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観察について-③
『AM八時
エチカ、研究室で勉強中。
話しかけるとすこぶる不キゲン。
共に朝食を摂る』
『PM零時
お昼休み。
庭で昼食を共に食す。
わたしが作った。
なので大変美味なり』
『PM五時
閉店。
エチカ、研究室で勉強中――のフリをして熟睡。アイマスク着用。
杖で殴って叩き起こす』
『PM七時
夕食。
二人で作る。
共に食す。
大変美味なり』
『PM八時三十分
エチカ入浴。
後、わたし入浴』
『PM十時
エチカ、リビングで原稿校正終了後、戸締り。
後、「寝る」と宣言。寝室に入る。やっぱりアイマスク着用。
この人いっつも夜十時までに寝てる。良い子なり。
わたしももちろん良い子なので、もう寝る』
寝起きの頭で小夜子はノートをながめていた。
「なんってつまらない人なんでしょう!」
こちらに来てほぼ一カ月。
溜まった記録をパラパラと見比べる。
「毎日ほとんど同じ時刻に、同じことやってるだけなんて!」
デスクにノートをほっぽり出し、ボフンッと小夜子はベッドに突っ伏した。
「もういいや……やめよう」
エチカの観察に匙を投げる。
どうせヒマつぶしに始めたことなのだ。
そのまま二度寝に入る。
すかーっと爆睡する。
ちろちろ。
ドアのすき間から、赤い小さなトカゲがやってきた。




