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青銅騎士団の証(1)

 お待たせいたしました。

 新しいアイテムのお話が始まりました。

 思い入れのあるアイテムなので少し長くなりそうですが、どうぞお付き合いくださいませ。


 ――――――――――

 アイテム名:青銅騎士団の証

 効   果:ATK+2

 実力を認められ、平民から騎士へと叙される者に、その証として与えられる耳飾

 ――――――――――


 挿絵(By みてみん)


 森を出て、街道を東に半日ほど歩いたところに、ヴェルサイドという大きな街がある。


 ヴェルサイドは剣士と騎士の街だ。


 街の中心には、剣聖ヴェルグドルを祀る神殿があり、そこで認められたものはソードマスターを名乗ることが許される。

 また、ソードマスターに選ばれたものの上には、剣聖が集めたとされている108の宝剣の1つが顕現し、その力を手にすることができるのだという。

 その称号を求めて、今日も大陸だけでなく、世界中から腕に自信のあるものがこの街に押し寄せている。


 この街にくるものは、たとえソードマスターの称号が得られなくとも、実力さえあれば剣を生業とする仕事を探すことができるし、うまくいけば、どこかの貴族に召上げられることや、騎士の末席を与えられることもある。

 栄誉を求める騎士、剣の腕で出世をもくろむ無頼漢など、この街はさまざまな人々でいつもあふれかえっている。


 そんなヴェルサイドの中でも、ひときわ活気に満ちているのが、神殿前の広場から南にのびている段平だんぴら通りだ。


 段平だんぴら通りは、ヴェルサイド一の商業街で、道が幅広剣だんぴらのように、広くまっすぐに郊外までのびていることからそう呼ばれている。

 神殿前の広場に近いところには大きな商館が立ち並び、南に行くにしたがってこまごまとした商店や屋台が増えていく。


 また、通りからは無数の細い路地が脇に伸びており、そこにもちょっとした小間物を売る露店や、羊の串焼きや肉種を包んだ蒸饅頭などを売る屋台がひしめきあって、体躯からだが資本のこの街の人々の小腹を満たしている。


 私は今、段平だんぴら通りから西にのびる小さな路地に露店を出している。

 今日は衛士や傭兵の給金が支払われる日で、愛する伴侶への贈り物や、贔屓の遊君への気のきいた手土産として、ちょっとした小物を求める客が多いのだ。


 貴石や小さな魔石に、その本来の力を引き出す魔法エンチャントをほどこした品は、実用的な装備品としてだけではなく、身を飾る装身具として求めていくものも多い。

 なので、ここで店を出すときには、魅惑チャームをほどこした品をいつもより多めに準備しておくのが常となっている。


「あの、すみません」

「はい。お気に召したものがございましたか?」


 声をかけてきたのは、さきほどからじっと品物をながめていた若い女性だ。

 身なりは質素だが、立ち振る舞いの美しい人だ。


「こちらの商品は、すべて魔法の品だと聞いたのですが」

「はい、当店ではお守りアムレットから冒険に必要な魔導の装具まで、魔法の品の数々をとりそろえてございます。

 本日はどのようなものをお探しですか?」

「あの……剣から身を守れるような、そんなアイテムはありませんか?」


 ほう、この街らしい注文だ。


「剣の攻撃に対して、防御魔法を発動するようなものでよろしいですか?」

「はい」

「ちなみに、お嬢さまが身に着けられる?」

「いえ、主人に贈りたいのです」

「旦那さまへの贈り物ですね。それは素敵なことでございますね」


 話をしながら防御魔法を発動するアイテムをいくつか選び、彼女に薦めた。

 女性が選んだのは、剣の攻撃を受けたとき、初撃を防ぐ魔法を発動させる指輪だった。


「心のこもった贈り物に、旦那さまもきっと喜ばれると思いますよ」

「ええ、そうね」


 品物を包んで手渡すと、彼女はにこやかに、ありがとう、と声を残して、軽やかに段平だんぴら通りの方に去っていった。


 この日はそこそこの売り上げになった。


 ヴェルサイドの街はこれからも良く出てくることになります。

 鋭い方はお気づきかもしれませんが、剣聖の名前は某名作ゲームからお借りしております。


 剣ならテムジンにしとけよというツッコミはご容赦の方向でw

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