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73.助けてくれますか

リズとリコが旅立って、まだ二日なのに、サリーとサニーは家でぽかんとしていた。

「ほら二人とも、ギルドに行って来なさい」

サリー達の母である。

「なんか、行きたくない」

「リズ達と一緒じゃないと、やすい依頼しか受けられないもん」

別にやすいわけではない。ランクEで支部長の知り合い、実力はばっちりで、荷馬車を持っているリズ達が高額の依頼をこなせるだけのことである。

「ねえ、お母さん。氷を売れる所を知らないかな」

サリーはお母さんに聞いてみる。

「いきなりなんです。この時期氷なんて、貴族でも手に入らないのですよ。売っているところなんか有る訳無いでしょ。」

「いや、売ってるんじゃなくて買ってくれるところ」

「何処に氷があるのです。氷がなければ買って貰えないでしょ」

「えー、氷作れるよ」

サニーはお母さんの疑問に答えた。

「どうやって作れるのです」

「こうやって」

サニーは台所から水の入った洗面器を持ってきて、水面に手のひらを当てて、

「アイス」

何回か氷を作るうち、言葉を出した方がイメージがしやいことに気が付いたのだ。

出来上がった氷をみつめ、お母さんは、目を見開いたまま、しばらく黙り込んでいた。


「このことを知っている人はいるのですか」

お母さんは、まずい物を見てしまった顔で聞いてきた。

「リズ達に教わったの、ほかの人は知らないです」

サリーは答える。

「氷は、貴重な物です。あなた達が、氷を作れることを知られたら、大変なことになるかもしれません。誰にも言っては駄目です。人前で氷を作っても駄目です」

「お母さん。バレッサ製薬商会の支部長だった駄目かな」

サリーの知っている一番偉そうな人だった。

「そんな人が、話を聞いてくれるはずがありません。お母さんは、これから仕事に行きますが、誰にもしゃべってはいけませんからね」


「ねえ、サニー、お母さんああ言ってるけど、バレッサの支店長なら何とかしてくれないかな。」

氷を使った小遣い稼ぎを夢見てがんばってきたサリーは諦めることが出来なかった。

「サリーお姉ちゃん、ギルドの依頼を受けるふりをして、バレッサに行っちゃおうよ」

「そうね、ここまで来て、諦められないは。小遣い貯めて、やりたいこと一杯考えてたんだから」

捕らぬ狸の皮算用である。サリーはサニーの提案に乗り、バレッサに向かうのだった。


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