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15・私たちの周りに人が付いてきます

宿場 野宿 野宿 宿場 野宿と宿場と野宿を繰り返しながら旅を続ける。

「お父さん、お父さんの村の方に行くにつれて、宿場の数が減ってきてませんか」

野宿が多くなることへの不満から言っているわけではない。決して不満ではない。

「リズ、お父さんのいる村は、周りに魔獣が多く、あまり人の往来がないんだよ。通る人が少なければ宿屋もやっていけないから、宿場も少ないのだよ」

「そうなんですか、人の往来が少ないはずなのに、私たちの周りには何故か人が集まっているような気がするのですが」

「リズ姉、それはこのあたりの危険度が増しているからです。経験の豊富な旅人や旅商人は、強い人に付いていくのです。強い人は護衛ではありませんので、助けてくれることはないのですが、魔獣や盗賊が出た時、それを倒してくれますから」

「リコ、強い人って誰のことですか」

「当然私たち家族です。リズ姉はこの世界の強さの基準を知らないのです。お父様は冒険者として超が付くくらい優秀です。そして私は大魔女です。身体が小さく戦闘能力はまだまだでも、その辺の魔獣や盗賊には負けません。リズ姉も、お父様と剣の訓練をしてきています。身体強化も並ではないです。みんな強いのです」

リコは小さな身体をのけぞらせ自慢げに語った。


「そういうことですな」

私たちの荷馬車の後ろにいる馬車から声がした。

「わしら旅商人は、なかなか護衛を付けること出来ない。これから行く村、名前はカカラだったな。護衛なしで行くのは厳しいかなと思ってが、そんな時、旅のあんたらが目に入ったのだ」

商人の男は自分の馬車を荷馬車の隣に並べながら話しかけてきた。

「カカラ出身のものがカカラに行く、間違いなく強いはずだ、一緒について行けば安全だと思い。カカラ村に行ことにしたのだ」

ジムたちが宿に泊まった時に私たちの会話から、ジムがカカラ村の出身で、今、村に向かっていることがわかったみたいだ。

「カカラのものが、皆強いと限るわけではないぞ」

ジムは男に返した。

「いやいや、私も旅生活は長いのですぞ。ここまで生き延びてきているので、それなりの経験はしてきました。あなた達は強い。見ただけでも解ります」


旅商人は命がけである。大きな利益を出すためには大きな危険がつきまとう。長く旅をしているということは、生き延びる術を知っているのである。


「何故 カカラ村に行くのかな」

ジムは村にはたいしたものが無いはずだと思っている。

「カカラ村の周りには、強い魔獣が多くいる。そして強い魔獣を狩ることできる冒険者がカカラ村にはいる。良い素材と強い魔石があるからです。」

ジムにとっては魔獣は特別なものではない、カカラ村では狩りは日常のことだ。

村の近くに来るから、狩っているだけで、素材や魔石の価値に関心がなかったのだ。


「カカラ村以外でも魔獣は取れるのではないかな」

「カカラ村以外にも魔獣はいます。ただ、強い魔獣が沢山にて、強い冒険者がいる所は少ないのですよ。だから、王都にもって行けば、強い魔獣の素材や魔石は高く売れるんです。それに、カカラ村には商人があまり行かないので、今積んでいる商品も他より高く売れるんですぜ」

「他の村より高く売るのは気になるが、まあ、危険を冒し時間をかけて行くのだから高くはなるな」

だが、周りを見ると、この商人の馬車以外にも数台の馬車がいる。警備の冒険者を乗せているものもある。

「お父さん、これほどの商人が魔獣の素材を買いに行くと言うことは、王都で素材や魔石が必要になっているのでしょうか」

「王都のことはわからないな。声をかけてきた商人も詳しい理由は知らないと言った。そのうち王都に行くこともあるだろうから、そうすればわかることだろう」

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