60・冒険者ギルドで話し合いました
「グランはいるか」
ジムは、冒険者ギルドに付くと、早速受付の女性に声をかける。
「ジムさん。いつも約束なしで来て、支部長を呼びつけますが、本当はきちんと約束をっとってください」
周りから見れば、ただの冒険者が支部長を呼びつけにしているのである。やはり、あまり良くはない。
「おお悪かった。それでは、グラン支部長はおいでになられるかな。」
「ジム、カウンターでの大声はやめてくれ、とにかく奥の会議室に来てくれ」
グランがジム達を呼んだ。
応接室ではなく、会議室に呼ばれたと言うことは、外に話が漏れないようにする為である。
「ここならば、誰にも聞かれない。君たち4人と私だけだ。とにかく思ったことを全て出してくれ。意外と関係なことが重要だったりする」
グランは、いきなり4人出来たジム達が、重要な用件出来たことを察したのだ。
「では、まずは、昨日娘達がキキリに行ったことだ。そこで俺が気になったのは、『あれら』を俺が倒していると言っていることだな」
「キキリと人を襲う魔獣が関係していると言うことか」
ジムの話にグランが対応する。
「そうだ、そしてリコの話では、キキリの壺は魔道具で、人の邪気を集めている」
「人の邪気と、魔獣の関係は」
「それはリコが説明するのです。壺の中には、からの魔石と魔法陣、魔法陣を動かす為の魔石が組み込まれているのです。壺に向かって大声で悪口を言うと、人の邪気がからの魔石に取り込まれていくのです。その邪気で満たされた魔石を魔獣に飲ませるのです。これで人を襲う魔獣が出来上がるのです」
ものすごいことを、リコは説明するのだった。
「そんなこと出来るのか。いや、そうだとすると納得することがある。人を襲う魔獣は、以前からキキリから、そう遠くない所で現れている。キキリが移動すると、その場所も、同じように移動していたのだ」
冒険者ギルドでも、人を襲う魔獣について調べているのだ。 ただ、魔獣の発生場所がキキリがそう遠くない所ばかりなのには、気づいたが関係が解らなかったのだ。
「だが、目的は何だ」
ジムには目的が解らなかった。
「それは、ドラゴン復活の正当な理由が欲しいからですね」
マリサが答える。
「平民の間では、それほど流れていない噂ですが、貴族やお金持ちの間では、かなり信じている人たちがいるようです。魔獣をドラゴンが倒してくれると。ただ、ドラゴンが魔獣を倒してくれるだけなら良いのですが、本当にそれだけで終わるのでしょうか。貴族達は、魔獣がただただ暴れるのでは無いかと心配しています」
マリサは説明を続けた。
「俺たちがカカロ村にいた頃、魔獣の素材を買いに来る者が多くいた。貴族や金持ちで欲しがる者が増えていると言っていたな。これは自分の所の騎士の戦力を上げる為だったのかな」
「お父さん、ドラゴンって、普通に人間で倒せるのですか。」
「解らん、見たことがない」
「倒すのは無理なのです。だから封印したのです」
リコはドラゴン封印の知識があった。封印は出来るようである。
「封印の解き方は知っているのかな。彼ら組織の内容がまったくつかめない」
グランには、まだまだ解らないことが多かった。
「彼らが、なにを知っているかは、キキリにいた上司のような男を捕まえてきて聞くのです」
リコは聞きたいことが沢山あった。
「いきなり捕まることは出来ないな。せめて、魔獣に壺の魔石を与えている現場を押さえないことには、なにも出来ない」
グランは、リコを説得した。