39・冒険者ギルドに着きました
私たちは、冒険者ギルドに着いた。
「すみません、旅の冒険者です。しばらくこの街に滞在するので、挨拶に来ました」
私は、カウンターの向こうで、いすに座っていた受付の女性に声をかけた。
受付の女性は。
「あら、可愛い冒険者さん。初めまして、よろしくね」
「これが、私たちの冒険者カードです」
私とリコとジムのカードを渡す。
「あら、7歳で冒険者、すごいのね。それで、お父さんがジム:トレイシーですね。」
受付が確認をする。
この世界では平民に家名はない、家名を持っているのは貴族である。
家名の代わりに、マリサであればバレッサを名乗れる。マリサ:バレッサである。これはマリサがバレッサ製薬商会の一員だからである。
トレイシーはカカラ村の優秀な冒険者の呼び名であり、ジムはトレイシーを名乗ることを認められている。
「ああ、ジム:トレイシーで間違いない。しばらくこの街にやっかいになる。そこで住む家を探している。相談に乗ってくれ」
「はい、それでは隣のカウンターでお待ちください。担当の者を呼んできます」
受付の女性は、担当を呼びに、カウンター裏の事務室に入っていった。
「支部長。ジム:トレシーと言う冒険者が家を探しに来ました」
受付嬢は家を紹介する担当者と言ったが、専門の者がいるわけではない。そう言う時は支部長に声をかけるのだ。
「ああっ ジム:トレイシーか。本物かっ、本物ならば久しぶりだな」
「支部長、お知り合いですか」
「ああ、あのジムならば知っている」
支部長は、事務室のドアを開け、ジムのいるカウンターに向かった。
「大本当にジムだ。いや、久しぶりだな」
「誰だ、気安く声をかけるのは」
ジムは支部長の顔を見た。
「ジム、俺だグランだ。覚えていないか」
「グラン、聞いたことのある名前だな。おお、そうだそうだ、冒険者になって、この街に来た時に一緒に冒険に行ったな」
「そうだ、あれは、ジムが12歳だったかな。カカラ村から来た冒険者だと聞いて、どんなすごいやつが来たと思ったら、子供だったので、少しがっかりしたりしたのも、いい思いでだ」
「忘れていい思い出だな。で、グランこんなところで何をしているのだ」
「なにをって、俺はここの支部長だぞ」
「はっ、おまえが支部長。冒険者ギルドも人手不足なんだな」
「ははは、嫌みを言ったつもりだろうが、本当に冒険者は人手不足なのだ。ジム、しばらくここにいるんだろ、依頼を受けてくれると助かる」
ジムは、リズの剣が出来るまでやることがないので、依頼を受けることにした。
そして、グランに町はずれの家賃の安い家を紹介してもらった。やすい家でも手作りのジムの家よりは、しっかりしていた。