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フィーロゾーフィア  作者: とり
第52話 ホムンクルスについて
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ホムンクルスについて-②

 



(なーんかメンドウなことになってるなー)


 アイマスクの(した)で、小夜子(さよこ)は小さくまばたきした。

 エチカが電話をしているのを、最初から最後まで聞いていたのだ。


(このまま(だま)ってたら仕事を押しつけられそうだし、ここらへんで『わたしは行きませんよ』って意思(いし)表示をしとかないと)


 小夜子はアイマスクを押し()げた。

 うーんと、わざとらしく()びをする。あくびも。


「ふわ~あ。あれ、エチカ、なにかあったんですか?」


「あんたが昼寝(ひるね)してるあいだにね。ネズミの駆除(くじょ)を頼まれたのよ」


「へー。それは大変ですねー」


「まるで他人事(たにんごと)ね」


「だってエチカが行くんでしょ」


「テメエが行くのよ、サヨコ」


 アイマスクを目元から(はず)し、カウンターテーブルに頬杖(ほおづえ)をついて小夜子は拒否(きょひ)する。


「えー、イヤですよー。エチカが行ってきてください。わたしはここでお昼寝(ひるね)してますから。ってなんですかこれは!」


 小夜子は激怒(げきど)した。

 ()のじゃちぼーぎゃくな(あと忘れた)エチカの悪行に。


「変な(かお)のアイマスクじゃないですか! なんで毎度(まいど)毎度こーゆーしょーもないことするんですか! つけるなら無地(むじ)のフツーのにして(くだ)さいよ!!」


「たわけ! 寝てんな! 起きてちったあ仕事しろ!」


 カウンターの向こうから、エチカは怒鳴(どな)る。

 小夜子(さよこ)は泣く。


「えーん! しょうがないじゃないですか(そだ)(ざか)りなんだから朝から(ばん)まで眠いんです!!」


(みょう)理屈(リクツ)こねるな! いいことサヨコ、下層にある三番(がい)骨董品(こっとうひん)屋に行って、この(くすり)をバラまいてきなさい。もし現場にネズミが出たら、腕力(わんりょく)でも錬金術(れんきんじゅつ)でもいいから殺すか()い出すかしてくること。いいわね、分かった?」


「よくないです、()かりませんって言ったらわたしが行かなくてもよくなりそうなので『よくないです、分かりません』って言います」


 無敵(むてき)(かえ)しやぞ! どやあ!


 とキリッと表情をキメてみせるものの、ブラウスの襟首(えりくび)をつかまれて軽々カウンターテーブルから玄関側(げんかんがわ)に引きずり出された。


「これ地図ね。ハイ(くすり)。じゃあアディオス、頑張(がんば)って」


 ドゲッ!


 小夜子(さよこ)はサッカーボールみたいに(しり)()っとばされた。


 せめてもの慈悲(じひ)か、(たん)に渡す予定だったのをものぐさな形で体現(たいげん)したのか。

 往来(おうらい)にアゴから着地した小夜子の横に、青銅(せいどう)長杖(ロッド)が後を()うように飛んできて、ころがった。





                つづく





 

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