15話 安心と信頼の拉致犯。
「なあ、シア。どうして君は、そんなにも真剣に俺のことを元の世界に返そうとしてくれるんだ?」
未だに目を瞑り続けるシアに、俺は続ける。
「俺には分からないよ。確かに君は俺をこっちの世界に引きずり込んださ。けど、返すまで面倒を見る必要は無いはずだよね」
シアの表情は変わらない。けれど、俺の話をきちんと聞いてくれているのは分かった。
俺に殴れと言ったときのまま、じっと俺の言葉を待っている。
途中で口を挟んでこないシアに俺は感謝した。彼女は二日間という短い時間ではあるが、俺の質問にはきちんと答えてくれていた。
なら、と俺は思う。今回のこの質問にだって、彼女はしっかり応えてくれるだろう――そこまで思い至り、俺は疑問を投げかけつつもシアに抱いている自分自身の感情に気が付いた。
俺はきっと、シアを信頼していたいのだ。
異世界拉致の犯人でもある彼女を信頼したいなんて、本来であれば逆に恨んでも良いような相手であるのにも関わらずだ。
きっとそれは、シアには世話になっていると思っている部分があるからだろうし、少なくともシアが俺を蔑ろにすることがなかったためだろう。
シアがそうしてくれていたからこそ俺は異世界なんて突拍子も無いところに連れてこられても平常通りの精神状態でいられる。冗談だって言えている。
シアが俺を気遣ってくれていたから、なのだ。
この胸のもやもやとした気持ちは、シアに対して疑念を覚えたことに対する苛立ち。それを払拭したいという気持ちの現われだと思う。
だから、シアから受けた気遣いに応える為、少しだけ、彼女に手の内を明かそうと思った。
「俺、精霊を召喚したんだ。そいつは多分、俺と同じ世界の生き物だった。そいつにサハギンを退治してもらったよ」
そこで初めて、シアが眉根を寄せた。
俺が精霊を召喚した――そして今、その精霊は此処にいない。これが何を意味するのか悟ったのだろう。
「そいつはサハギンを退治したら――帰っていったよ。こう、消える感じでね」
すう、と息を小さく吸い込む。
次の質問が、その答えが、俺の状況を説明することになる。
「――俺はなんで、そいつと同じように帰れないの?」
俺とラファエロには種族という大きな違いこそあれど、出身世界は同じなのだ。
実はこの辺りの知識は、昨晩眠りに付く前に【自問自答】より引きずりだしてある。
ストックされている知識を解析してみても、実質的に俺とラファエロは『精霊として召喚された者』という同じ立場でしかないことが判明している。
なら俺もラファエロと同じく、元の世界に帰れてもおかしくはないんじゃないだろうか?
……まあ、【自問自答】に蓄積されている精霊術の知識は完全なものではないので、勿論綻びはあるんだろうけど。
【自問自答】はあくまでも俺自身が経験した情報を統括する能力で、そこからの知識の応用も限られた範囲でしか答えを導き出せないのだ。
俺はシアの答えを待つ。
質問が終わったのを察したシアが、ゆっくりと瞼を開いていく。
視線は揺れず、まっすぐに俺を見ている。そこにはこちらを誤魔化そうとする気配は微塵もなかった。
ただ、諦めにも似た表情を隠しもしていなかったが。
「質問された順番とは異なるが……まずはトーヤが帰れない理由じゃがの」
言いつつ、彼女は胸元に手を伸ばした。
そこには『血の石』がぶら下がっており、シアは朝日に煌くそれを手のひらで転がす。
「トーヤを喚んだのは確かに私じゃ。じゃが、そのときに血の石が媒体となってしまっての。血の石とおぬしの間にパスが複雑に絡み合ったところに私との契約が上書きされた形となっておるのじゃ」
…………。
理解が出来ないですよ……!ここまでシリアスで来といてからに、「分かりやすく3行で頼む」とか言えた空気じゃないしどうしよう……。
「簡単に言うとじゃな、血の石がトーヤとこの世界を結びつけておるのじゃよ。そのためにおぬしは元の世界に帰れなくなっておるのじゃ」
気まずさに百面相を始めた俺を、気の毒に思ったらしいシアが簡単に説明してくれた。
「えっと……だったらその石を壊せば俺は帰れるのかな?」
「そうもいかんのじゃよ。おぬしの言うとおり、本来であれば媒体を破壊すれば結びつきはなくなるのじゃがのう。しかし、血の石を壊すわけにはいかんのじゃ。これはカナの作品であるし、何より――カナが元の世界に帰るために使っている魔道具なのじゃ」
「……は?それは、どういう」
「言ったままの意味じゃ。血の石が無くなればカナが元の世界に帰れなくなってしまうのじゃ」
「なん……だと……」
思わずテンプレ驚き台詞が口を衝いて出た。
まじまじとシアの手元で転がされる赤い宝石を見る。
このやたら高そうな宝石が元の世界に帰るための重要なアイテムですと言われても、いまいちピンとこない。
なにせ見た目は基本的に普通の宝石だ。
元の世界に帰るために必要なモノって、てっきり神殿とか、その奥の部屋とかにある魔方陣が敷き詰められた怪しげな部屋とか、そういった大規模な装置かと想像していた。ゲームや漫画だとそんな感じが一般的だったから、ついそっち方面へイマジネーションが爆走してました。
ササキの森とかいう場所へ向かうのも、そこに聖域じみた神秘的な場所があって、そこで世界を渡る術を……などと考えていた。
まあ元の世界の常識に当てはめて考えるのが間違いなんでしょうが。
「私がトーヤを喚び出せてしまったのも血の石の影響じゃろう。恐らくじゃが、私は血の石を通してトーヤの気配を掴んだのじゃろう。で、そのままおぬしを此方に引きずり込んだ際に、私との間に精霊契約が確立して、トーヤはこちらの世界に縛り付けられた。これが事の顛末じゃろうなあ……」
「じゃあ、カナさんのトコに向かってるのって……」
「血の石は壊すわけにはいかぬが、これはそもそもが世界を渡るための道具じゃ。ならば製作者であるカナなら上手いことおぬしを元の世界に返せるかも知れんじゃろう?」
どのみちコレ無しにはカナも帰れんことじゃし、とシアは嘆息した。
「その血の石って、スペアあったりしないの……?」
シアの口ぶりからしてなんとなく返答は予想できたが、一応訊いてみる。
「ないのう。血の石は様々な偶然が重なって創りだされたと聞いておる。もし壊れれば二度と作れなくなるじゃろう、ともな」
そんなことだと思ったよ!
むしろそんな大事なもん盗賊とかに易々と盗まれてていいんですかカナさん!
落ち着け俺。……話をまとめてみよう。
俺が帰れない理由。血の石が俺をこの世界に定着させているから。
血の石を壊せない理由。これが壊せば俺は帰れるかも知れないが、変わりにカナさんが元の世界に帰れなくなるから。
両方を解決する手段。製作者のカナさんに方法がないか伺うしかない。
OH……実に他力本願……!
しかしながら確かに考えられる問題解決方法としては最も確実で無難だ。
これ以上の良策は無さそうに思う。ていうか俺よりも状況をしっかり把握しているだろうシアが導き出したこの解決方法より良いものを俺が思いつくわけがない。
「事故のような召喚じゃったんじゃ、本当にすまん……」
改めて、ぺこりとシアが俺に頭を下げた。
こうして美少女に何度も謝罪させてるのって妙な背徳感……否、罪悪感が刺激されるよなあ。
兎にも角にも疑問の一つが氷解した。別にシアは俺を返す気がなかったわけではないと分かって、胸のつかえが取れた気分だ。
あとはもう片方の疑問が残るのみだ。
「おーけーおーけー……よく分かったよ、理解した……」
「桶?なんじゃ、水でも汲みに行きたいのか」
「桶じゃないよ!オーケーってのは了解って意味なんだ」
「カナから聞いたことがある。知っておったよ」
「なら何故ボケた!」
「そろそろトーヤが知恵熱出す頃かと思っての。息抜きにと」
「俺、どんだけ馬鹿だと思われてるの!?」
「私がおぬしを元の世界に返そうとする理由じゃが――」
「あっれ無視されてる?無視されてますか俺?」
気を取り直してシアを見据える。シアにはもう気後れする様子はなかった。
シアの方も言い難かったことを言ってしまったようで、先程までの重い口調はもう無い。
あれ?この様子から見ると、もう一つの質問って、シアに取ってそれほど重要でもなかったのだろうか。
シアは胸を張って宣言する。
「私は王族じゃ。自分が引き起こした事の責任すら取れずに何が王族か。自らの誇りと血に誓って、トーヤを元の世界に返してやるからの!」
「……ははっ」
その理由を聞いて、思わず笑い声が漏れる。
何ですかその自分中心の理由。別に俺をどうこうしようと思ってたわけじゃなくて……。
――ああ、最ッ高に分かりやすくて、単純な理由じゃないか!
こんなことでシアに疑いを持ってしまった俺が馬鹿みたいじゃないか!
俺は王族っていうものがどんなものなのかは想像以外では知りようもないけど、それでも彼女らが『自らの誇りと血に誓って』というのは軽い言葉ではないくらいは分かるつもりだ。
シアが俺を見捨てることをしなかったのは、自らのプライドがそれを許さなかったからなのだ。
誰だよシアを信用していいものかとか考えたのは。
シアが疑わしいとか思ったのは、単純に俺自身がシアをよく見ていなかったからじゃないか!
美貌にばかり目がいって、内面に目が向いていなかった阿呆がここにいる。
ここが異世界でも、人を信用することには何ら元の世界と変りないというのに。
異世界だ異世界だと変に緊張して疑心暗鬼に捕らわれかけていたんだ。
結局、全部が全部、俺自身の一人相撲だったということだ。相撲好きなあのカッパがこの場にいたら、つまらない取り組みだったと愚痴をこぼしそうな滑稽さだ。
「あははははっ、なんだよもう、バッカじゃねえの俺……!」
「お、おい?どうしたのじゃトーヤ?」
突然笑い出した俺をオロオロと見つめながら、シアが声をかけてくる。
やだもう、動作ひとつひとつがすっげー萌えるなあこいつ。
これで乳があったら……いや内面見るべきだとほんの一瞬前に思った筈なんですが、やっぱり美少女は外見も大事です。
それに、と思う。
シアには裏表があまりない。思い返せばシアの表情で機嫌が読み取れなかったことはほとんどなかったし、思ったことがすぐに顔に出るタイプだった。
そんな彼女が俺をどうこうする?考えるだに馬鹿馬鹿しい。どうして俺はこんなことで悶々としていたのか。
目の前で俺にどう声を掛けたものかと困惑している彼女は、俺を何かに利用しようとする異世界人でもなければ、魔族と聞いて想像する悪逆非道のモンスターでもない。シアという一人の美少女だ。
疑問なんて紐解いてみれば至極くだらないものだった。
そんなら。
胸にわだかまっていた気持ちの悪い思いなんて、笑い飛ばしてなんぼだろう!
「ははははっ……いや、うん、ごめん。自分の馬鹿さ加減が笑えてきてね」
「そ、そうなのか……」
シアが何か哀れな生き物を見る視線を送ってくる。
ああ、此方の世界に来てから何度か味わった視線だが、やっぱりシアは自分の感情を隠そうなんてしていない。
よし、だったら俺だってシアに隠し事はナシだ。
信用しよう。そして話そう。
「シア、ごめん。君を疑ってた」
「ぬ?」
「俺、異世界になんて連れてこられて動揺してたっぽい。シアのことも美少女とかナイチチとしてしか見てなかった。んで、自分が分からないことがあったから、それすら君のせいにして疑いかけてた。謝るのは俺の方だよ」
俺は立ち上がり、腰から折って深く頭を下げた。
この頭は、シアから許して貰えるまで上げるまい。シアにしてみれば謝っていた相手が逆に謝ってきているのだから、意味不明だろうが関係ない。
これは俺のケジメなんだ!
「や、やめるのじゃ!なぜトーヤが謝るんじゃ。元はといえば私がおぬしを喚んだから――」
「それでもだよ。俺は君に対してあまりに不義理だった」
「いいから頭を上げんか!」
「俺の気がおさまらない!」
「じゃから悪いのは――」
「いやいや、シアを疑った俺が――」
互いに謝ろうとする俺たちの言葉はいまいち噛み合わない。
埒があかないなとは思うが、どうにも止めどころが見つからないので非常に困る。
「……なあ、不毛じゃと思わんか」
「……だね。お相子ってことにしとこうか」
「トーヤがそれで良いのなら」
「うん、まったく問題ないよ!」
じゃあ、と俺は手を差し出す。
「和解の握手で締めにしようぜ!」
シアは俺の手を見、ニヤリと笑うとガシッと手を握ってくる。
「これで良いかの?」
「おう!」
ああ、シアの手のひらのぷにぷにとした柔らかい質感がたまらない。
朝の空気に晒され、少し冷えている細い指が俺の手を包む感覚。
逃すまいと俺は力を強めてニギニギした。美少女の手を掴んでいるんだからニギニギせざるを得ないでしょう。
肌は極上の弾力を保ち、瑞々しい潤いを――
「……トーヤ、嫌らしいことを考えておらぬか」
「いえ!まったく!全然!」
白々しいことこの上ない。
けれど、そんな白々しい応酬を気兼ねなく出来ることが、なんだかとても嬉しかった。
□◯□
「自分の身体に影響を与えたモノを、解析して知識とする能力……【自問自答】、のう……」
「【自問自答】ってのは俺が付けた名前だけどね」
その後、仲良く(俺主観)朝食を取った俺達は、昨日に引き続きササキの森への旅路を往きつつ【自問自答】について話し合っていた。ちなみに黒霧号も元気にパッカパッカ荷物を背負って歩いています。良かった良かった。
疑念が無くなったからにはシアに相談することに躊躇いはなく、俺は昨夜の出来事や身についていた【自問自答】のことを彼女に打ち明けていた。
最初は半信半疑だったシアだが、俺の話を聞いているうちに出鱈目を言っていないと分かり、今は信じられないといった表情をしつつも熱心に【自問自答】のことを考えてくれていた。
尤も、信じてくれるようになる課程で、話だけでは到底分かってもらえなかったため、
『――『光の矢』!』
『うおーッ!?そんな真面目に当てようとしなくても良いって!肌をかすめる感じで十分だから!死んじゃいますから!』
>>魔術・光の矢
魔力により矢を形成し、対象に向かって射撃を行う。
構成式は……
といった感じでシャイン・アローを覚えるという実演の一幕もあったが。
魔力によって矢を生み出して放つというまんまファンタジーなことが出来たのにちょっと感動したのは秘密です。
シアにしてみればシャイン・アローより簡単なはずの『輝き』を使える様子もなかった俺が、すっとばしてシャイン・アローを行使出来るようになったのが驚きだったらしい。
何でも魔術構成式がウンタラカンタラ。説明されても右から左へ抜けていきました。要するにシャインが出来ないのにシャイン・アローが使えるのは有り得ないと言いたかったらしいです。
「【自問自答】のう……。異質……いや、異常と言い換えても良かろうが……」
「やっぱりこれって特殊なのかな」
「特殊どころか類似する能力すら見当もつかぬわ。トーヤが思っておるよりずっと、【自問自答】は異常な能力じゃぞ。この世界には魔術が溢れており、奇跡じみた所業も確かに存在する」
しかしの、とシアは難しい顔をする。
「それでも、魔術によって引き起こされるのは、その魔術がそういうモノとして構成されているからに過ぎぬのじゃ。当然、そういった魔術は使える者が限られてくる。常人には扱えぬ難度の高い魔術であればこそ、奇跡じみたなどと言われるのじゃからな。それすら一瞬にして解析し、行使できるとするならば異常という他あるまいよ」
「そりゃあ、そうなんだろうなあ……。どんな魔術とかその他諸々まで【自問自答】が解析してくれるかはいまいち分からないけど、今んとこ何でもありな感じで解析してるしなあ」
「魔術だけでなく、その他諸々まで解析しているというのが最も異常な部分なのじゃ。おぬしが精霊術を使えるのも【自問自答】によるものなのじゃろう?」
「だねー。サラマンドラ氏に話しかけられたときに色々覚えたから」
「昨日話したがの。精霊術は生まれ持った才能によって使えるものとそうでないものが明確に分かれるのじゃ。――つまり、【自問自答】はそんな常識すら覆す能力ということになる」
それを人はなんと呼ぶか?
――正真正銘の奇跡、じゃよ。
「うっわあ……」
奇跡とか言われましても……。
そんな大仰なモノだとは思っても見なかったので、実に反応に困る。
手放しでヒャハア!チート能力だァー!とか騒ぐべきでしょうか。いやまあ何やら俯き気味で神妙な顔をしてるシアに殴り倒されそうなのでやめておこう、うん。
「……クク…………」
シアが小さく笑い声を漏らした。
……神妙な、顔?
神妙なって形容される表情って、そんなに周りから見て不安になるような顔だったでしょうか。
俯いているから表情ははっきり確認出来ないんですが、横顔見るだけでなんか凄く欲望ダダ漏れですよこの人。
こういう顔、なんかどっかで見たことあるような気がするんですが。
「……これは面白くなりそうじゃ……!」
たぶん、独り言なんでしょうがしっかり聞こえました。
そうだ、この顔――時代劇で良く見かける悪代官の顔だ……!
おいちょっと待って、せっかく疑惑っぽいのが無くなったと思った矢先にそれですか!マジやめて!人間不信になっちゃうじゃないですか!
シアがガバリと勢い良く顔を上げた。
すっげえいい笑顔です、本当にありがとうございました。
「トーヤ!」
「は、ハイ!?」
俺の返事に、シアは増々笑みを強めた。
無性に嫌な予感がするんですがこれ。笑顔は笑顔だけども方向性が純粋なソレじゃないですし。
「目的地を変更じゃ!まずはドミトリスの王城に寄って行くぞ!」
「……は?」
ガッ!
首根っこを引っつかまれる。
「え、シアさん、なんですかこれ」
「善は急げじゃ」
そのままシアは俺を掴んで歩き出す。
シアは俺より身長が低い。自然と服が締め付けられ、喉が圧迫されて、
「うぐっ、うごごごごごご!首、くびっ!」
首に絡んだ衣服で呼吸困難になります。
必死にタップしてもシアは意に介した素振りもない。ああ!タップってこっちの世界じゃ通用しない文化ですか!異世界このやろう!
しかも何ですかこの馬鹿力!その細腕のどこからこんなゴリラパワー湧いてきてるんですか!
「クハハハハハ!楽しみじゃ、楽しみじゃのう!」
「ウゴゴゴゴゴゴゴ」
こうして俺はドミトリスの王都、リュグノーへと向かうことになったのだった。
なお、俺の意志とかそんなもんは考慮されませんでした。
すこぶるいい天気の中、俺はリュグノーへの道を引きずられてゆく。
酸欠で掠れてきた視界の中、俺は元の世界へ想いを馳せる。
父さん母さん、それと妹よ。天原冬弥は、これから魔王城へと拉致されます。
読んで下さりありがとうございます。
あまはらとうや は シャイン・アロー を おぼえた !
これにてこの章は終わりとなります。
次回からは新章へと……。