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DreamHunterQuest  作者: Ebis
3/16

Quest:2

ついに、この日が来たッ!


2032年8月10日。"ハントの日"として設定されたその日、僕は『DHQ』が届くのを今か今かと待ちわびていた。

午後3時を回った頃、それは届いた。

大きな箱だった。

配達業者さんにどこに設置しますか?と聞かれたので、僕の部屋に設置をお願いした。

設置完了したそのゲームの見た目は異世界へのゲートといっても遜色のない扉型の本体だった。

どこか神々しくも見えるその扉を前にして僕は緊張しながらも電源を入れる。

このゲートは『DHQ』専用のゲーム機なので、ソフトは必要ない。

ちなみにゲートは急な停電などの対策に本体自体にバッテリーも備わっており、満充電時は本体だけで10日間稼働するようになっているらしい。また、災害時に万が一ゲートが壊れても、サーバーの設置してある『DHQ』販売元が管理する別の場所へ転移し、現実世界へ戻ってこれる仕様だ。


ゲーム用のリングを左腕に装着し、僕は深呼吸してから扉の前に立ち、ゲートに手を触れる。


“生体認証設定を行います。ゲームIDを入力してください“


というどこか機械的なアナウンスが流れ、僕はゲートに浮かんだタッチパネル式のキーボードにIDを打ち込んだ。


”IDの認証が完了しました。続いてゲーム内で使用するキャラクターネームの設定をしてください“


『DHQ』ではキャクターネームは一度設定すると変更ができない。

変な名前にしたら一生笑い者だ。


”キャラクターネームを『Nagi』で設定します。宜しいですか?”


僕はOKボタンを押して次の設定に進む。


設定をあらかた終えて、注意事項のアナウンスが流れる。


“このゲームはセーフティ機能として、ゲーム内で入手できる武器以外での対人攻撃を禁止としています。また犯罪防止のため、性行為の禁止、身に危険が及んだ場合に運営側に情報が飛び、なんらかの危害を加えた側に重い罰則を課します。秩序を守り楽しいハンターライフをお過ごしください”


僕は逸る気持ちを抑えながら注意事項を聞いていた。


”最後にゲート機能についてご説明いたします。ゲート機能とはあらかじめ登録された現実世界へゲーム内のどの場所からでも帰ってこられる機能となります。基本的に一つのリングに対して2つまで登録でき、一つは運営本部への転移。もう一つは今あなたの目の前にあるゲートへの転移です。前者は犯罪に巻き込まれた場合や、なんらかの事情で現実世界のゲートが壊れた場合に使用いたします。よっぽどのことがない限りは一つのゲートのみ使用できると思ってください。以上で注意事項は終わります。何かわからないことがあればヘルプメニューにてお問い合わせください。“


うん、今の段階で質問事項なんてない。

むしろゲームが届く前にこれでもかというほど調べまくったんだから。

本当にゲームの世界に入れるの?っていう不安だけはちょびっと残ってるけど。


しばらくすると、ゲートの光が強くなり、もう今度は渋い男性の声でアナウンスが流れる。


”扉は開かれた。君だけの冒険が今、始まる。飛び込め!『DreamHunterQuest』の世界へーーーー!“


その言葉を聞き、胸が熱くなるのを感じながら僕はゲームの世界に飛び込んだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ゲートに入った先はエレベーターのような箱だった。

エレベーターはしばらく動くと止まり、扉が開く。扉の先を見ると、そこはホテルのようなロビーだった。

ゲートから出て周りを見渡すと、既に沢山のプレイヤーがこの世界に降り立っているようだ。ゲートから出た瞬間、ゲートが閉まり、上へ飛んで行ってしまった。


「おぉ・・・。ここが、『DHQ』の世界・・・。」


一見なんの変哲もないロビーだが、さっきまで自分の部屋にいた僕は、その光景の変わりように驚いていた。

そんな僕に一つのちっこい光が寄ってくる。


「初めまして!あなたがプレイヤー名"Nagi"ね?」


「そうだけど、キミは?」


「アタシはハンターピクシー!あなたのハンターライフを支える『DHQ』のナビゲーターよ!」


妙に馴れ馴れしく話しかけてきたちっこいのはプレイヤー専用の妖精だ。

高度なAIを搭載しており、普通に会話ができる。

性格はランダムに決まるらしく、僕専用のハンターピクシーは女の子型だった。

今は光ってる玉にしか見えないけど。


「そっか、よろしくね。」


「ハイハーイ!任せてちょーだい!ちなみにハンターピクシーはお店でアバター購入すればカスタマイズできるから、余裕ができたらアタシに可愛いアバターを買ってよね!」


「アバターカスタマイズか。ゴリラとかにしたら怒る?」


「そんなのにしたらアタシはゲーム管理者に喧嘩を売ってでもアンタのナビ辞めるわ。」


まじか。中々強気なAIピクシーである。


「ごめん、冗談だよ。ちゃんとカスタマイズするから。」


「ならいいわ、約束よ!まぁ挨拶はこれくらいにして、今からこの世界をナギに案内するわ。それと戦闘方法なんかもレクチャーするわね。」


「うん、よろしく。」


そう言ってハンターピクシーはこの世界のことを色々教えてくれた。


「まず始めに、ここは【ゴールドアップルシティ】別名"始まりの街"と呼ばれる都市よ。最初のロビーがあるこの建物はゴールドアップルシティのシンボルでもあるの。“ゲートタワー”と呼ばれているわ。」


「ふむふむ。」


「基本的にゲートタワー内で現実世界と行き来することになるから、今日はもうゲームやめようって時はここへ戻ってきてね。」


「OK。」


「あ、そうそう!この後の説明に進む前に、ナギ、アタシに名前を付けてよ。これからあなたと一緒にいるんだし、ずっとハンターピクシーって呼ぶのも微妙でしょ?」


確かにそうだ。


「名前か。そうだなぁ・・・。どんな感じがいいんだい?」


「クールビューティーって感じの名前がいいわ!できる女ね。」


「クールビューティー、・・・クールビューティーね。うーん・・・。じゃあ“レイ”ってのはどう?」


「“レイ”ね。いい名前じゃない!気に入ったわ!今からアタシはナギ専用ハンターピクシーのレイ。」


ピコーンという音と共にゲート前で聞いた機械的なアナウンスが聞こえてきた。


“ハンターピクシーの名前を設定しました。今後ハンターピクシーの名前を変更することはできませんのでご注意ください。”


ここでも名前変更不可になるのか。ゴリラって付けなくてよかった。


「なんか今変なこと考えたでしょ?」


やばい。顔に出てたか。


「イヤ、そんなことないよ。そんなことよりももっとこの街の事教えてよ。」


なんとか誤魔化す僕。


「ふーん、まぁいいわ。それじゃあこれから街を案内するからついてきて。」


そう言ってレイはフワフワと飛んでいく。


僕は慌ててレイに置いていかれないようにと歩き始めた。


まだまだ始まったばかりですが、まったりと更新していくつもりなので、応援のほど宜しくお願い致します。

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