72・短い旅でした
ナーマムの王都に向かう街道を行く、検問所はカードを見せるだけでよかった。
王都と主要都市を結ぶ街道である。良く整備されていた。
王都へは2泊か3泊で着く、野営する心配はない、短い間隔で宿がある。
この街道で、強盗団や魔獣に襲われることはない。
「何か、草原や、森の中の道よりも退屈ですね」
「リズ、普通の人は、こうでないと、安心して旅は出来ないのですよ」
マリサは、リズに都会の一般常識を教えることを誓った。
ただ、夫婦と子供二人、荷馬車を引いての姿は、意外と目立った。
宿に泊まるたびに、旅の目的を聞かれることが多い。
ジムとマリサは、旅をしているのが当たり前だったので、目的は考えてなかった。
「娘達の見聞を広げる為です」
マリサは、かっこよさそうな答えを探し出したのだ。
大きな街が見えてきた。
「お母さん、あれが王都ですね」
「リズ、それが違うのですよ、あれはドーツナという街です」
それから、マリサのドーツナの説明が始まる。
「王都は、回りを壁に囲まれています。その中には平民の住める場所が有りませんでした。
そこで、壁の周辺に人が住むようなったのです。初めは、王都への入り口の近くだけでしたが、お店や住宅が増えて、ぐるり一周の街が出来上がってしまったのです。あまりの発展に、管理者が必要になり、貴族のドーツナ家が任されたのです。」
ドーツナ領は、壁から1キロの幅で王都を囲んでいた。
「お母さん。検問所が見えてきました」
検問所と言っても。街道の脇に小屋があるだけである。
街の境が曖昧で、検問所の位置が良く変わるので、扉付きの門が作れないのだ。
普通は、街が出来る時には領主がいる。ここは、大きな街が出来てしまったので、王が管理者を任命したのだ。
ナーマムを出て、3日目の昼過ぎには、ドーツナの検問所を通ることが出来た。脇から素通りする人ばかりだが、次の王都の検問所を通るには、ここの手続きが必要だった。
「まだ、昼飯を食っていないな」
「急げば、今日中に王都に入れますよ」
「いや、急ぐことはない、ゆっくりと腹ごしらえをしよう」
ジムの意見で、ドーツナの飯屋に入ることにした。
大衆食堂である。昼もかなりすぎ、一段落しており、ゆっくりと食事を楽しめた。
「おお、うまかった。一休みしたら、宿を探しに行こう」
ジムは満足そうだった。
宿もすぐに見つかり、明日は王都に行くことになった。




