこにそんな腕力があるのか、それくらいに、ぶたれた頬は痛かった。
「初めて聖女として王城に来た時。あの時に好きになったんだぁ。一目ぼれだったの」
ぱちん、ぱちん、と頬を打ちながら、マリアは静かに話し出す。
「こんなかっこよくて素敵な男性がいるんだなってびっくりしたの。わたし孤児で、その中でも体が小さくて今までずっと虐げられる側だった。でも聖女だと分かったらみぃんな手のひら返して聖女様、聖女様って媚びた笑みでにじり寄ってきて、気持ち悪かった。嫌悪感しか抱かなかった。でもね、あなただけは違ったんだ。あなただけは私に優しく微笑みかけてくれて、だからっ、だから好きになったのっ、私は!それなのにっ!あなたは婚約者のことが大好きでっ!」
ああもう、本当腹立つ、とマリアは呟く。
「ギルバート、これからは二人で暮らすことにしよ?どこか遠くの森の中に家を建てて、二人だけで暮らすんだよぉ。うん、名案!あーでもギルバートは婚約者のことが大好きだから忘れられないかな?さっきだって私のことレベッカって呼んだし、そうじゃないってわかったら傷ついたみたいな、落胆の表情で私のことを見たもんねぇ?あはっ、じゃあこれからはお仕置きだよ?私、ギルバートのこと守るから、だからギルバートは一歩も家から出ないでね?ほしいものならなんだって買ってあげるから!ギルバートは何もしないで、どこにも行かないで家の中にいて?私が全部やってあげるから。あ、そうだ、最初の内はどこかに鎖で繋いでおいた方がいいかな?今だって逃げようと必死だもんねぇ?私から逃げないようにしておかないと、私のこと大好きにさせてあげないと、大丈夫、わたし貴方のこと大事にするからね!」
あはっ、と笑うその瞳は怪しげに揺らめいていた。
マリアは話している間ずっとギルバートの頬を叩いていて、ギルバートはぼんやりと、マリアの言うお仕置きは痛いんだろうな、と思った。
それから、マリアとずっと一緒は嫌だな、と思った。
願わくば、ギルバートの最愛の人とずっと一緒にいられたら。ああ……
「……っか」
「ギルバート?なぁに?」
「れべっ、か」
一拍置いて、マリアが顔を真っ赤にした。
「っ、このっ……!」
マリアが右手を振り上げて、それで。
ひゅっ、と風を切る音がした。
悲鳴と共にギルバートの上に乗っていたマリアが吹き飛ばされる。
粗末な小屋の壁に、マリアと同じ形の穴が開いた。
「ご無事ですか、ギルバート様?」
そう言いつつくるりと振り返ったのは、ギルバートの最愛の人。
伽羅色の優しく甘い髪が、風に吹かれて柔らかに揺れている。
「わたくしがギルバート様を守りますわ!」
「レベッカ!」
♡♡♡
騎士のアランと共に見張りの騎士と合流したレベッカは、マリアが王都のはずれにある家畜の解体小屋に入っていったと聞くや否や走った。
見張りの騎士は気配を悟られないよう、ギリギリ目視で小屋が確認できる位置に潜んでいたため、かなりの距離があったが構わなかった。
ギルバート様。ギルバート様、ギルバート様、ギルバート様!
頭の中でその単語だけが駆け巡った。風すらも遥か後方に置いていく速さでレベッカは走った。
小屋を吹き飛ばすほどの勢いで中に入ればそこには、
ギルバートに馬乗りになって右手を振り上げるマリアがいた。
頭が真っ白になった。ギルバートが傷つけられている。レベッカの愛しいギルバートが、傷つけられている!
その光景を目にした瞬間、レベッカは動いていた。
自分でも何が起こったかわからなかった。風どころか音も光もすべて追い抜いて、反射でマリアを蹴飛ばしていた。
壁を壊してマリアが外に放り出されたが、もうどうでも良かった。
「ご無事ですか、ギルバート様?」
あなたが無事なら、それで。
「私がギルバート様を守りますわ!」
「レベッカ!」
それでもう、十分。十分な贈り物だから。
あなたが無事なら、それだけで、私があなたにあげる全てより愛おしいのだから。
ギルバートが、レベッカを抱きしめた。
よく見ればその手は震えていて、頬も真っ赤に腫れ上がっていた。
「ギルバート様……大丈夫、ですか?」
「っ、だい、じょうぶ……」
少し、声が震えていた。
ギルバートの不安をなくしてあげたくて、レベッカがギルバートの背中に手を回して、そこで、ふと気が付いた。
「っ、あっ、やっぱり駄目っ」
「レベッカ?」
ギルバートがレベッカを見る。身長はレベッカの方が高く、自然とギルバートが見上げる形になった。
上目遣いのギルバート様可愛すぎるぅ、と内心で悶えつつ、レベッカはギルバートから離れようとした。
「駄目?」
「っ、だ、駄目じゃない、けれどっ、今は駄目ですっ!その……………………あ、あせ」
「え?」
「…………今のわたくし、すごく、すごく……汗臭くて」
「……ありがとう」
「……何故、お礼を言うのですか」
「だって、僕のこと探してくれたから。嬉しくて」
ギルバートは、つまりレベッカが汗臭いのはレベッカがギルバートのことを必死で探し回ったからであると、だから構わないというのだ。
「......大好きです、ギルバート様」
「僕もだよ、レベッカ」
今度こそ、レベッカはギルバートの背に手を回して、抱きしめた。
場所は獣と血と糞尿の匂いのする粗末な解体小屋で、ギルバートの頬は真っ赤に腫れあがっているし、服も泥だらけである。
レベッカもいつものようなドレス姿ではなく腰に剣を佩いた稽古のときのパンツスタイルで、その上汗臭い。
決して、巷で流行っている恋愛小説に出てくるような、砂糖菓子みたいに甘いシチュエーションではない。
それでも、互いが何より誰より愛おしかった。
「ねえ、レベッカ」
「何でしょうか」
「ベッキーって呼んでいい?」
「……いいですよ」
「ねえ、ベッキー」
「何でしょうか」
「ギルって呼んで?」
「……いいですよ」
「ねえ、ベッキー」
「何でしょうか」
「……………………口づけしても、いい?」
レベッカは、返事をしなかった。
しばらく間が開いてから、ギルバートがこちらを見上げるような気配を感じた。
だがレベッカは顔を逸らしていたため、互いに今どんな表情をしているか、分からなかった。
いいですよ、の代わりに、レベッカは静かに頷いた。
ゆっくりと、二人は顔を見合わせた。
自分以外の誰にも見せたくない表情だな、とレベッカは思った。
自分もそうなのかもしれない、とも思った。
静かに唇が重なった。
それは、初めての口付けだった。例えるならばそれは、
優しい暖かさを感じる春の桃花水のように穏やかで。
音もなく天から降りしきる雁の涙のように静やかで。
朱夏に照り付ける太陽の光のように熱情的で。
うだるような暑さを攫って行く色なき風のように快くて。
穢れのない白い雪を素手で触れた時のように痛いくらいに痺れて。
それで、確かに互いの愛だった。
そんな、長い口づけをした。一度離して、それから。
「ギル」
「……ベッキー」
互いに、手を伸ばした。
どちらからともなく、ゆっくりと地面に倒れこむ。
レベッカがギルバートを見上げる形となった。
ギルバートがレベッカの頬を優しくなぞる。
壊れ物に触るように、繊細で、丁寧だった。
チェスナット家は武の家系であるから、レベッカの家族は優しくはしてくれても、こんな丁寧に接してはくれない。
自分を大切にしてくれるところも、レベッカは大好きだった。
ギルバートの指が頬をなぞり、顎をなぞり、首をなぞり、ゆっくりと下に移動していって、そしてそれから、
バキッ、と何かを殴る音が聞こえた。
二人ははっとして互いを見た。
正気に戻って、そしてそれからぱっと起き上がり、顔を逸らした。きっとギルバートもレベッカも真っ赤だった。
「ごめん」
長い沈黙の末、先に口を開いたのはギルバートだった。
「ごめん、レベッカ」
「ギルバート様が謝ることでは、ありません」
レベッカは少し硬い声で返した。しかしきっと、拒絶ではなかった。
互いに、愛称では呼ばなかった。
呼んでしまったら今度こそ一線を越えてしまう気がして、口を噤んだ。
また小屋の中に沈黙が落ちた。互いに気まずいようで、でも少し嬉しかった。
その静寂を破ったのは、また、何かを殴る音だった。
「……何でしょうか」
その音は、マリアが吹き飛んだ方向から聞こえていた。
レベッカは気が付かなかったが、マリアが吹き飛んだ時の形で穴ができていた。
二人がその穴から出てみれば、今度はマリアが馬乗りにされて殴られていた。
「アラン……?」
馬乗りになっていたのは騎士のアランだった。
何かはなし声が聞こえると思い、レベッカが近づくと、
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね、聖女だか何だか知らないがあの二人の恋路を邪魔するんなら死ね、あの二人は政略結婚だがどんなバカップルよりも愛し合っているんだよぽっと出の聖女如きが邪魔立てするな、レベッカ様はお優しくて聡明で慈悲深くて、けどそれだけならそこらに腐るほどいるがそれだけじゃなくて、ただただただただ殿下に尽くして尽くして尽くして、一途で愛おしいんだよ、しかも殿下を見る目が蜂蜜よりも砂糖菓子よりも甘くてとろけそうで、殿下のことが好きで好きでたまらないって思ってることがすごくすごく健気でかわいくて愛らしいじゃないか!殿下はレベッカ様とともにいるときだけ雰囲気が緩み切ってるんだ、公務をさばいているときは一国の王太子としてすごくすごく頼りがいのある雰囲気を醸し出してるが、一週間に一度のお茶会のときは見てるこっちが溶けそうなくらい雰囲気が甘いんだよ、片時も離れたくないって全身で叫んでるんだよ!二人はロマンス小説に出てくる身分差を超えて愛し合う男女よりも、はるか南の国に言い伝えられる互いを愛し合った悲劇の女王と将軍よりも、夜空の川を隔てて愛し合う二つの星よりも何よりも!互いのことが好きで好きで好きで堪らないんだよ!それを邪魔立てする権利など聖女にもないと思え、図に乗るな今すぐ失せろ今すぐ去ね二度とあのお二方の前に顔を見せるな!」
アランがマリアを殴っていた。平手ではなく、握りこぶしだった。
怖くないのだろうか、あの聖女に向かって、と思ったレベッカがマリアを見やれば、ぐったりとしていて息も絶え絶えという状態だった。どうやら魔法を使う前にタコ殴りにされたらしい。
あのマリアだってギルバートを叩くときは平手だったのに、と思っていると、ギルバートが笑顔でアランの制止に入った。
「アラン、その辺にしておけ」
「ですが、こいつは、」
何かを言いかけたアランがギルバートの方を向いてびくりと体を震わせた。
それよりも、とギルバートは笑顔で凄む。
「先程アランの独り言が聞こえてしまったんだが……僕の婚約者のレベッカが、何だ?」
「あ、いえ、その、」
「そのお話、わたくしも興味がありますわ」
ぱっと助けを求めるように顔を上げたアランが、その表情のまま固まった。
「わたくしのギルバート様に関して、何を呟いていたのでしょう?」
「ええっと、その……」
王太子とその婚約者に笑顔で凄まれたアランは、だらだらと滝のような汗を流して、助けを求めるように視線をさまよわせた。
一か月後。
チェスナット家の邸宅でギルバートとレベッカは静かにお茶を飲んでいた。
「そういえば、ギルバート様は聞きましたか?」
「何を?」
「マリアが、自分は聖女ではないと自供したみたいです」
「ああ、聞いた。確か、二か月ほど前に聖女を殺してなり替わったとか言っているらしいな。遺体は見つかっていないらしいが」
聖女は貴重な国の財産である。その地位は王族に次ぐもので、簡単に処刑などできない。
聖女が王太子を誘拐し暴行を加えた程度ならば、生涯幽閉しその力を国に捧げることになっただろうが、その聖女が偽物で、上記の罪に加え本物を殺したとなれば話は別だ。極刑は免れないだろう。
「真実なんてわからないわよね」
「ああ、そうだな」
二人は言い聞かせるように呟いた。
恐らく聖女は偽物ではないだろうと二人は思っていた。
だがあの日起こったこととしては、少しマリアに都合がいいように強風が吹いた、それだけである。
あれは魔法ではなく偶然であると断定されればそれまでだ。
聖女はギルバートとレベッカの記憶に残りたかったのではないか。
自らが死ぬことで愛するギルバートがマリアのことを一生涯忘れないように束縛し、憎きレベッカが一生涯忘れないような呪いとなる。
マリアにとってギルバートは、本当に命をなげうっても惜しくないくらいの存在だったのではないか、とレベッカは思った。
勿論、それは推測の域を出ないが。
「ギル」
びくり、とギルバートの体が震えた。
レベッカに少し咎めるような視線を送ってくるギルバートが何だかおかしくて、可愛らしかった。
「大丈夫。わたくしが、貴方の側にいますから」
レベッカは微笑んだ。
心の中でこっそりと、貴方のためならなんだってするし、なんだって差し上げますよ、と付け加えた。
「やはり、レベッカがいないと僕は何もできない」
「そんなこと……!」
「ベッキー」
かたん、とレベッカの手からティースプーンが滑り落ちた。
もう、とギルバートを見ると、彼は悪戯っぽく笑っていた。
意趣返しだ、と気が付いて少し拗ねてみせると、
「悪かった、悪かったから」
「笑いながら言われても説得力がありませんわ」
怒ったような素振りで、しかしレベッカも笑んでいた。
「レベッカ」
と言ってギルバートがレベッカの隣に座る。
「ギルバート様」
ギルバートの金髪が愛しくて、碧眼が食べてしまいたいくらい美しくて、優しくてかっこよくて強くて賢いギルバートが、レベッカは、
「大好きだよ」
「私も、です」
心の底から、大好きで。
二人はゆっくりと、とろけるような甘い口づけをした。
あの一件から、二人の絆はますます強まり、今や互いへの愛情は溢れんばかりである。
ただ二つ、難点を挙げるとすれば。
ギルバートとレベッカがしょっちゅう口づけするようになったことと、それを護衛騎士のアランが顔を赤くして、それでも目を背けずに見ていることであった。
〇ギルバート 依存型ヤンデレ。レベッカが大好き。
〇レベッカ 献身型ヤンデレ。ギルバートが大好き。
〇マリア 束縛型ヤンデレ。ギルバートが大好き。
〇アラン 攻撃型ヤンデレ。ギルバートとレベッカのカップリングが大好き。
ヤンデレのタイプってこの四つだけだと思ってたんですが、調べたらもっと沢山出てきたのでもっと他のヤンデレがいてもよかったなって思ってます。




