表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

正義の魅了魔法使い的な話

作者: 山田 勝

「サリサリ~、放課後遊びに行かない?ドレス店行こうよ。婚約者予算を使うからさ。買ってあげるよ」

「え~、サリサリ、困っちゃう~」


「俺は?良いレストランを予約できるよ」

「サリサリ~、ダイエット系~」


「あーー!こんなところに羽のない妖精さんがいる!」

「もお、サリサリですよ~!」



 まただわ。耳が腐るような会話だわ。

 ピンクブロンドのサリー様に貴公子が群がる。

 彼女は男爵令嬢なのに・・・とろけた話し方をするわね。


 容姿はとても可愛い。しかし、

 神聖な学び舎なのに、最近、風紀が乱れて困ってしまう。


 あの方は・・・一体、何なのかしらね。

 令嬢たちは皆、眉をしかめるわ。


 私はエリー・コラン、何の変哲もない伯爵家の娘。


 家に帰って婚約者に相談したわ。今日は婚約者とのお茶会の日だわ。



「全く、どうにかならないのかしら。それどころか。招待状がないのにパーティーに乱入するそうですわ。コリー様はどうしたら良いと思いますか?」


「さあ、どうだろうね。それは殿下の仕事じゃないかな」


「殿方は、のんきですこと」

「そんなこと心配している場合かな?」


 えっ、


 急にコリー様の眉間にシワがよったわ。


「ウグ・・・」


 クッキーを食べたら目眩がする。


「実はね。君と婚約を破棄したいのだが、面倒臭くてね」


「え、もしかして・・・コリーは入婿でしょう・・私を殺したら、路頭に迷うわ」

「義妹のミミリーと婚約をするよ。君は邪魔だ。ミミリーが女伯爵になるのさ。これは伯爵代理も承諾しているよ。何故なら・・・」


 ドアが開き。義妹のミミリーが入って来たわ。助けてくれるかしら。


「これからは私が説明するわ。実は、お義母様の連れ子は嘘よ。本当はお父様の血を引いているの」


「うそ、浮気?」


「お父様はいつも言っていたわ。貴女のお母様は息が詰まるって、ズルいわ。同じ貴族の血が入っているのに、貴女は女伯爵、私はメイドだなんてね」


「嘘!嘘よ・・・」

 意識が遠くなるわ。家族団らんは嘘だったの?


「君はこれから死ぬのだ。安心しろ。僕はミミリーと幸せになるから・・」


 意識がもうろうとしてきたわ。

 その時、切り裂くような声が聞こえたわ。


「キャー!キャー!遊びに来たのだからねっ!エリエリの家のお菓子拝見!」


 サリー様だ。場違いだわ。何故・・・そう言えば、招待状もないのにあちこち行くと聞いたわ。


 それから、サリー様は、ペラペラと話し出したわ。


「キャー!コラン伯爵令嬢のエリー様が毒を盛られた感じ。婚約者が盛った感じだからねっ!

 キャー、私は証人なのだからねっ!」


「誰だ!サリーを入れたのは!札付きの阿婆擦じゃないか?」

「キャー!キャー!エリー様、サリー・・・サリーが解毒しちゃうぞ!」


 え、サリー様が私を後ろから抱えて、ドスン!ドスン!と上下して振動を与えるわ。


「ウゲー!」

 思わず毒のお菓子を吐いたわ。


「な・・・何てことを・・」


「サリーフラッシュ!」


 ピカッ!


 サリー様が光を放ったわ。カーテシー見たいな体制をとって、右手の中指と人差し指の二本指で右目を挟むようなポースを取ったわ。目から光でている。あれは聖魔法・・かしら。初めて見たわ・・・もしかして・・


 魅了?


 光からは恐ろしい映像が脳内に流れてきたわ。さみしく切ない映像が、



 ☆☆☆日本、秋葉原某ビル


「今日はサリサリの卒業コンサートに来てくれて有難う。サリサリ、スキラブゲッチュ歌います!」


「「「「サリサリー!」」」」

「サリーちゃん!」

「結婚して!」

 狭い会場で5人しかいないのに、歌姫のように歌っているわ。



 ☆☆☆某アパート


 小さな箱に、絵が動いているわ。サリー様の声?不思議な言語だわ。男が覗いているわ。


「キャー!サリーちゃん大好き様、課金有難うだからねっ!」


 >サリーちゃん。200円でごめん。


「有難うだからねっ!カップ麺食べられるからね!」



 ・・・・・・


 何かしら、とてつもなく、見てはいけない物を見た感じだわ。


 私は気を失ったわ。


 気がついたら。

 二人はブルブル震えていたわ。




 その後、何故か王家の調査が入り。お父様とコリーは鉱山へ。お義母様は市井にくだり。義妹は修道院の処置になったわ。


 そして、私には財産管理人がつき。私は学園卒業で女伯爵になることが決定されたわ。


 サリー様は一体・・・・


 図書館で調べると殿下と取りたい本が重なったわ。手が重なる。


 本の題名は『この世界に現れるピンクブロンドの令嬢の考察についてだわ』


「すまない。今、緊急に調べなければならない・・・てコラン家の令嬢か?」

「はい、私も譲れませんわ」

「なら、一緒に調べるぞ」

「はい」


 本によると、ピンクブロンドは異世界からくる者が多いらしい。

『ゲーム』という神のシナリオを知っている。

 まさか。


 でも、サリー様はサリー様だ。


 今度、話しかけてみようと思う。


『サリサリ様』と。









最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
他の作品にも出てくるサリサリの嬢の喋り方、癖になる魅力がある〜! 好き!
もうこの話し方癖になるなあwwww
切ないけれど、明るい、感謝して生きるサリーが素敵。 そっかー、シナリオを知ってるからひっくり返しに突撃してるのね。 『理不尽な不幸は許さないのだからね!』
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ