3・リコ 捨てられています
バシ お尻を叩かれた。
「オギャー」 やっぱり生まれたら泣かないとね。と、普通の赤ん坊のふりをしてみました。
そう、生まれました。生まれたばかりなのに、自分が生まれたことがわかりました。
でも、なんか違う。出産を喜ぶ声がしない。ゆっくりと目を開ける、まだよく見えないが、目の前には男たちが数人いる、こういう時って、お母さんやお父さん、そして産婆さんがいるんじゃないの。
これは泣いているどころじゃないよね。とにかく状況を把握しよう。
お母さんのお腹から出てきた。そして、オギャーと泣き終わったあとに、聞こえてきたのは男の声だった。
「この子は呪われています。白い肌、白い髪 赤い目 きっと悪魔の子です」
なに、見た目だけで判断して良いのか。きっちりと調べないといけないのでは、と思う。
周りの人々から『これは悪魔だ』『呪われている』の声がした。どうも呪われた子供が生まれても不思議ではない状況がここにはあるらしい。
だが、あわてなかった。なぜなら私には魔力と魔法の知識がある。自分が悪魔で無いことくらいわかる。こんな状況簡単に解決してやろう。
でもあわてた方が良かったかな。生まれたての赤子では、魔力もほとんど無く何も出来ないかった。
呪われた子を殺して、呪われてはたまらなとか言っている、そして私は森の奥深くに捨てられることになったのだ。
私を生んだ親を見ることはなかった。
出産後すぐに死んだことにされた。
そして、森の中でジムに拾われたのだ。
ジムの家に着くと、家の中が騒がしい。もうすぐ生まれそうだ、まだだの、言っている。
ジムの奥さんが産気づいているのだ。
ジムによって、ベットに移されたが、誰も私を見ていない。今の立場はどうなっているのかな。普通赤子を拾っきたら、どうするか考えないのか。拾われてきた捨て猫より、ひどい扱いである。
出産に気がいっているので、仕方がないけど、少しはかまって欲しかった。
まあ、やたら騒がしい家族である。明るくて良いのだが、もうちょっと静かにして欲しい。回りはうるさいが、ここは安心できる、そのまま寝てしまったようだ。
気が付けば、隣に赤ちゃんがいる。さっき生まれた子だろう。仲良さそうに並べられている。