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フィーロゾーフィア  作者: とり
第50話 アニメについて
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アニメについて-③

 



 エチカはポータブルプレイヤーのボタンを押してビデオを出した。


 チップ(じょう)の、指先ほどのサイズしかないソフトを、プレイヤーの側面(そくめん)から引っこ抜く。

 (ほそ)いヘアピンをいくつも()した前髪と、金色の両目が、エチカの振り返るのに(おう)じて(のぞ)いた。


「マグナもアニメ見にきたの?」


「おじゃましまーす。アニメは見ないけど」


「へえ。なら、邪魔(じゃま)しに来ただけってわけ。だったら早く帰ってほしいとこよねー」


「つめてーっ。なるべくさっさと帰るようにはするけどさー」


 マグナは「ほい」とエチカの前に、丸めた新聞紙(しんぶんし)を振り()ろした。


「なにこれ?」


「新聞。兄貴(あにき)から」


「この国のじゃないわね」


 ――この世界、〈ユックリッド〉の公用語(こうようご)はひとつだけだ。


 それは、エチカや小夜子(さよこ)のいる〈フィーロゾーフィア王国〉も、その(ほか)の国も、同じ言語(げんご)で読み書きし、同じ言語で(しゃべ)り、()くということである。


 マグナは、細長(ほそなが)く丸めたまま新聞(しんぶん)をためつすがめつするエチカをただながめていた。


 小夜子もマグナと同じように、何もしなかった。


 ――どこの国のですか?


 と()きたい気持ちはあったのだが、それはしてはいけない気がした。


 エチカの動きが止まる。


 長い(あし)を組み(なお)して、モノクロの記事(きじ)から目を(はな)さないまま、


「読めって?」


「うん……。まあ、そう言ってたかな」


「なぜ?」


「そこまでは聞いてないよ。あいつだって、(おれ)に説明する気はなさそうだった」


「そう」


 エチカはそこで、やっと(かた)(ちから)を抜いた。ように小夜子には見えた。


「まあ、ご苦労様(くろうさま)。ちゃんと受け取ったって(つた)えておいて」


「読んだかどうかは?」


 マグナが()いた。

 エチカがあいまいに笑った。


「気が()いたらね。さあ、もういいでしょ。それとも、やっぱりあんたもビデオ()てく?」


「帰るよ。ユーリと買い物に行くんだ」


 マグナは気持ちあせって言って、(わき)にかかえていたエアボードを地面に()いた。


 ピョイと飛び乗って、(くつ)でスイッチを()む。浮遊(ふゆう)のカラクリが起動して、あれよあれよという()(そら)へと上昇させていく。




                つづく





 

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