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勝利のジングルが鳴った  作者: 秋月流弥
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12月25日【メリークリスマス!】《完結》

 いつの間にか雪山のふもとに一人で立っていた。

 真っ白に雪化粧する山を目の前に、星茄は脇に立つバイクのハンドルを握っていた。


「……あれ」


 パンクしたタイヤが直っている。

 転倒する前とまったく同じ状態に戻っている。

 周りを見渡してもノエルの姿はどこにもなかった。

「夢だったのか」


 ……ん?


 ハンドルの握る掌の中に違和感があった。


「これは」

 開くとカラフルな包装紙に包まれた一粒のキャンディーがあった。

『来年もよろしく』

マジックで書かれている文字を読み星茄はふっと笑いが吹き出た。

「お前も大概図々しいな!」



 バイクに乗って雪降る道を走る。

 帰る途中に携帯を開いたら自宅から鬼電が入っていた。

『お母さんです。まだ仕事? 大丈夫? さっき叶が彼氏の家で見栄張って我慢してお腹ペコペコで帰ってきて。あんたのお土産待ちだって』

『お兄ちゃーん叶だよー。チキンまだー? もうお腹ペコペコだよぉ』

『ねー聞いてよぉ。彼氏がサラダとサンドイッチしか用意してなくてぇ。しかもキュウリとトマトサンド!』

『あ、ケーキもあったりする? 私にサンタのマジパンちょうだいね。苺も一番大きいのじゃないと嫌だから』

『ていうかはよ帰ってこいや! チキン二個じゃ足りんぞー!』



「……ふっ」


 どいつもこいつも。

 今は頬にあたる雪も凍てつく風も、だんだん迫る街の灯りも悪くない。

 とりあえず自分のやるべきことは冷め冷めのチキンを待つ家族と夕食を囲み、今日のバイトがいかにしんどかったか愚痴ることだ。



 シャンシャンシャン。



 空のどこかから陰気なジングルが鳴っていた。

 彼女からのエールだ。


「また来年な」


 空から降る鈴の音を追い風に、星茄は聖夜の雪道をバイクで駆け抜けていった。


完結です!ありがとうございました!

季節ものの話は書いてて楽しくハッピーになりました(前半世知辛いが笑)



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