始祖のDNA
咲夜さんvs暦です
side魔理沙
私と煌炉は長い廊下を飛ぶ...全く長い通路だ...煌炉の方を見ると落ち着きがないようにシガーケースを開けるが中身が入っていないことが分かるとそれを閉め懐に入れる
「はぁ...」
「おい?どうした?そんなに心配なのか?」
「おそらく戦うことはできないはず...今の姿は子供だから...万が一ということがあるからね...」
一体どういう人物なのだろうか?双子・子供の姿・金髪の少女...煌炉は双子という情報に驚いていたな...すこし探している子に興味がでてきたな
「なぁ!探している子はどんな人物なんだ?」
「...私たちのお母さん」
「へ~!母さんか~...え?」
母さん!?てっきり話の内容からして妹かと思っていたが母親とは...
「子供の姿をしているけど...私たちの母親だよ...大神神社の当主...幻想郷のパワーバランスの一角になっているよ」
大神神社?もしかしてあの神社のことか...赤い鳥居にたくさん囲まれた神社だろ一回行こうと思っていたけど私のところからじゃ遠いんだよな...
あ...でももう1つ謎が...
「双子って言ってたよな?」
「元々は1つだよ...それが母さんにできる技...生命に関する専門家みたいなものだからね」
能力か...自身を2つに分けるとは、いったいどういう能力なのだろうか?
「で?何故その母親がそこに?」
「ひまつぶし...フォローする身にもなってほしいよ...」
煌炉はお腹を押さえる...思ったより苦労しているんだな
私たちは気まずい空気の中廊下を進む...
side咲夜
「うひゃあ!!」
暦はナイフをよけながら逃げる...体が小さいだけあり、あたらないわね...でもそんなに時間はかけられないわ
「幻象(ルナクロック)」
懐中時計に手を触れスペルを宣言すると辺りは灰色の世界になる...時は止まり、私以外の事象は動きを止める。この世界で動けるのは私1人...この子には悪いけど退場してもらおう
私はナイフを配置し暦の周りはナイフに囲まれる...これで逃げ場はない
「さよなら小さな侵入者さん...」
時をもとに戻し世界に色が戻り、時は動き出すことにより配置したナイフも動き出す...
「っ!? うわ...」
!?時が戻った瞬間暦が偶然転びナイフが暦の体の上を通過する...悪運が強い子ね!
「くっ!」
「おっと!!」
暦は私が投げたナイフをよける...さっきからちょこまかとー!
「子供なのに随分とよけるわね」
暦は私を見据え笑い始める
「クク...あははははははは!!...子供ねぇ...確かに私の姿は子供の姿よ...でも...実年齢は貴女より年上とでも言っておこうかしらね!!DNA(ゲノム・チェーン)」
暦がスペルカード宣言をすると暦の前に2つの六芒星の魔法陣が現れ中から刃つきの赤と青の鎖が私の方へ飛ぶ
私はとっさに時を止め、暦から距離を取る...とりあえず彼女の能力がわからない以上...下手に攻撃はできないけど私の能力の前には全て無力よ!
私はナイフを投げ時を戻す
「...そこか?」
青い鎖がナイフを弾く...この子!?次の行動を読んでいる?
「何て...子っ!?...ガッ!?」
地面に魔法陣が出現し、赤い鎖が私の体を貫く...そんな...この私が...
「...あ...あれ?」
痛くない?体を貫いた鎖をよく見ると体を通過し後ろの壁に鎖の刃が突き刺さっていた? 体は何ともないのに壁にはヒビが入ってる。
暦は私の反応を見てお腹を抱えて笑っている
「驚いた~?この鎖さ~人体は通過しちゃうのよ~!」
「び...びっくりしたでしょ!!!死んだかと思ったわよ!!この!!っ?」
ナイフを投げようとするが体が動かない
「これに通過された体は動くことができない...まぁ...私も何もできないけどね」
暦が指を鳴らすと私を貫いていた鎖は暦の魔法陣の中に戻る...何故自分から離す真似を?
「フフフ...サンプル採取完了!!では私の番...メイドさん~?頑張ってね~?」
暦が笑うと彼女の力が大きくなる一体何? とりあえず様子見を私は懐中時計に手を伸ばし時を止める...
「どうしたの?何かやった?」
「え?」
暦が動いている?話してもいる?...おかしい!私の力の中ではどんなものも例外ではないのに!
私はふと時計を見る
「う...動いている!?」
私の懐中時計は動いていた...それどころか時止めの特徴である世界が灰色にすらなっていない...もしかして私の能力が使えていない?
暦の方を見ると彼女は笑っていた
「時間を操る程度の能力かぁ...なるほどね...急にナイフが現れたりするのは時を止めていたせいかどう?力が使えない気分は?」
「私に何を?」
暦は無い胸を張り、ガラスでできた試験管を私に見せる...試験管には(時を操る程度の能力)とラベルが貼ってあり中には光のような球が入っている
「私の能力はDNA情報を読みとる程度の能力!遺伝子情報を取り込んだり、弄ったりできる力といっておくわ!!」
さっきあの鎖に貫かれたせいか...あの時に...
「でも!!私の力を無効にした程度じゃ私に勝てるはずないわ!!」
「話は最後まで聞く!私の能力にはおまけがあってね~!ん~そうだな...見せたほうが理解は早いかな?」
暦は試験管の蓋を開け、中の光を口の中に入れる...そして次の瞬間彼女の姿が消える
「なっ!?どこへ?」
「こっちだよ~」
後ろを振り向くと暦は廊下に置いてある石造に座っていた...そして手元には銀の懐中時計...それをパチンパチンと開け閉めしている
あの懐中時計?私は自分の身の回りを確認する...
「っ!っ!?」
無い...無い!!私の懐中時計がない!!!今彼女が持っているのが私の時計?...いつの間に?
「大事なものはしっかり持っておかないとだめだよー!!」
「くっ!!」
私はナイフを取り暦に投げようとするがまた彼女の姿が消える。
「へー!!!こんなにナイフもっているんだー!!」
声の方向には別の石造に座っており、今度はナイフホルダーをいじっている...あれ?
「...っ!!!!」
今度はナイフホルダー?何で?それに私が持っていたナイフまで?
「まさか...」
これまでの暦の行動...見覚えがある...間違いなく私自身の行動だ
能力のおまけってまさか!!!
「何で...私の能力を?」
「正解!!気づいた?私が時を止めていることをね」
「貴女の遺伝子情報を取り入れただけよ...まぁ一時的な力だけど相手の力を無効化して自分が使えるようになる...これが私の能力の強みっていうわけ...まぁもっとも~相手が能力持ちではない・能力の定義が分からないと使えないけどね~能力持ちでわかりやすい能力で助かったよ~!」
暦の姿が消えると同時に私の耳に息がかかり私はその場にへたり込む
「これで貴女は只の無力な人間...無理はダメだよ?」
暦は私の前にしゃがむ...こんな子供に負けるなんて...いや私より年上とかいってたっけ?
「何者なの?貴女...」
「私はね~」
「母さ~ん!!!」
暦が質問に答える前に遠くから2人組がこちらに来る。
「煌炉~来たの~?」
「来たのじゃないって...全くこんな奥まで」
2人組の片割れが暦に話す...え?母さん?
「ちょっ!貴女子持ちなの?」
「うん!私の娘の一人だよ~」
まさかこんな子供にこんな大きな娘が?ありえない...夢よ
もう1人の片割れが来る白黒のエプロンドレスで魔女のようだ
「うわっ!!本当に小さい...本当に母親なのか?煌炉~?」
煌炉と呼ばれた女性は額を押さえる...よくみたら顔よく似ているわね
「うそついてどうする...魔理沙」
「煌炉~先に進もう~!レッツゴー!!!」
暦は煌炉の上に乗り彼女のポニーテールを引っ張る...彼女は嫌そうな顔をする
「え~!行くの~」
「ここまで来たんだしGO-!」
煌炉は溜息をつき奥へ向かう
「あ!待つんだぜ!!」
魔理沙と呼ばれた少女も彼女を追う...3人も通してしまった...
「はぁ...何か疲れた...いつもの家事の方がずっと楽よ」
私は床にへたり込んだままお嬢様のいる部屋へ向かう3人を見送る...
暦の能力はDNA情報を読み取る程度の能力です
あまり戦闘向きの力ではありません
ではこれにて