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主人公殺し

近頃、日本では理学の法則を超えた異常現象が多発している。

それは主に東京の高等学校の周辺で観測される場合がほとんどだが、起こる現象はどれも不可解で多岐に渡る。

A高等学校ではーA高等学校とは略称ではなく、地図や書籍、インターネットなどすべての記録において正式名称として記載されている。元の学校名は不明ー11人を除いた教師生徒らが現象の終了まで完全に停止し、目視、あらゆる機器を用いての個人の判別が不能となり、残りの11人については現実時間たったひと月にして三年間を過ごし、A高を卒業したことになっていた。


この現象の特に始末が悪いのが、終了後、この11人の内の5人、4人の女子児童と1人の男子児童が婚姻関係にあったことだ。


当然、日本では長く一夫多妻は認められていなかった。しかし、民法にそれを認めるとする一文が追加されていたのだ。このケースでは他の条文との矛盾が国会で指摘され、すぐに改正された。だからこそこうして追加されていたと断言できる訳だが、他にどんな改変があったのか、知る由もない。


そんな訳で国を挙げて行われた調査の末、異常には中心人物がいることと、その個人を排除できれば即座に異常は終了することが判明した。


ただ問題なのは中心人物はどうやっても殺せず、一部の場合では彼らが『魔法』や『スキル』などと呼ぶ災害レベルの改変を行い、近隣の市外に甚大な被害を出すことだ。


ただ、唯一彼らを殺せはしないが、排除できる方法があった。


トラックによる突撃、すなわち人身事故である。


「はあ、なんで今日も出動だってのに朝っぱらからこんな長々と説明するみたいに考えたんだ? 慣れてきたとは言え、人を轢くのは気分が悪い。疲れてるのかもな」


朝食も早々に済ませ、いつもの灰色のトラックに乗り込み、エンジンを掛ける。


適当に進んだ後、交差点で停止し、専用の端末で目的地を確認する。


「あれ、どこだ? 見当たら」


その瞬間、正面から赤信号であるにも関わらず、一台のトラックが突っ込んできた。


確実に大破するほどの勢いで衝突したが、私は痛みを感じていない。時間が止まったかのようだ。


そして、私は気づいた。


「そうか、今回のは、私か」

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