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38・ナーマムに着きました

リズの剣を頼む鍛冶屋の住む街ナーマム、王都からは馬車で三日、商業と職人が多く住む街である。ここには領主が住み、領主の名はクエンチェスと言った。


「お父さん、昨日泊まった宿場では、魔獣に襲われた人たちに会いませんでしたね」

「怪我をした騎士の回復を待って遅くなっているのかな。無事に旅を続けられると良いのだが」

私たちは、ナーマムの街の入り口に着いた。入り口には大きな門があり、門の隣には、小屋が建っていた。


「リズ、リコ、この町に入るには、検問所を通る。警備の受付に人が並んでいるのがわかるだろう。あそこで身分の確認をして、そして街に入れるのだ」


ジムの説明である。私は、ロズ村とカカラ村しか知らない。大きな街に入ったことがないので、初めての検問所である。


「身分証明は、冒険者カードでいいの」

私はジムに確認する。

「そうだ、リズとリコは、カカラ村でもらったカードを見せなさい」

「お父様は、冒険者カードを持っているのです。お母様は持っているのですか」

リコがマリサに尋ねる。

「持ってますよ。冒険者ではなく、商業者カードですけどね。実家がバレッサ製薬商会をやっているので、子供の頃にはカードを持ってました」

マリサはカードを娘達に見せてあげた。


「はい次の人」

私は受付に呼ばれる。

「はい、身分を証明できるものを見せなさい」

私は、受付にカードを渡した。

「これは冒険者カードだね。名前はリズ。7歳 ロズ村出身で良いな」

「はい」

「むっ 7歳で冒険者カード、おかしくないか」

普通では、7歳の冒険者はいない。受付は不審におもう。

「おい、よく見てくれ。このカードはカカラ村の冒険者ギルドの発行だぞ、きちんと試験を受けて合格して、冒険者になったからな」

ジムが受付に説明をする。」

「少し待て、確認をしてくる」

受付は、裏にいる上司に確認に行った。ここの街はカカラ村から十日で着く。カカラ村の冒険者ギルドのことくらいは覚えておいて欲しいものだ。

「カカロ村の冒険者ギルドの特例のことは聞いてきた。確かに7歳でも合格すればなれるそうだな。しかし7歳で冒険者とは、驚いた娘だな」

何か納得がいかない顔をしながら、受付はカードを私に返してくれた。

「リコも冒険者なのです」

リコがカードを渡す。

「おまえもか。リコ、7歳、ロズ村出身、これもカカロ村冒険者ギルド発行のカードだな」

受付は今度はすぐにカードを返してくれた。

ジムとマリサもカードを見せ、検問所を無事通り抜けた。


「お父さん、その鍛冶屋が何処にあるのかわかっていますか」

「いや、この町で鍛冶屋をやっていることは間違いないが、場所はわからない」

「お父様、剣を頼んだら、出来上がるまでには、日にちがかかるあのです。まずはこの街で住む場所を探すのです」

「どこか町はずれの家でも借りることにしよう」

ジムは町はずれの方が、家をやすく借りられるだろうと思った。

「そうですね、長くいるのに宿ではお金がかかりますかね」

マリサも家を借りることに同意する。


「では、冒険者ギルドに行くぞ」

ジムはナーマムにある冒険者ギルドに向かおうとする。

「お父さん、家を探すのではないのですか」

「リズ、冒険者のことは冒険者ギルドが面倒を見てくれる。それに、この町にしばらくいるのだから、ギルドへの挨拶は必要なことだ」

「そうなんですか。冒険者については勉強してきたのですが、まだまだ知らないことも多そうですね」

「リズ姉、世界は広いのです。私たちは、まだ2つの村しか知らないのです。」

リコは、大魔女として、世界中を巡った知識はある。大昔のものなので、現代ではあまり役に立っていなかった。


私たちは取りあえず冒険者ギルドに向かう。ジムがマーナムの冒険者ギルドの場所を覚えていた。冒険者になって、カカラ村を出た後、初めに来たのがマーナムだった。

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