9・ジム 旅の準備を始める
「お父さん旅に出るって、お母さんは知っているの」
私は不安げに父に聞く。
「そうだよ、これはマリサと話し合って決めた。取りあえず2年くらい旅をして、マリサの実家に行こうと思っている」
「お父さん、2年の旅ってどういうこと」
リズはなお聞いてしまった。
「それはな、7歳の時に、教会に行って、魔力検査があるの知っているかな」
「ええ、強い魔力のある子供は、しっかりした教育が必要で、能力のレベルによって、村や街か、国で管理するのですね」
「そうだ、そうするとリコが魔女だと言うことがわかってしまい、国の管理下に置かれる、それに、私たちの本当の子供でないことまでも、わかってしまうかもしれないからな」
「お父様。リコは大丈夫です。大魔女は伊達ではありません。私は魔力を外に出すことはないのです。。閉じこめた私の魔力を認識できる者も魔道具もこの世に存在しないのです」
「まあリコ、そうであっても、あまりリコを人目の多い所に、今は出さない方が良いと思うのだ。特に魔力検査の時は、王国や教会の人も来るしな。その白い銀髪と薄い瞳は目立ってしまう」
「それは旅に出ても同じでだと思うのですが」
「それは多分大丈夫だ、旅の出発までにマリサが毛染めを作ってくれる」
リコは毛染めを使わなくても、魔力で髪の色も瞳の色も変えることが出きた。ただ、まだ色が安定しないのだ、また、常に魔力を使い続けるの良くなさそうなので、ジムがやめさせていた。
ジムは、普段はおおざっぱな性格だが、時には慎重でもあった。さすが冒険家である。
リコの髪の色はジムと同じ濃い茶色にした。この世界では一番見かける髪の色である。
私は、マリサと同じ黒髪。マリサの親族の女性は黒髪が多いらしい。
髪の色は、茶色か黒が多い。そして魔力の強い者は、たいてい金色の髪に金色の瞳になる。髪の色と瞳の色は同じである。私の知識にあるファンタジーの国に比べると地味であった。
7歳の魔力検査の直前に旅に出たのでは、何か隠しているのか疑われてしまう。
なので、早急に支度をして旅出ることにした。
まあ、元々ジムとマリサは一緒になってこの村に住む前は、冒険者と薬師として、新しい薬草を求めて旅をしていたので、いつでも旅に出られる様だった。
この村は隣の宿場町から馬車が入って来られない。
ジムは荷馬車を隣の宿場町に用意することにした。
ジムとマリサの二人ならば、少々の荷物ならば、かついで走って方が早い。
マリサもマナの達人である。旅に必要な身体強化くらいは出来るのだ。
今回は、家族4人分と子供が二人いるので、荷馬車を使うことにした。
必要な物を、家から、ジムは担いで荷馬車に移した。
「お母さん、何でお父さんと旅をしていたの」
家で荷造りをしているマリサに私はは問いかけた。
「それはね、私が王都で薬学科の有る学園を卒業したあと、新しい薬草を探す旅に出かけたかったの、まあ、当然両親は反対したのだけれど、優秀な冒険者を護衛に付けるからと言って、何とか両親を説得したのよ。その時、護衛になってくれたのがジムなの」
そのあとは、聞いてもいないのに、ジムとののろけ話になってしまた。普段から仲の良いのは見ているが、本当に好きあっている二人なのだと私は思った。
だが、冒険者と一緒になっちゃっうて、その辺どうなんだろうとも思った。
「それから、旅に出ると、今住んでいることの家はどうするの」
私は、生まれて今まで住んでいた家がどうなるか心配だった」
「旅に出ることを実家に連絡した時に、定期的に見に来てもらうようお願いしてあるの。それに、ここには薬草の畑があるでしょ。そこで採れた薬草は実家でも必要だから、もしかすると、誰かこの家に住んでくれるかもしれないわね」
マリサの作っている薬草は、実家の薬作りに無くては成らないものになっていたのだ。
「お母さんの実家って、薬屋さんでしたね。」
「そうよリズ、バレッサ製薬商会っていうの。かなり昔からある製薬会社なのよ」
マリサは簡単にいったが、薬の製造のほか、酒や化粧品、発酵食品などの製造販売卸をしている。王国トップクラスの企業であった。
「お母さん、いい人が来てくれれば心配なく旅が出来ますね」
「そこは大丈夫、バレッサ商会にはいい人しかいませんから」
マリサの意味のない自信だった。