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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

One year・キャンディー・コンペイ糖

作者: 秋野萌葱

クソみたいな蒙古タンメンの夢をどうにかしたかった。


カラカラ キラキラ フワフワ


年の瀬、ポケーとパソコンに向かい合いパタパタとキーボードを叩きながら、私は次の短編の構想を練っている。

地べたにはフローリングの上にマットがあり、その更に上に敷きマットしかもフワフワが轢いてある贅沢仕様更に脇には温いヒーターもあり、何これ天国かと思う程に自分の頭はどこぞの夢を見せる鬼さんのごとく夢見心地だった。

足の短いテーブルの上にはノーパソと書き溜めた資料、そして最近オキニの900ML入っているパックアップルティーとこれまた最近よく買って食べる瓶詰めされているキラキラ輝く色とりどりの金平糖が年末作業のお供だ。


ガタガタと大風が雨戸を叩くど深夜。

テーブルの奥に居座るデジタル時計の数字はとうとう30日の23時をきった。

清々しいほどのイカれた夜だ。

とー分過多で太るんじゃないかと思われそうな、聞くと色々心配されそうな深夜の自分の生態事情である。


そんな大台を超えた自分の思考もそろそろやばくなってきた気が何となくしてくる。


「どうしようかな。寝よっかな_」


そんな事を考えつつふと、金平糖の瓶に伸ばす手を止める。

じいーとそれを見つめると紅白柄に金箔がまぶしてある何ともおめでたそうな色彩だった。

面白そうだから食べちゃえ思考の元、三本指を突っ込みカラカラと瓶を鳴らすと、紅白金箔金平糖を摘み上げて口に放る。


『カリッ』


じんわりと広がる甘さにポーッと良いし入れていると。


「あ_」


ゆるゆると目蓋が落ちていき、私は眠りの淵に足を踏み入れていった。












トーんとーんトンカラりと_ちいさーな_


「うるさっ!!!」


どこか耳慣れた歌が耳障りに延々ループで聞こえて思わず飛び起きると、そこには極彩色のリボンと玉に溢れかえった世界が広がっていた。


「うわっ、まぶしっ。」


チカチカキラキラピカピカと、まるでサイリウムのように私の目に入ってくる光たち。

目を閉じても両眼を塞いでもしつこく入ってくる光。

ランプなんて生易しいものじゃないいわゆるウルトラマン光線だ。


「あぁくそ。これどこかに行けばいいというわけ?」


ぶちぶちと文句を言いながら立ち上がると、リボンと玉はひとりでに道は開けていき、1つの通路ができた。

玉もリボンもふわふわしたものじゃなく。

ギラギラ金きらきらきらきら。

苛立つ私の深層心理に反映するように玉もリボンも極彩色の輝きを増していく。

しばらく歩いていると、開けた場所に出てきた。


そこは静かな場所だった。

まるでゆりかごが散乱しているかのような、雑多なものが多く散らかっていて。

それといって無駄なものが何一つない私にとって完璧なものばかりだった。


「やれやれどっこいしょ。」


おっさんくさい言葉を言ってその前に座る10代の自分。

周りにはまるで寝落ちする前に見たコンペイ糖のようなキラキラのエフェクトが相変わらず所狭しに散っていた。


『じゅるり_美味しそう_』


夢だから_太らないよな_?

そろそろと、手を伸ばして青い色を掴むと口に放る。


『カリッ!』


かじってみると、口内にソーダーのような爽やかな味が広がり、ぼんやりと視界に靄がかかっていく。

靄を晴らすようにギュッと目を閉じて開く。


すると、そこは自分の部屋だった。


「・・・あれ?」


なんの変哲もない自分の部屋。

けれど、なんかじんわりと暑い。


カチッと、タブレッドを起動すると、八月の表示。


・・・・・・・・・・・・・へぁ?


真冬のはずなのに何故、八月?


・・・・・・


何があったかを必死に動かない頭で考えてみる。


考えて、考えて、あることを思いつく。


そうだ。


やっと、息ができていた短い期間だったんだ、と。


ほーふう。


スーッハーっ。


心臓がねじ切れそうな喉が引きちぎれそうなあの記憶。

身が千々切れそうな苦い記憶。


冷たい視線。

遠巻きな人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人。



「ヒッあ、あ、あああああああ_」


怖い。怖い。いやだ。怖い。

一人は嫌。

コドクハ怖い。

嫌だ嫌だ_




「ーごめん。」


・・・


不意に、再開した昔の顔見知りを思い出す。


「ーあ。」


遠巻きに見ていた一人。

何も危害加えることが無かったけど、何もしなかった一人。

今更謝られても、どうもこうもないのに謝ってきた。


そうか。


その何気ない一言は。


「こんなにも、心。軽くなるんだな。」


スーッ。ふうっ。


「ーーーありがとう。」


バチっ!


視界が暗転してゆるゆると目を開ける。


寒い_


タブレットのホームボタンを押すと31日のam5時だった。


「・・・お腹痛い。」


最悪な明け方の目覚め。

でも、いい夢だった気がする。

来年も良い年になりますように。

良いお年を!!

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