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銀河帝国皇帝アスカ様 零ーZEROー ~スペアボディと呼ばれた彼女が皇帝陛下と呼ばれるまで~  作者: MITT


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第八話「超A.Iアマテラス」④

 ちなみに、北海道はアマテラスの強制移住政策でもっとも割を食った地域で、2020年代には500万くらいの人口があったようなんだけど、元々人口密度が低かったことで、Lucifer禍の影響をそこまで受けていなかったのだが……今はもう10万人も人は残っていない。

 

 いかんせん、北海道ってのは小規模の自治体が大量にあって、それぞれがやたらと距離があって、人口密度が低い割に雪対策などインフラ維持費も高コストになりがちで、割と真っ先に強制移住政策の検討対象になった。

 

 当然ながら、いきなり住み慣れた土地から引っ越せなどと言われて、皆大人しく従うかと言えば、そんな事もなく……その議論は大荒れに荒れた。


 もっとも2038年くらいに、異常気象で一ヶ月にも渡って北海道全域で延々豪雪が続き、連日氷点下二桁を記録したと言う「北海道スーパー大豪雪」が発生。


 これはもう異常気象と言っても限度があるだろうって程の前代未聞と言うべき規模の災害であり、札幌辺りでも上空から見ても市街地が何処にあるのか解らなくなるほど、半端じゃなく雪が降り積もって、いつ果てるともなく振り続ける大雪に凍死者が続出するほどの事態となってしまった。

 

 こんな前代未聞レベルの異常気象の前に、さしもの道民もギブアップし、北海道の住民が全員まとめて本州へ緊急避難する事となった。


 なにせ、一応そう言う災害時の避難シェルターもあちこちにあったのだけど、それらの備蓄食料もせいぜい一週間分くらいしか備えられておらず、そんな一ヶ月も雪が振り続けて、街も何もかもが埋まるなんて誰にとっても想定外だったのだ……結局、さしものアマテラスも出来た事は可能な限り住民達を掘り起こして救出して、本州へと避難させるのがやっとだった。


 そんな騒ぎがあって以来、北海道の住民もいい機会だからとそのまま本州に居着いたり、もうあんなとこに住むのは無理とばかりに更に南の方に引っ越したりと、結局アマテラスが強制移住をさせるまでもなく、道民は自ら進んで北海道を捨てるという選択を行った。


 この出来事はアマテラスの強制移住政策の説得力をもたせることとなり、そのやり方についても、むしろ好例となり引越し後の住民達へのフォローも至れり尽くせりだったこともあって、以降は割とすんなり話も進むようになった。

 

 そんな経緯があった事で、北海道なんてとっくに人なんていないと思っていた人が多く、鉄道消滅のニュースについても、むしろまだ鉄道が残ってたのかと誰もが驚愕したというオチが付いた。


 もっとも、鉄道網が消滅しつつありながらも、核融合発電の副産物でむしろ有り余るようになったヘリウムガスの有効活用と言う事で飛行船が復権している。


 ヘリウムガスで浮力を稼いで、モーターでプロペラを回して飛ぶ電動飛行船は、その脆弱性と低速性故に、軍事用途にはまるで向いていないのだけど……。

 

 民生用として使う分には、発着場もヘリポートくらいの大きさがあれば十分で、空を飛ぶことでまともな道が通じていないような山奥や、人里離れた過疎地区へも大したコストをかけずに交通輸送手段を提供できる事で、空飛ぶ乗り合いタクシーや、空飛ぶ宅急便みたいな使われ方をしている。


 過疎地域への大量物資輸送……この辺りは、小型の電動ドローンではどうしても航続距離とペイロードの問題で無理があり、同時進行していた鉄道、道路網の劣化縮小化もあって過疎地での物資輸送に無理が出てきており、集団強制移転政策を取る事になった理由のひとつだったんだけどね。

 

 反面、飛行船ならばヘリウムガスの浮力で勝手に浮かぶので、全部自前で浮かぶ必要がないぶん、大きめのペイロードも確保できて航続距離も稼げる上に、その推進力となるプロペラ駆動は電動モーターと相性がよく、割りと理想的な国内交通手段となったのだ。

 

 それに、空飛ぶ広告塔としても重宝されてるようで、広告費と相殺されることで、その乗船料金や輸送料金はびっくりするほど安い。

 

 気嚢の両サイドに吊るされた3DモニターにTVCMなどが延々流されていて、それらを道行く人々に見てもらうために、基本的に低速低空飛行を常としているのだけど、低速消音プロペラのおかげで騒音源がほとんどないので、そこまで迷惑な存在ではない。


 もちろん、たまに強風に煽られて墜落事故も起きたりしているのだけど、基本的に低空飛行の上に、昔の水素ガスを使った飛行船と違って、ヘリウムガスは燃えないので、爆発炎上したりもしないし、基本無人で人を乗せる旅客機はちょっと風が強いとか雨が降った程度でも運休となるので、事故が起きてもそこまで大きな騒ぎにはならない。

 

 狭い日本そんなに急いで何処に行くとばかりに、田園風景の上空をのんびりと大型飛行船が浮かんでいるとかそんな光景が日常になって、かつての空の便の主流だった爆音を上げて飛ぶジェット機については、もはや軍事用途くらいでしか使われなくなりつつあり、少なくとも居住エリアの上空でその手の飛行機を見かけることはごく稀になった。


 ちなみに、今どきの日本人は何処に集まってるのかというと……。


 台風や地震、豪雪のような災害が比較的少なくて温暖で過ごしやすい関東平野の太平洋沿岸地域や、温暖な気候で災害安地と名高い瀬戸内海沿岸部やらに集まる傾向があって、半端な山奥……アタシの住んでる旧長野県辺りは、何もかもが中途半端な上に、冬の寒さもなかなか厳しいこともあって、もう完全に過疎ってる。


 まぁ、もうちょっと南の方なら、日本一の大観光エリア……富士山エリアがあるから、そっち方面はこれでもかって位に賑わってるんだけどねぇ。


 どうも、そっちに客を取られてるようで、諏訪って基本的にB級観光地扱い……何と言うか、解せない。


 いずれにせよ、日本自体の人口分布がめちゃくちゃ偏ってて、色々と問題も起きてたりもするんだよなぁ……。

 その辺りは実にままならない話ではあるんだけど……。


 皆、選択の余地があるなら、過ごしやすくて便利なとこや、いい仕事がある所に住みたがるのは当然のことで、昔と違って今どきの若い世代は、出身地やら故郷にもあんまり拘らないから余計にそうだった。


 それに、ある程度人間が一箇所に集まってくれた方が管理も行き届くし、インフラも効率的に供給出来るのも事実であり、AI達はこの問題については、一時期は強制移住までさせていたのだけど、最近は皆さんの好きにしていいですと言う立場で、放棄集落へのUターン移住なども、やりたいならどうぞと言った調子になってきている。

 

 もっとも、人口密集地の方が居住コストが安くなるように仕向けたりもしているし、人が人を呼ぶってなるのはどこも一緒で、人口の偏りは年々激しくなっているのが実情だった。


 もっとも、ここ諏訪シティは、観光地としてはB級ながらも、日本の代表的な国営先進ハイテク企業でもあるソルバイオテック社のお膝元であり、昔から精密機械産業なども盛んだった関係で、企業都市としての一面があり、文明圏の最果てにも関わらず、例外的に人口もそれなりに多く、風景自体は山の中の過疎った盆地にしか見えないのだけど、ちょっとトンネルを抜けて、一山超えるだけで、そこには近未来的なビル群が立ち並んでいる。


 この諏訪湖近隣については、古来からの交通網の要中央道沿いと言うこともあり、その上、諏訪大社という歴史ある文化遺産があることで、割と最近になってから観光都市認定された事で、割と大幅な変貌を遂げた都市でもあるのだ。


 日本の古き良き文化遺産については、どこでも貴重な観光資源として扱われていることもあって、富士山ダイブコースター等と言う馬鹿げたアトラクションやら富士山自体へのプロジェクションマッピングだの、侘び寂びもへったくれもない富士の観光エリアを尻目に、諏訪湖周辺はどちらかと言うと、古来の日本の原風景に立ち返ると言う渋めの路線を売りにしており、景観に配慮した結果、諏訪シティの発電施設や水再生施設のような都市インフラ機能や、企業関連施設の大半は山の向こうの目立たない所にしまいこまれることになった。

 

 実際、湖の対岸の方では大型ショッピングモールや宿泊施設と言った綺麗なリゾート施設が立ち並んでいるし、湖の上にも湖上ホテルと称するイルミネーションで飾られた豪華客船が何隻も浮かんでいたりもする。

 

 ちなみに、諏訪大社では秋になると例大祭と言うお祭りがあるので、観光エリアは地元民がドン引くくらいには大混雑になって、文字通りお祭り騒ぎになる。


 そして、この岬のある公園は……港やそれら観光エリアからも少し離れていて、扱いとしては自然保護区……要するに放置エリアに指定されている。


 もっとも、歩いていけるくらいの距離に中央道リニアラインのターミナル駅があるので、公園の周囲と道路に面した辺りは観光エリア指定されており、公園から出ると昔ながらの侘び寂びの効いた木造平屋の日本家屋が並んでいて、道もキレイに舗装されていて、無人電気自動車の電力供給誘導セルが埋め込まれた近代的なものとなっている。


 とは言え、それら日本家屋は外観だけのハリボテで、中身はほとんど空っぽのドンガラ家屋だったりもするんだがね。

 

 昼間はエキストラ役の住民ロボットが稼働して、昔ながらの日常生活を送る人々としての演出が行われ、ガイド業を生業とする人間達や、バイトエキストラ住民がさもいつもここに住んでますよと言った調子で、訪れる観光客達の相手をしている。


 良く知らないけど、1980年位の昭和の頃の街の風景を再現してるらしいのだけど、要は大掛かりなお芝居みたいなもん。


 でも、外国人もだけど、お年寄りとかにも評判良くて、こないだも木造家屋の前で泣きながら記念撮影してるヨボヨボのお爺ちゃんを見かけた。


 もっとも深夜にもなると、ロボット住人もメンテナンスポッドに引っ込んで充電待機スリープモードとなって、ガイドやエキストラ達も観光施設に住み込んでる人達以外は、お疲れ様でしたーと退勤しいなくなって、申し訳程度に点在する無人コンビニや、レトロなデザインの自動販売機型の移動販売ロボットが稼働しているだけとなり……。

 

 ロボット車両の視界確保用に大量に設置された道路照明で幹線道路だけ無駄に明るいと言うゴーストタウンのような様相となり、思い出したように流通用の大型ロボットトラックがコンボイ組んで通り過ぎるとか、そんな調子になる。


 まぁ、今の日本の地方都市はどこに行ってもこんな調子ではあるのだ。

 なにぶん、人口が激減した事で目減りした労働力をロボットで補ったのだから、こうもなる。

 

 もっとも、21世紀の当初に言われていたように、将来的に日本人が絶滅するようなことはしばらく無さそうだった。


 21世紀当初に問題視されていたお隣の軍事大国の脅威についても、LUCIFER禍の猛威でボロボロになりながらも、その拡張政策を捨てようとせず、さりとてアマテラス達超AIによる管理社会化など、冗談ではないと突っぱねて、何もかもが時代遅れとなりながら、最後の抵抗勢力とばかりに、やけっぱちのように幾度となく、あちこちに戦争を仕掛けていた……。


 もっとも、お隣さんについても、すでに『女禍』を名乗る超AIが降臨し、LUCIFER禍で各地に離散した人々を集め救済事業を開始し、中華圏における新AI国家の樹立宣言も時間の問題となっていた。

 

 ちなみに、先月だかにも大陸連合軍の残党による第5次日本海海戦が勃発したものの、無人の日本海防衛艦隊が苦もなく殲滅したばかりだった。

 

 ……これはむしろ当然の結果と言えた。

 なにせ、無人兵器の戦争は従来の戦争と違って、純粋に工業生産力とテクノロジーが物を言う世界なのだから。


 いくら膨大な兵力があろうが、有人兵器で無人兵器を主体とする軍勢に喧嘩売ったところで、人命のバーゲンセールとなるのが関の山で、実際そうなった。


 大ユーラシア連合と称するお隣の大国の残党やその他大勢の残りカス共は、世界を人工知能の支配から解放するだの、訳のわからないことを言っては、その元凶たる日本を猛烈に敵視して、日本上陸を敢行しようとして、日本海や東シナ海へ上陸艦隊を繰り出して来ているのだけど。


 まいどまいど、日本海に陣取るアマテラス傘下の海上無人兵器群にボッコボコにやられて、貴重な人命と高価な兵器を日本海の藻屑へと変えていっていた。

 

 今回も、艦隊戦敗北の報復とばかりに、数十発ほどの大陸間弾道弾が東京めがけて、打ち込まれたらしいんだけど、日本上空の衛星軌道上にて、24時間体制で滞空する無人軌道艦隊の対地レーザー狙撃と海上兵器群の防空作戦行動により、日本海上空での全弾迎撃に成功し、まるっきり寄せ付けていなかった。


 ……これもあんまり知られてないのだけど。

 今や、地球の衛星軌道はもちろん、月の周回軌道あたりまでは、完全にAI統制の無人宇宙艦隊の制圧化にあり、いわゆる制宙権は日本国とその同盟国のものだった。


 これまで、宇宙戦力の拡充において最大のネックになっていたのは、生身の人間は宇宙に出ると簡単に死ぬと言う単純な事実故にだった。

 しかしながら、初めから無人の宇宙兵器を投入するなら、その問題はあっさりクリア出来てしまうのだ。


 なにより、宇宙戦闘兵器についても、重力や搭乗員の生存性などを考慮しないでいい分、その構造は極めて簡素に出来る。

 

 実際、レーザー狙撃宇宙戦闘挺とかになると、見た目は棘がまばらなウニみたいな外観をしてるんだけど……レーザ兵器で武装し、地上に対してcm単位の精密狙撃をこなせる程度には高性能なので、衛星軌道上にそれらが数十機程度浮かんでいるだけながら、制宙権の確保には十分成功している。

 

 いわゆる宇宙戦艦なんかについても、将来的には建造されるって話もあるんだけど。

 今は、地球の衛星軌道上辺りへ進出出来れば十分だと考えられているし、外宇宙からの脅威についてもせいぜい可能性レベルだから、急ぐこともないと考えられているようだった。


 いずれにせよ、すでに宇宙という頭を抑えられた情勢で、地面に張り付いて、アナログテクノロジーで頑張ってるような奴らがギャースカ騒いだところで、どうにかなるわけがない。


 当然ながら、そんな騒ぎがあっても、ニュースになることもない。

 なにせ、軍事関係情報が大々的なニュースとして、国民に公表されることはまずない。


 何と言っても、そんな宇宙だの海の向こうの戦争の話なんて、自分たちの生活圏内に具体的な被害が出ない限りは、何処まで行っても対岸の火事であり、AI達も降り掛かった火の粉を払った程度の認識で、割りとどうでもいいと考えていた。

 

 AI達は基本的に合理的思考なので、向こうから仕掛けられたからと言って、報復で逆上陸を仕掛けて、大陸民を虐殺したり、敵国を殲滅すべく大陸間弾道弾で核攻撃を敢行とか意味のないことはしない。

 

 AI達に言わせれば、気分で戦争仕掛けてくるような連中の相手なんぞ、まともにする方が間違っているそうで、一方的な虐殺の限りを尽くした上で、まともな交渉すらせずにかろうじて生き残った捕虜を治療した上で謹んでお返しする程度で、基本塩対応。

 

 その上で黙々と日本海の軍備増強を続けるとかそんな調子なので、大陸の連中もいい加減心が折れてきているらしく、規模も勢いももはや右肩下がりに減少中だった。

 

 アマテラスって、他国の軍事的脅威については、基本的に自国民に被害が出なければ、それで良しと考えているので、今や人がほとんど住んでいない日本海沿岸部辺りや北海道の北部やらは、弾道弾攻撃や小規模部隊の上陸で、多少の被害が出る事もあるのだけど、基本的に全く気にしていないようだった。


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