「封印の代償」
初めての投稿の物語でしたが、今回リニューアルしました。
前のバージョンより、怖くなっていると思います。
第1章: 祠の発見
ゴールデンウィークの初日、空は不気味なほど晴れ渡り、高校2年生の舞、玲子、美咲、健太、翔太の5人は、朝早くから低山のキャンプ場に向かっていた。彼らの心には、どこか説明のつかない不安が潜んでいた。
道中、彼らは「近道」と書かれた古びた木の道しるべを見つけた。その文字は血のように赤く、まるで警告しているかのようだった。舞は不思議な引力を感じ、「こっち行ってみようよ!」と提案した。玲子が「ちょっと危ないんじゃない?」と心配そうに言ったが、他のメンバーは好奇心に負け、その道を進むことにした。
道は次第に狭くなり、木々が不自然に曲がり、彼らを包み込むように伸びていた。やがて古びた祠が視界に入った。祠は苔むしており、長い間誰も手入れしていないことが一目で分かった。しかし、その周りだけ奇妙なほど植物が生えていなかった。
日が沈みかけ、辺りは薄暗くなり始めていた。彼らは祠の近くにテントを張ることに決めた。夜が更けるにつれ、森は完全な闇に包まれた。舞だけはなかなか眠れずにいた。ふと、祠の方から微かな泣き声が聞こえてきた。心臓が高鳴り、舞は耳を澄ませた。
突然、強い風が吹き始め、テントが激しく揺れた。次の瞬間、大粒の雨が降り出し、雷鳴が轟いた。恐怖が彼女の心を掻き立て、祠に避難することを提案した。祠に辿り着くと、入口には古びた木の扉があった。扉を開けると、冷たい風が吹き抜け、彼らの体を凍らせた。祠の中は暗く、湿っており、奥には不気味な石碑が置かれていた。
突然、祠の中で風が吹き始め、石碑の前に白い影が現れた。それは若い女性の姿をした幽霊で、目は憎悪に満ちていた。彼女は低く囁いた。「私を封じ込めた者たちを、許さない…」
その瞬間、恐怖が爆発した。友達は叫び声を上げ、祠から飛び出した。舞も恐怖に駆られ、彼らに続いた。朝日が昇る頃、彼女たちはようやく元の登山道に戻ることができた。振り返ると、祠のある場所は薄霧に包まれ、静かに佇んでいた。しかし、彼らの心には消えない恐怖が刻み込まれていた。
第2章: 祠の発見
舞たちは、祠から逃げ出した翌朝、疲れ切った顔で学校に戻った。彼らの頭の中には、昨夜の出来事が鮮明に残っていた。授業中、舞は黒板の文字が血のように赤く滲むのを見た気がした。玲子は廊下で誰かが自分の名前を囁くのを聞いた。
昼休み、5人は校舎の裏に集まった。突然、冷たい風が吹き、彼らの周りの空気が凍りついたように感じた。「みんな、大丈夫?」舞が尋ねた。彼女の声には恐怖の震えがあった。玲子は目を伏せ、「うん…でも、昨夜のことが頭から離れない。」と静かに答えた。「俺もだ。あの幽霊、本当に見たんだよな?」健太が確認するように言った。
突然、近くの木の枝が折れる音がした。5人は驚いて振り返ったが、そこには誰もいなかった。
その日の放課後、彼らは地元の神社へ向かった。神主は彼らの話を聞き、深刻な表情で頷いた。「あなたたちが遭遇したものは、この地に封印された強力な怨霊です。」
神主はお祓いの儀式を行い、彼らにお札とお守りを授けた。しかし、その夜、彼らは再び悪夢に悩まされた。玲子は深夜に目を覚まし、部屋の隅に立つ白い影を見た。健太は鏡に映る自分の顔が、徐々に怨霊の顔に変わっていくのを目撃した。美咲は枕元で誰かが泣いている声を聞いた。
翌朝、5人は再び学校で集まった。全員が青ざめた顔で、昨夜の恐怖体験を語り合った。「神社のお守りも役に立たなかったみたいだね…」玲子が涙声で言った。「何かもっと強力な方法を探さないと。」舞が決意を込めて言った。
彼らは地元の図書館で古い資料を調べ始めた。美咲が古い新聞記事を見つけた。「ここに書いてあるわ。あの祠は村人たちによって封じられた怨霊を祀るためのものだって。」
その瞬間、図書館の電気が突然消え、本棚から本が落ちる音が聞こえた。彼らは恐怖に震えながら、さらなる情報を探し続けた。
第3章: 不気味な夜
満月の夜、舞たちは特別な儀式の準備を整え、再び祠へ向かうことにした。森に入ると、木々が不自然に彼らの方を向いているように感じた。風に乗って、かすかな泣き声が聞こえてきた。祠の周りには、濃い霧が立ち込めていた。舞が供物を置こうとすると、地面から黒い液体が染み出してきた。玲子は震える手で霊符を配置し始めた。「本当にこれで怨霊を鎮められるのかな…」玲子は不安そうに呟いた。彼女の声は震えていた。
突然、祠の扉が開き、冷たい風が吹き出した。幽霊の姿が現れ、彼らを憎悪に満ちた目で見つめた。その目は血のように赤く、彼らの魂を吸い取るようだった。「お前たちを許さない…」幽霊は低い声で囁いた。その声は彼らの頭の中に直接響いてきた。舞たちは恐怖に震えながらも、呪文を唱え続けた。幽霊の姿は次第に薄れていったが、最後に不気味な笑い声を残して消えた。
翌朝、彼らの姿は消えていた。学校中に彼らの失踪のニュースが広まった。
第4章: 再び祠へ
数週間後、舞の親友である薫が不気味な手紙を見つけた。「お前たちの行いは無駄だった。怨霊はまだ解放されている。」
薫は恐怖を押し殺し、佐藤先生の元を訪ねた。佐藤先生は彼女に最後の手段を教えた。「祠の中に入って、直接石碑に触れ、その上で呪文を唱えてください。しかし、これは非常に危険です。」
満月の夜、薫は一人で祠へ向かった。祠に近づくと、周囲の空気が凍りつくように冷たくなった。扉を開けると、中から腐敗臭が漂ってきた。薫は震える手で石碑に触れ、呪文を唱え始めた。突然、石碑から血のような液体が流れ出し、薫の手に絡みついた。幽霊が現れ、薫を睨みつけた。「お前もここに閉じ込めてやる…」幽霊は低い声で囁いた。薫は恐怖に打ち勝ち、最後の力を振り絞って呪文を唱え続けた。
第5章: 闇の終焉
翌朝、薫もまた姿を消していた。祠の周りには深い静寂が広がっていた。数年後、地元の若者たちは決してその祠に近づくことはなかった。しかし、満月の夜になると、祠の方から悲しげな泣き声が聞こえてくるという噂が広まった。舞たちと薫の失踪事件は、地元の人々にとって永遠に忘れられない恐怖の記憶となった。彼女たちが最後に見たものが何であったのか、怨霊が本当に鎮まったのか、それとも再び現れるのか、それは誰も知ることができない。
祠は今もなお、不気味な静寂に包まれ、怨霊の影が忍び寄るように感じられる。時折、近くを通りかかった人々が、若い女性たちの姿を一瞬見たという噂も絶えない。怨霊の呪いは、本当に解けたのだろうか?それとも、新たな犠牲者を待ち続けているのだろうか?その答えは、永遠に闇の中に沈んでいくのであった。
ご購読、ありがとうございました。




