ポロリについて
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※注意です。
・少女がポロリするシーンがあります。
抵抗のあるかたは、【もどる】をおすすめします。
「あー!」
フィーロゾーフィア王国王都で、小夜子は悲鳴をあげた。
長い黒髪に大きな黒い目の少女である。頭にはカチューシャをつけ、白いブラウスに黒いプリーツスカートを身にまとい、首からは壊れたペンダントを提げている。
朝食に下層の喫茶店へと向かう道すがら、悲劇は起こったのだった。
ショートブーツの紐がほどけていたのに気づいた小夜子は、無防備にも屈み込んで、蝶々結びにくくりなおそうとした。
その時。
ポロリ。
ブラウスの胸元から転び出たものがある。
「あー!」
という小夜子の悲鳴につられて、朝の大通りに出ていた数少ない人々が振り返る。
彼らの目に留まったのは、王都のメインストリートである坂道にかがんでいる少女だった。
彼女のブラウスから、弾けとぶように出てきた丸いもの。
ビー玉だ。
「ひゃあああ!」
ポロリ。
ポロリ。
ブラウスの胸ポケットから、ボールペン、鉛筆、消しゴム……と、次々と中に収めていたものが転がり出る。
アメ玉。
小銭。
家の鍵。
懐中時計――。
拾っては新たに落とし、また拾っては落とすを繰り返す少女に、通行人の一人がたまらずにつぶやいた。
「あの子、胸ポケットにどんだけものつめ込んでんだよ」
読んでいただいて、ありがとうございました。
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