正義の魅了魔法使い的な話
「サリサリ~、放課後遊びに行かない?ドレス店行こうよ。婚約者予算を使うからさ。買ってあげるよ」
「え~、サリサリ、困っちゃう~」
「俺は?良いレストランを予約できるよ」
「サリサリ~、ダイエット系~」
「あーー!こんなところに羽のない妖精さんがいる!」
「もお、サリサリですよ~!」
まただわ。耳が腐るような会話だわ。
ピンクブロンドのサリー様に貴公子が群がる。
彼女は男爵令嬢なのに・・・とろけた話し方をするわね。
容姿はとても可愛い。しかし、
神聖な学び舎なのに、最近、風紀が乱れて困ってしまう。
あの方は・・・一体、何なのかしらね。
令嬢たちは皆、眉をしかめるわ。
私はエリー・コラン、何の変哲もない伯爵家の娘。
家に帰って婚約者に相談したわ。今日は婚約者とのお茶会の日だわ。
「全く、どうにかならないのかしら。それどころか。招待状がないのにパーティーに乱入するそうですわ。コリー様はどうしたら良いと思いますか?」
「さあ、どうだろうね。それは殿下の仕事じゃないかな」
「殿方は、のんきですこと」
「そんなこと心配している場合かな?」
えっ、
急にコリー様の眉間にシワがよったわ。
「ウグ・・・」
クッキーを食べたら目眩がする。
「実はね。君と婚約を破棄したいのだが、面倒臭くてね」
「え、もしかして・・・コリーは入婿でしょう・・私を殺したら、路頭に迷うわ」
「義妹のミミリーと婚約をするよ。君は邪魔だ。ミミリーが女伯爵になるのさ。これは伯爵代理も承諾しているよ。何故なら・・・」
ドアが開き。義妹のミミリーが入って来たわ。助けてくれるかしら。
「これからは私が説明するわ。実は、お義母様の連れ子は嘘よ。本当はお父様の血を引いているの」
「うそ、浮気?」
「お父様はいつも言っていたわ。貴女のお母様は息が詰まるって、ズルいわ。同じ貴族の血が入っているのに、貴女は女伯爵、私はメイドだなんてね」
「嘘!嘘よ・・・」
意識が遠くなるわ。家族団らんは嘘だったの?
「君はこれから死ぬのだ。安心しろ。僕はミミリーと幸せになるから・・」
意識がもうろうとしてきたわ。
その時、切り裂くような声が聞こえたわ。
「キャー!キャー!遊びに来たのだからねっ!エリエリの家のお菓子拝見!」
サリー様だ。場違いだわ。何故・・・そう言えば、招待状もないのにあちこち行くと聞いたわ。
それから、サリー様は、ペラペラと話し出したわ。
「キャー!コラン伯爵令嬢のエリー様が毒を盛られた感じ。婚約者が盛った感じだからねっ!
キャー、私は証人なのだからねっ!」
「誰だ!サリーを入れたのは!札付きの阿婆擦じゃないか?」
「キャー!キャー!エリー様、サリー・・・サリーが解毒しちゃうぞ!」
え、サリー様が私を後ろから抱えて、ドスン!ドスン!と上下して振動を与えるわ。
「ウゲー!」
思わず毒のお菓子を吐いたわ。
「な・・・何てことを・・」
「サリーフラッシュ!」
ピカッ!
サリー様が光を放ったわ。カーテシー見たいな体制をとって、右手の中指と人差し指の二本指で右目を挟むようなポースを取ったわ。目から光でている。あれは聖魔法・・かしら。初めて見たわ・・・もしかして・・
魅了?
光からは恐ろしい映像が脳内に流れてきたわ。さみしく切ない映像が、
☆☆☆日本、秋葉原某ビル
「今日はサリサリの卒業コンサートに来てくれて有難う。サリサリ、スキラブゲッチュ歌います!」
「「「「サリサリー!」」」」
「サリーちゃん!」
「結婚して!」
狭い会場で5人しかいないのに、歌姫のように歌っているわ。
☆☆☆某アパート
小さな箱に、絵が動いているわ。サリー様の声?不思議な言語だわ。男が覗いているわ。
「キャー!サリーちゃん大好き様、課金有難うだからねっ!」
>サリーちゃん。200円でごめん。
「有難うだからねっ!カップ麺食べられるからね!」
・・・・・・
何かしら、とてつもなく、見てはいけない物を見た感じだわ。
私は気を失ったわ。
気がついたら。
二人はブルブル震えていたわ。
その後、何故か王家の調査が入り。お父様とコリーは鉱山へ。お義母様は市井にくだり。義妹は修道院の処置になったわ。
そして、私には財産管理人がつき。私は学園卒業で女伯爵になることが決定されたわ。
サリー様は一体・・・・
図書館で調べると殿下と取りたい本が重なったわ。手が重なる。
本の題名は『この世界に現れるピンクブロンドの令嬢の考察についてだわ』
「すまない。今、緊急に調べなければならない・・・てコラン家の令嬢か?」
「はい、私も譲れませんわ」
「なら、一緒に調べるぞ」
「はい」
本によると、ピンクブロンドは異世界からくる者が多いらしい。
『ゲーム』という神のシナリオを知っている。
まさか。
でも、サリー様はサリー様だ。
今度、話しかけてみようと思う。
『サリサリ様』と。
最後までお読み頂き有難うございました。