初めての心と感情
「う、ここは?」
少女は周りを見渡してみる。
この少女は今の姿からは到底、想像できないがもともと地球では少年だったのだ。
「地下牢?まさか捕まって!?すぐに報告しなくては」
少女は上へと報告すべく行動をとろうとするが、すぐに疑問が沸いてでる。
「.........何故?何故上に報告する必要が?いや、違う!理由なんて、理由なんて要らないはず!何で?何で理由が要らないの!?どうして!?そんなことを考える必要はない!とりあえず報告を、報告を..........なんで?なんで?なんで?報告しないといけないの!?今までこんなこと無かったのにねえ何で!?」
少女は半狂乱になりながら自問自答しようと思考し続ける。しかしその先にあったのは思考のループだけだった。
「39は39は39はああああああああああああああああ!!」
その思考のループに終止符を打ったのは、一つの声だった。
『感情《混乱》を入手しました』
機械的でどこか暖かい音声が脳内に直接流れ込む。
「誰!?いや違う、今のは?」
冷水を浴びたかのように、冷静になった少女は報告するしないはともかく、とりあえず情報を集めることにした。これは、地球では出来なかった、心あってこその判断である。
「すぅーはぁー、一度落ち着こう。もう一度よく見てみよう。」
その牢屋をもう一度観察してみる。
自分以外にも捕まっている人がいれば、そこから何か情報を得られるかもしれないので、牢屋の外までよく見てみるが、そこに望んだものは無かった。
その代わりそこには、すでに化石になっている人の死体があった。
「.....この牢屋だいぶ昔に作られて以来人の手がつけられていない。だとすると39が捕まってからここに閉じ込められたとは考えにくい。
ではいったい何故39はここに?」
少女、もとい39は思考を巡らせるがどうも答えが見つからない。
「まずは自分の被害状況を.....え?!」
39が自らの体を見てみると失ったはずの左足は生えており、体についていた無数の傷もない綺麗な体であった。
「傷がない、それにこれは女性体?」
39は自分はすでに少年ではなく少女であることに気づく。
「どうしよう、いったんここから出たいけど、えっと何か道具は......あ、あった」
そこには一つの皮で作られたカバンが置いてあった。
「物凄く、怪しい。でも考えていてもしょうがない」
39は恐る恐るそれを手に取って開けてみる。
そこには、数日分の携帯食料と水他には、服やナイフなど色々と野宿するのに便利な道具などが入っていた。
「これだけあれば......1ヶ月いや、2ヶ月はいける。あと、これは......手紙?」
カバンの底には一枚の紙切れが入っていた。
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地球最強の暗殺者へ
挨拶は面倒なので省くことにする。
まず、お主は死んだ。何のことを言っているか分からないと思うが、逆に問おうお主はあれだけの重傷を負って、死んでいないとでも思っているのか?
お主がいるその場所は、地球ではないことを知れ。そしてそこでお主には自由に生きてもらう、儂に何のメリットがあるのかとかは考えるなよ、これは仕事なんでな。
簡単に言えば、二回目の人生をくれてやるから、そこで楽しく生きていろ。っちゅうことだ。難しいことは考えるなよ。
心の神ララグーラより
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「神?」
手紙には自分が死んだことや、ここが何処かということなどが書いてあったが、内容が内容なだけに簡単には信用できなかった。
「まずは、ここから出ないと」
そういって、ゆっくりと立ち上がろうとするが、何かがジャラジャラと音を立てて自分を引き留めた。
「これは、すごく面倒.....」
体をよく見てみると何十本もの鎖が巻き付けられていた。
リアルの用事で二週間程度投稿できないと思います。m(_ _)m