帰り道での事実
昼食を食べた後、決めた通り深海魚のコーナーから周り時刻はあっという間に夕方。瑠衣は満足気に歩いている。
「今日はありがとうね、陽介」
「……楽しかったか?」
「うん。陽介は?」
このやり取り、まるでカップルみたいじゃないか。お試しでデートしただけなのに。
聞かれても俺はその問に答える事が出来なかった。未だにオタクとギャルという概念に囚われているのは確かだ。しかし、それを瑠衣に気づかれてはならない。おかげで会話は途切れてしまった。
「……ねぇ、陽介。明日はお家デートにしない?」
「は、明日?」
しばらく黙っていると、瑠衣の方から話を振ってきた。だがその内容に俺はどういう事なのか理解出来なかった。
てっきりデートは今日だけだと、そう思い込んでいた。思い返せば『週替わりでデート』としか聞いていない。
「今日だけじゃないのか……?」
「あれ、言わなかったっけ?土日デートって」
「聞いてねーんだけど……」
俺が呆然と呟くと瑠衣が疑問符を浮かべて聞いてきた。誰も土日デートとは言っていなかったような記憶がある。その事は瑠衣にも思い当たる節があるようで、すぐに申し訳なさそうな表情になり謝ってきた。
「ごめーん……てっきり説明した気になってたわ……」
「いや、思い込んで聞かなかった俺も悪いし」
お互い申し訳なさから謝り通して、数分後に改めて予定を確認する事にした。瑠衣は最初から俺との予定の為に空けていたようで、後は俺の予定次第となる。まぁ、考えなくても予定は無いのだが。
ただ1つ問題があるとすれば。
「来ても構わないが、妹がな……」
「陽葵ちゃん、いるの?」
「あぁ……」
陽葵とは。俺の妹で中学3年で瑠衣とも勿論何度も会っているし遊んだ事もある。しかし最近反抗期なのか俺が家に居る事を極度に嫌がるようになった。俺の事を避けているのは明白で、夜も部活で遅く帰ってくる為顔を合わせる事はほぼ無い。
「陽葵ちゃん部活が忙しいらしくてなかなか会えないんだよね」
「……つまり?」
「うん!明日はあーし陽介の家に行くから!」
「ん……?瑠衣、もしかして陽葵と連絡取ってるのか?」
瑠衣の口振りからすると陽葵と連絡を取り合っているかのように思える。確認のために聞いてみれば、瑠衣は少しきょとんとした後頷いた。嘘だろ……。
「陽介、最近陽葵ちゃんと会った?」
「いや……俺が家に居ると機嫌悪くなるんだよ」
「ふーん……反抗期?」
「言うな……皆まで言うな……」
落ち込む俺の隣で瑠衣は悪戯っぽく笑っていた。他人事だと思ってるな……。いや瑠衣からしたら他人事なんだけど。
そうしている間にも俺の家に着き、瑠衣とは別れ玄関を開ける。するとそこには偶然妹の陽葵が居た。
「は、もう帰ってきたの」
「……お前なぁ」
その態度を注意しようと口を開いた瞬間、陽葵は俺をチラッと見て急いで自室に戻って行った。これは明日波乱の予感しかしないぞ。




