4・赤ちゃんが二人です
子供たちの面倒はジムとマリサの二人で見る。二人では大変かと思っていたが、二人の赤子は、あまり泣かない。おなかがすいた時とおしめを交換して欲しい時に泣くくらいである。
「なあマリサ 赤ん坊ってこんなにもおとなしいものなのか」
「そうね、ここまでおとなしい赤ちゃんは、聞いたことがないわね。ところでジム、夢見人って聞いた事がないかな」
「ああ、生まれる前の知識があるってやつか。でもそれって、もう少し大きくなってから、こんな事思いついたとか、私こんなこと知っているとか言うんじゃなかったかな。生まれた時から知識があるものなのかな」
「そうね、私の知っている夢見人は、必要な時に必要な知識を思い出す感じですね。それでね、この二人は、理由はわからないけど、沢山の知識を持って生まれたと思うの。だからおとなしくしている気がするわ」
「そうだな、まあ、手がかからないのに越したことはないので、良かったことにしておこう」
あまりに不自然に泣かない赤子であったが、手がかからないのは楽である、どうしてなのかは考えないことになった。
ジムとマリサのここでの生活は狩りと薬草の採取と薬作りである。村の集落から離れた山の中腹に家はある。薬草の栽培や採取が出来るからである。ジムは冒険者なので、当然狩りが出来るので山に猟に行く。そして、二人で薬草栽培をしながら、自分たちが食べる芋や野菜も作っていた。
ジムは父親や爺さんに連れられて、子供の頃から狩りをしていた。身体強化が得意であり、剣は父親からみっちりしごかれている。優秀な冒険者で、大物をしとめることが出来た。かなりの収入である。稼いだお金は冒険ギルドに預けてある。それなりに貯まっているので、子供の面倒を見ている間、現金収入が少なくてもやっていけるのだ。
冒険者登録をしたのも8歳の時である。普通は薬草の採取や街の奉仕活動くらいしか仕事がないのだが、ジムは大人に混じって、まあ父親と一緒なのだが、狩りをしていた。
ランクを上げると面倒な仕事もこなさないといけなくなる。ジムはあまりランクアップは望んでいなかったので、AからFまであるランクのCからランクアップをしていない。ただ、冒険ギルドの上には実力がばれており、Aランク並の仕事がCランクとして、ジムに指名で依頼されることがある。娘の出産時の仕事も指名依頼だった。
ジムもマリサも二人の赤ん坊を見ながら、嬉しそうにほほえんでいる。
ちょっと普通とは違った感じであるが、かわいいかわいい娘たちである。ジムは冒険の仕事をほどほどにして、家族のためにがんばるのであった。