17話
一日空いてしまいました。一週間続きそうだったのが残念です。
「やあ、久しぶりだねジーくん。元気にしてたかい?」
アリ塚に降りたったオオガラスの羽毛が日の光を反射して艶々と金属のような光沢を放った。オオガラスの着地とほぼ同時にその背から少女が飛び降り、ここに来る途中で乱れたらしい髪を手櫛で整えながら近づいてきた。
「元気……って言ってもいいのかな。みんなと別れてから色々とあったし、ここ二、三日の間は何度か死ぬ思いもしたけどなんとか無事に生きてるよ。」
久々の人との会話だ。なんとか言葉をひねり出すが、ひょっとしてどもって聞こえたんじゃないかと不安になる。いや、そんなことはどうでもいいはずだ。フィオナも魔物を従えているところを見ると、やっぱり能力には手術が関わっているとしか考えられない。他の連中が今どうしているのかとか、この能力の正体とか、そもそもなぜ僕の居場所がわかったのか、聞きたいことは山ほどあった。
「それで……、フィオナはどうしてここに?」
彼女がここに来たのには何か理由があるはずだ。ともかくはそれを確認すべきだろう。
「え、会いたかったからだけど?」
いったいどんな返答が来るのかと身構えていた僕は拍子抜けしてしまった。思わず呆れたのが顔に出てしまったのだろう。フィオナは慌ててそのあとを続けた。
「いや、変な意味じゃなくって、ほら、ジーくんもようやく開花したようだし、どんな様子かちょっと気になってさ」
あわあわと大げさな手振りで無理やり取り繕う。視線があっちこっちに泳いでいた。
どうやら本当に僕の様子を伺う他には目的はないようだ。あるいはまだ明かすつもりがないのかもしれないが。だったらこちらから色々聞いてしまっても構わないだろう。
「僕もようやく開花ってことは、やっぱりみんなこの能力に目覚めているってことか?僕よりずっと先に?実はわからないことだらけで困っていたんだ。君の知ってること教えてくれないか?」
そう言うと、さっきまでの慌てぶりはどこかへ引っ込んだようで、フィオナは得意げな様子で手を腰に当て胸を張った。
「ふふん、まあそう慌てなさんなって。ボクもここまでくるのに疲れたことだし、ゆっくり話のできるところに行こうじゃないか」
……コイツ、こういうところは少しも変わっちゃいないようだ。だが言うことには一理ある。たとえアポなしで突撃してくるようでも向こうは来客で、こっちは教えを請う立場だ。こちらがもてなすのが筋というものだ。
しかし、どうしたものか。ここを手に入れたのはついさっきのことだ。人をもてなすような準備などできているはずもない。だが、ここで素直にそのことを告げればコイツはさらに調子に乗るだろう。何より僕の矜持がそんなことを許さない。急いでアリたちに準備をさせて、それまでは時間を稼ぐしかない。
僕は額に汗を浮かべて、返事を待っているフィオナの顔を伺った。彼女はそんな僕を見つめ返してんー?と小首を傾げた。
仕方がない。僕は観念した。
「その通りだね、ごめん気遣いが足りなかったよ。それじゃあ中を案内するよ」