59・聞いたことのある声なのです
「おい、順調か」
「はい、予定通り集まっております」
「そうか、だが、最近マーナムに腕の良い冒険者が現れてな、『あれら』が次々に倒されているのだ。少しでも多く集めてくれ」
キキリの人と、上司らしき人の会話である。
会話は、4人の一番後ろにいたリコにだけ聞こえていた。
『ウーン、どこかで聞いたことのある声なのです。話の内容も気になるのです。』
リコは、気に掛かったが、他の3人がギルドに急ぐの、そのまま一緒に帰るのだった。
ギルドで依頼終了のサインを見せ、報酬を貰うまで、4人で受付横のいすに座っている。
「リコ、さっき遅れたけど何かあったの」
「うん、キキリの人たちの話が聞こえたのです」
「それで、何か気になることがあって立ち止まったのね」
「冒険者に、『あれら』が倒されていると言っていたのです。」
「『あれら』って、なに」
「それは解らないのです」
その時
「はい、報酬用意できたわよ」
受付の女性から呼ばれ、カウンターに向かった。
リコにとって、冒険者に倒されている『あれら』より上司らしき男の声が気になっていた。
カウンターで報酬を受け取ると、4人は帰路についた。
「ただいま」
「ただいまなのです」
「はい、お帰りなさい、今日は遅かったのね」
マリサが迎えてくれた。奥にはポックの世話を終えたジムがいた。
「ええ、依頼は昼で終わったのですが、その後キキリに寄ってたら、遅くなっちゃいました」
私は遅くなった訳を説明し、夕食の準備を始めた。
夕食の会話は、キキリのことであった。
マリサの職場でも話題になっていたようだ。だがジムが気になったの、上司の会話の所だった。
「リコ、『あれら』が最近マーナムに来た冒険者に倒されていると言ったのだな」
「そうなのです」
「最近マーナムに来た冒険者とは、我々のことだろうな。そうすると、倒されている『あれら』とは、人を襲う魔獣のことで間違いないだろう」
「それって、何か恐ろしい話ですね」
「マリサ、魔獣とキキリに何かしらの関係がありそうだな。街の噂で、何か他に気になることはないか」
「そうですね。他に恐ろしい噂と言えば、ドラゴンが復活するらしいです」
「はあっ、なんだそれ、またすごい噂があるものだな」
「今は私たちが魔獣を倒していますが、その前は、それなりに被害があって、ドラゴンが復活して、魔獣から私たちを守ってくれるって話があるのですよ」
ジムは、明日家族4人で冒険者ギルドに行き、グランと話すことにして、今日は寝るのだった。