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72/209

72・短い旅でした

ナーマムの王都に向かう街道を行く、検問所はカードを見せるだけでよかった。

王都と主要都市を結ぶ街道である。良く整備されていた。

王都へは2泊か3泊で着く、野営する心配はない、短い間隔で宿がある。

この街道で、強盗団や魔獣に襲われることはない。


「何か、草原や、森の中の道よりも退屈ですね」

「リズ、普通の人は、こうでないと、安心して旅は出来ないのですよ」

マリサは、リズに都会の一般常識を教えることを誓った。

ただ、夫婦と子供二人、荷馬車を引いての姿は、意外と目立った。

宿に泊まるたびに、旅の目的を聞かれることが多い。

ジムとマリサは、旅をしているのが当たり前だったので、目的は考えてなかった。

「娘達の見聞を広げる為です」

マリサは、かっこよさそうな答えを探し出したのだ。


大きな街が見えてきた。

「お母さん、あれが王都ですね」

「リズ、それが違うのですよ、あれはドーツナという街です」

それから、マリサのドーツナの説明が始まる。

「王都は、回りを壁に囲まれています。その中には平民の住める場所が有りませんでした。

そこで、壁の周辺に人が住むようなったのです。初めは、王都への入り口の近くだけでしたが、お店や住宅が増えて、ぐるり一周の街が出来上がってしまったのです。あまりの発展に、管理者が必要になり、貴族のドーツナ家が任されたのです。」

ドーツナ領は、壁から1キロの幅で王都を囲んでいた。

「お母さん。検問所が見えてきました」

検問所と言っても。街道の脇に小屋があるだけである。

街の境が曖昧で、検問所の位置が良く変わるので、扉付きの門が作れないのだ。

普通は、街が出来る時には領主がいる。ここは、大きな街が出来てしまったので、王が管理者を任命したのだ。


ナーマムを出て、3日目の昼過ぎには、ドーツナの検問所を通ることが出来た。脇から素通りする人ばかりだが、次の王都の検問所を通るには、ここの手続きが必要だった。


「まだ、昼飯を食っていないな」

「急げば、今日中に王都に入れますよ」

「いや、急ぐことはない、ゆっくりと腹ごしらえをしよう」

ジムの意見で、ドーツナの飯屋に入ることにした。

大衆食堂である。昼もかなりすぎ、一段落しており、ゆっくりと食事を楽しめた。

「おお、うまかった。一休みしたら、宿を探しに行こう」

ジムは満足そうだった。

宿もすぐに見つかり、明日は王都に行くことになった。

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