表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/209

92・冬は寒いのです

「お母さん、おはようございます」

「おはようなのです」

吐く息が白くなる時期になった。私たちは、ダイニングに下りていき、お母さんに挨拶をする。


「おはよう、リズ、リコ。寒くなりましたね」

「ええ、布団の中は暖かいので、起きて出るのが辛くなってきました」

「ロズ村の冬より寒いのです」

ロズ村の冬は、海から暖かい風が吹くので、ここよりも暖かかった。カカロやナーマムでは、家が小さく、朝食の準備で使う火だけ暖かくなっていた。ここの部屋は広くて寒いのだ。

「リズは、ナーマムの喫茶店の暖房をここには出来ないの」

「かなり大がかりな装置のはずです。今から、この屋敷に取り付けるのは難しいと思います」

「そうですか残念ですね。それで、ナーマムでは喫茶店を新規に建てたのですね」

お母さんも朝は寒かったようである。


「お母さん、冬と言えば温泉ですよね」

「リズ姉、温泉は山の中です」

「みんなで行かないの」

「この国の山に温泉はないのです。帝国の山にはあるのです」

「確か、王都にいた時に、王様でもお風呂は毎日入れないと言われました。公衆浴場も見たこと無いのです。みんな、何とかしようとは思わなかったのですか」

「リズ、公衆浴場なんて、聞いたことがないですよ」

お母さんも知らないようである。

「お湯を沸かして、温泉のような大きなお風呂にみんなで入るのです」

何故かリコは知っていた。

「リズは小さい時から、毎日お湯につかるんだって言ってましたね。そんなにお風呂が好きなんですか」

「好きとか嫌いではないです。毎日お風呂にはいるのは当たり前です」

「ここのお風呂にも、リコの作った石柱を立てて、毎日お風呂に入っているようですけど、水を用意するのも大変なんですよ。」

「それは大丈夫です。水を浄化する魔道具をリコに作ってもらい、循環式24時間風呂に改造してあります。」

リズのお風呂に対する情熱はすごかった。ちなみ、浄化装置の仕組みはわからない。リコの秘伝の魔法を組み込んだらしい。


お風呂の話は朝食を取りながらだった。三人の会話を、ジムは黙って聞きながら、食べているのだった。


「リズ姉、魔獣の素材で作ったマントに、魔法陣を組み込み、魔力を流すと防寒着になります。このあたりの寒さでは魔石カイロで過ごせますが、帝国では、凍えてしまうのです」

「そんなマントがあるの、でも魔石カイロで良いわ、私は魔石買わなくても大丈夫だから」

リズのマントの内側には、カイロを入れるポケットが、いくつも付けられていた。


二ヶ月と、短い冬だが、みんな春が来るのが待ち遠しかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ