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悪霊少女が行く! 俺の相棒は最強最悪の悪霊ちゃん  作者: 北のシロクマ
スペール王国及びタイアー共和国編
43/88

超絶進化!?

「よぉ、何とか間に合ったな」


 まさかミサイルをブッた斬るなんて思わなかったがな。しかしわざわざ手助けしに来るとか、わりと義理がたい性格なのか。


「ああ。マジで助かったぜタケゾウ!」

「ま、これで泉の報酬分はチャラってことで頼むわ。追加報酬でこの後も加勢するぜ?」

「あ~考えとく……」


 前言撤回。やっぱ金に汚ないやつだ。


「ヒサシ殿ーーーっ! よくぞご無事で!」

「ヒサシさん!」

「バウ!」


 ネージュやマルセルも駆け寄ってくる。見たところ死体は転がってないし、大した被害はなさそうだ。


「ネージュとウル、無事だったか。それにマルセルも」

「うむ。タケゾウ殿やあちらの騎士団の協力もあり、共和国軍は引き上げていったよ。特にロッカの騎士団――だったかな? あまりにも共和国軍が執拗に攻めてきたので、半狂乱になって追い立ててくれたよ。疲れてるようなので、そっとしといてあげてほしい」


 甲冑脱いで寝転がってるのはそれが原因か。もちろんそっとしておく。回復したらこっちが追われる番だからな。


「ところでヒサシ、そっちの子供は誰なんだ? まさかピラミッドに迷い込んだってこともねぇだろう。それに飛んでったデカブツもだ。見たことねぇ魔物だったが……」

「ヤベェ、忘れてた! 実はな――」



 邪神との戦闘が終わってない事を思いだし、何があったかをみんなに話した。俺が邪神を復活させた部分はカヤローに擦り付けてな。メリーとレンがこの場に居ないことにも触れられたので、その件とユラについても説明を終えると……



「なんと、邪神が復活してしまったと!」

「おいおいマジで一大事じゃねぇか。傭兵団や共和国を相手に戦って、ついには邪神にまで手を出しやがったとかよ、ほんっとお前さんらはトラブルに事欠かねぇよなぁ」

「な・り・ゆ・き・だ! 好きで手出ししたんじゃねぇねぇよ!」

「そういう事にしとくぜ。んで、ほっといて大丈夫なのかよ?」

「もちろん大丈夫じゃない。今すぐに後を追うさ!」


 ダッ!


「お待ちください、ミスターヒサシ。今から全力で追いかけても邪神には追い付けません」


 ユラに呼び止められ急停止。


「んなこと言ったって追わないわけにはいかねぇだろ」

「ですが追い付いた時にはすでに邪神は進化しているでしょう。下手をすると返り討ちにあいます」

「ではどうするのですか? わたくしは元よりヒサシさんたちでも太刀打ちできないのなら、もはや邪神を止める方法は……」

「バウゥ」

「目的地へ先回りできれば撃破可能です」

「瞬間移動でもしろってのか? そんなことが出来るなら最初から――」




 いや、待てよ?




「そうだよ! 転移装置を使えば先回りできるじゃねぇか!」

「うむ。ここから泉のある山奥まで2週間はかかる距離だ。邪神がドラゴン並の速度でも充分先回りできるだろう」



 希望が見えたところでさっそく城に転移すると、地下の転移装置へと向かう。何人かの魔術師が作業中だったが今は急を要する。


「おや、マルセル殿。ピラミッドに押し寄せたタイアー共和国共を撃退したそうで」

「その件なのですが、どうやら連中は邪神を復活させてしまったようで……」

「なんと! これは一大事ですぞ、すぐ国王様に報告を――」

「お待ちください! 邪神の目的は例の泉にあるらしいのです。先回りして待ち伏せできれば撃破できる可能性も」


 マルセルが泉の件で活躍した俺たちに視線を投げかけると、動揺していた魔術師たちが安堵の表情を浮かべた。


「なるほど。彼らのような強者がいれば心強い! 我々も準備が整いしだい向かうゆえ、マルセル殿は彼らと共に泉へ!」

「承知致しました。見事勤めを果たして見せましょう!」


 事態を把握してもらい、転移装置で泉へとやって来た。そこでも作業中だった魔術師に事情を説明し、共同戦線を張ることに。


「邪神はまだ来てないようだな」

「ユラの目測に……よりますと、邪神がここに到達するまで約10分となる見込み……です」


 それでも10分か。改めて思うがとんでもねぇやつだな。


「もうすぐここに来るんですね。わたくしたちだけで大丈夫でしょうか」

「バゥゥ?」


 ネージュとウルには悪いが、相手が相手だけに今回ばかりは戦力にならないだろう。


「大丈ばねぇけどやるしかないさ。ネージュとウルにまで戦闘は強要しないよ」

「で、ですけど……」

「ユラには強要する……のですね。こんなにか弱い見た目……ですのに」

「お前は充分強いだろ。でもネージュは戦闘には不向きなんだ」

「…………」


 気まずそうにするネージュだったが、そこへマルセルから意外な提案が。


「ふむ。ならば泉の水を飲んでみてはどうだろう? この湧き水には回復以外にも潜在能力を引き出す効果があると噂されているんだ」


 邪神も似たような事を言ってたな。俺も興味を引かれたが、俺よりも食いついたのが……



 シュバ!



「ネ、ネージュ……殿?」

「その話は本当ですか?」

「ほ、本当というか、あくまでも噂であってだね……」

「わたくしの潜在能力が引き出されるという事はですよ、魔力が増幅する以外にも背が伸びたり胸の辺りがキツくなったりして、この服だとサイズが合わなくて困っちゃう~とか言わなきゃならなくなってしまうとか!」

「いや、困るのなら無理して着なくとも……」

「それを楽しみたいんです!」


 気迫を込めた顔でネージュが訴える。ならばと湧き水を飲ませてみると……



「ンク……ンク……ぷはぁ! ど、どうでしょうか?」


 爽やかな笑顔。透き通る肌。チャーミングな美少女エルフ! キャッチフレーズはこんな感じか? 残念ながら見た目に変化はないが。


「どうって言われても……なぁ?」

「おいおい、俺に振られても困るぜヒサシ」

「だが返答に困るのは確か……かな」


 俺もタケゾウもマルセルも、ネージュから視線を逸らす。


「ウ、ウルちゃんはどう思います? どうか一言感想を!」

「バ、バウゥ?」


 おいこら犬、こんな時だけ人語が分かんないフリすんなや。


『ハッキリ言えばいいじゃない。何も変わってないって』

『そうだな~。ヒサシが代表して言うべきだよな~』


 何で俺よ!? そんな恐ろしいこと本人を前に言えるか!


「むぅ……、どうやらウルちゃんが理解するのは難しかったみたいですね。こうなったらウルちゃんにも飲んでもらいましょう」

「バウ!」


 ちょうど喉が乾いていたのか、ウルがゴクゴクと飲んでいく。すると間も無く、ウルの全身が光を放つ。


 シュィーーーーーーン!


「な、なんか光ってるぞ!?」

「メモリーに……よりますと、魔物が進化する際は光を放つと言われて……ます」


 間もなく光が収まると、ユラの言っていた通りにウルの見た目が変化していた。


「こ、これは……深い闇を感じさせる黒い毛並みに獲物を逃すまいとする白銀の瞳。正しくAランクの魔物――サバイバーウルフ!」


 マルセルが叫ぶと、タケゾウや魔術師たちも大きく仰け反る。Aランクがそこらをほっつき歩いてることなんてないらしいから当然の反応だわな。


「良かったなウル。今のお前なら邪神に一太刀浴びせれるぞ」

「頼りにしてますよウルちゃん」

「バウ!」


 それでも邪神が(シングル)ランクで更に格上なんだから、いかに恐ろしいかってことだがな。


「こりゃスゲェ。俺も試しに飲んでみるぜぃ!」

「う、うむ、これは私も試さねばなるまい」


 タケゾウとマルセルもウルに続けとばかりに飲み始めるが……


「なんでぇ、何も変わらねぇぜ」

「う~む、残念だが我々には影響は及ぼさなかったようだ」


 まぁそう簡単には進化しないよな。それにアレか。魔物にしか影響しないって可能性もあるのか。


「ユラも飲んで……みましたが、特に変化はあり……ませんね」フニフニ

「なんで胸の辺りを気にしてんだ?」

「ちょっとは期待するじゃない……ですか」

「いや、ネージュじゃないんだから、いちいち見た目を――」

「ヒサシさん?」

「――っと、何でもねぇ!」


 気のせいかネージュから殺気が感じられたぞ!? もう怖いから余計なことは言わない。


『ヒサシも飲んでみなさいよ。弱いアンタでも少しはマシになるかもよ?』

「よし、じゃあ俺も――」



 メリーに促されて水を掬おうとしたその時、ユラが上空を見上げつつ残酷な通知をしてきた。



「時間です、ミスターヒサシ。まずは邪神の撃退を」

「ちぇ。お楽しみはお預けか」


 ユラの一言で場の空気が変わり、挨拶代わりのレーザーが上空から放たれた。邪神もこっちの存在に気付いたらしい。



 ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!



「保護シールド展開。エネルギー照射の97%をカット」


 さすがはユラ。進化しなくて充分優秀だ。

 しかし面白くないのは邪神の方で、俺たちの正体に気付くと怒りを露にしてきた。


「オノレキサマラ、アノサバクニイタレンチュウガナゼココニ!」

「ちょっとした手品だよ。それを使って先回りしただけだ」

「フン、ナラバゴタイジョウネガオウ! アースブレイカー!」



 ダァァァンッ!



「うおっ!?」


 この野郎、両腕を地面に叩きつけやがったせいで、大地がとんでもなく揺れやがる。

 そこへ不運が重なり、水辺の石に足を滑らせてしまい、泉へとダイブする羽目に。



 ドッボ~~~ン!



「ガハァ! くそったれ、おもいっきり水を飲んじまったじゃ――」




 ドクン!




「な、なんだ?」

「ヒサシ殿!?」




 ドクン!




「な、なんだか鼓動が激しく……」

「おいヒサシ!」




 ドクン!




「それに身体も……熱い?」

「ヒサシさん!?」




 ドクン!




「いや、熱いってか痛みが!」

「バウバウ!」




 ドクンドクンドクンドクン!




「ナ、ナンダキサマ。コノエネルギーハンノウハイッタイ!?」

「ぐうぅぅぅ……」



 何なんだ、俺の身体に何が起こってやがる!



『ああなるほど、そういう事!』

『な、なんだよメリー、何がどうなってやがんだ?』

『私は何万という霊が集合した存在だから、その中に覚醒した霊が混ざってるのよ。数が多ければ多いほど覚醒する確率が高まるから、複数の霊が覚醒してるんでしょ』


 それは……喜んでいいのか?


『アハハハハ! お手柄よヒサシ。これで私も今まで以上にバワーアップするわ!』


 パワーアップかどうかは知らないが、痛みが徐々に和らいできた。


『さぁヒサシ、存分に暴れなさい!』


 さてさて。そんじゃ1つ、腕試しといこうじゃねぇか!


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