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とある暗殺者の毒殺計画

 毒はいい―――。


体内に入った異物に侵食されそれが朽ちていく様を見ているのは心が癒される。与えたはずなのに相手からはじわじわとその生命を奪っていく。その過程が堪らなく好きだ。彼らが生きている意味は今ここでこうして私に奪われるためにある―――そう思わせる何かが毒殺には感じられた。

 今回の暗殺で毒を用いる可能性を考えた時、真っ先に思いついた毒は砒素だった。無味無臭、無色の毒。長い人類の歴史の中でもしばしば暗殺に愛用された歴史ある道具―――別名「愚者の毒」なぜそう呼ばれるかといえば、単純に体内からの検出が容易ですぐ足がつくからだ。だが今回の暗殺の目的には非常に合致しているとも言える。今回は警察の介入がないため検出の心配をしなくてよいからだ。むしろどう安全に持ち込み使用するかに焦点が置かれている。無味無臭の砒素はまさに最適解であるに違いない。その場を凌げれば良いのだから。

いくら死なない身体を持っているとはいえ毒物を体内に蓄積したまま行動出来る生物がいるとは思えない。むしろそんな生物がいるなら直にこの目で見てみたい。苦痛にのた打ち回り、命が削られながらも―――死なない。そんなものを見たら私はきっと喜びで打ち震えるだろう。意味がある―――彼が私に殺されるだけの意味が。

 さて、毒は決まったが問題は持ち込み方である。無味無臭とはいえペットボトルなどに入れていくわけにも行くまい。小分けにして、体内に取り込んで運ぼう。少しずつ、全ての爪に塗り込んだり、歯の奥に隠し入れたり、後は女にしか隠せない場所も使えそうだ。生理中ということにしておくか。注射器はそこに仕込めば……。

 後は現地で調整して使用すればいい。致死量の二倍を持ち込めば使用には耐えうるだろう。それだけあれば、確実だ。

 楽しみだ―――。ホテルの部屋で一人愉悦に浸り、迎えの車を待った。その時、扉をノックする音がした。

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