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初恋の人を失う ヴァイオレットSide

 ヴァイレオットである私の周りは敵だらけだ。だが、私の恋が招く敵だらけなのかもしれない。



 私が山小屋の中の奥の部屋に入ったとき、ヒューは真っ青な顔で苦しんでいた。足が真っ赤に腫れ上がって奇妙な角度に折れ曲がっていた。


「ヒュー!」


 私はスキルを発動しようとした。しかし、頭の中のスキルの声がしない。


「ステータスオープン」


 私は落ち着きなさいと自分に言いながら唱えた。頭の上には山小屋の屋根が見えるだけだ。深呼吸をした。さっきは確かにできた。最後にスキルを使ったのは、馬に乗りながらエリオットにバリアを張った時だ。


 できないはずはない。ここで私がスキルを使えなければ、ヒューはおそらく死んでしまうはずだ。

 

「違うっ!」


 私は頭を振った。ヒューが死ぬはずがない。



「ヴァイオレット、君はエリオットのことが好きなの?」


 私はハッとしてヒューの顔を見た。真っ青な顔で唇も紫色になったヒューが私を見つめていた。私はヒューに反論できなかった。



 私は必死でスキルを発動しようともがいた。


 数分後、そのままヒューは息を引き取った。


 私のスキルは戻らず、汗だくになった私と魔導師ジーニンは茫然自失で山小屋の床にへたり込んでいた。


 私が初めてを捧げたヒューは死んだ。聖女失格のヴァイオレットだけがそこに残された。さっきはできた蘇生術がもう出来なかった。



 私は初めて恋をした人を失った。




「ジーニン、これを見て」


 私は力無く項垂れてるい魔導師ジーニンに50円玉を握らせた。


「あなたは、異世界転生のアルゴリズムを完成させる。きっとそのクラスをまもなく完成させるわ。ヒューをすぐに異世界転生させて」


 私の指は震えていた。歯がガチガチとなり、噛み合わない。抵抗しているが、何かに引き込まれそうになっているのを感じる。力を使い果たして意識を失うかもしれない。ジーニンの顔がぼやけて見える。視界が白く薄れた。


「あなた、ニホンよ。2024年のそこで待っているから」


 目の前が真っ暗に暗転して、私は意識を失った。





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