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オーストラリア編①

「ひやぁぁー。めっちゃ綺麗だね。」

白いワンピースに眼鏡で麦わら帽子の可愛らしいこの女の子は、ある世界遺産の近くを小舟に乗りながらこのセリフを隣の女の子に言った。

「……グレートバリアリーフ…綺麗…。」

この無口な黒髪美少女はカノン。綺麗な顔の下、顔と胴体をつなげる大事な部分に一本の刃の傷が走っている。

「とりあえず、偵察に行こっかぁカノンちゃん。」

「…わかった。行こう……アリス…。」


俺たちは今、オーストラリアの街から程近い砂漠に拠点を作っている。なんでホテルに泊まらず砂漠なんかに作っているのかと言うと、俺たちが不法入国者の集まりであるからで、お国の為に世界を征服するためである。カノンとアリスの偵察によると、ここから西へ100キロのところに目的の場所があるらしい。俺たちの本格的な活動は約1週間後なので、今のうちに拠点の確保をしなければならないのだが、こんな暑い昼間にこんな重労働をしているからか、拠点作りなんてどうでもいいだろサボっちまえよ、なんていう悪魔のささやきが右耳から聞こえてきたりもする。

「おいおい!おれも拠点作りに協力しないといけないのかよ!」

左耳からも悪魔の声が…いや、50代のおじさんの声が聞こえてきた。

「アンソニー。黙って手伝ってくれ。」

「1人くらいサボっても大丈夫だろ?その1人がおれでも良いわけであって、その前に契約内よ…」

アンソニーが言い訳をしている間に俺はアンソニーの心の中を覗き、中にある<不満>を<仕事欲>へと入れ替えた。

「………アンソニー。働いてくれるか?」

「おうともよ!おれに任せな!」

これが俺の能力、視界内の相手の心を覗き、勝手にいじくることが出来る。しかし、いくつかルールがあって、相手の<負の気持ち>を<正の気持ち>へと入れ替えることはできるのだが、相手の<正の気持ち>を<負の気持ち>へと入れ替えることはできな

「あなたも働きなさいよ。」

スーツ姿の女はそう言いつつ元いたテントへと戻っていった。。

「いやっ、すんません。和葉さん。」

出身年齢能力夫子持ちか否か、全てが謎の和葉さん。ヒゲ面の イーセさん と一緒にこの班の指揮をしているいわばリーダー格の1人だ。普段は電子ネットワークで日本やアンソニーのような協力者と連絡を取っている。基本的にインドアでバックアップ担当のため、外に出ることはない……だからと言って拠点作りの時まで働かず日陰で休んでいるのはどうなんだろうか。くそっ、俺も早く休みテェェーーー。


「1週間後の8月18日に行われる首相の演説、その際に首相を暗殺する。これが私たちの初仕事だ。」

ようやく完成した拠点でイーセさんは普段の茶目っ気溢れる喋り方とは正反対の語り口で俺たちにこう話した。ふと隣を見るとアンソニーが妙に納得した目で、話に相槌を打っていた。こいつはただのオーストラリアでの協力者なのか?なんで協力しているんだ?

そんな疑問は拠点のすぐ近くにある街のレストランのトイレに流れていった。いやぁ、美味かった!

そういえば、拠点へと帰り道に一つ気にかかることが起こった。アンソニーが街の人に声をかけられていたのだ。ただ声をかけられただけではなんとも思わないのだが、それが罵声だったのには流石の俺もびっくりした。こいつ、何かしたのか?ま、どうでもいいことか。

無事拠点に戻った俺たちは来るべき時に向けて、綿密に計画を立てていった。


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